AI搭載の自動運転EVレースカーによる無人レース開催を目指すRoboraceは、4月にイタリアで開催されたローマePrixにて開発車両DevBotのデモ走行を実施、人間とのタイムアタック合戦を披露しました。
以前のデモ走行では、コースの直線部分ではそこそこのスピードを出スことができたものの、カーブを曲がりきれずに壁にぶつかっていたRoboraceの開発マシンDevBotですが、その後も地道に開発は継続中。
フォーミュラE ローマePrixが開催される特設サーキットでのデモ走行では、Devbotのコクピットにドライバーが乗ったときと無人走行のとき、それぞれのタイムを競うという、ちょっとした催しがありました。コクピットに収まったのはプロドリフターのライアン・チュークです。
ライアン・チュークはドリフト競技のドライバーであるため、事前にフォーミュラEチャンピオンでRoboraceのCEOも務めるルーカス・ディ・グラッシに、ドライビングの手ほどきを受けました。とはいえ、初めて乗るマシンと不慣れな公道コースのせいもあり、練習走行では何度かカーブを曲がりきれずにオーバーシュートするシーンを見せていました。
しかし、そこはプロドライバー。いざタイムアタックに出れば、さらっと1分51秒台のタイムを記録して帰ってきました。これに対し、DevBotの自動運転によるラップタイムは2分18秒台でしかなく、約26秒という大差でライアンの勝利となりました。
レースカーのドライブは人間が持つ感覚と反射神経が物を言います。たとえばカーブでマシンがスライドすれば生身のドライバーは瞬時にカウンターステアを当てつつアクセルをコントロールして危機回避行動をとります。
これをロボットカーで再現しようと思えば、イメージセンサーとLiDARだけでなくGセンサーやアクセル開度などの数値を参照して瞬時に適切なステア舵角などを出力できる必要がありそうです。まして、まともにレースをしようとするならば、タイヤの温度や路面の汚れ具合まで感知できなければ安全には走れません。もし接触やクラッシュがあればコース上に落ちるデブリの認識や回避も必要になります。
しかし考えようによっては、いまこの時点での26秒という差は、もしかするとかなり小さなものなのかもしれません。Roboraceは2018年内にはDevBotが人間と同等の速度域に到達できると自信満々。もしそうなるならば、Roboraceから一般的な自動運転車開発メーカーへの技術供与なんてことも起こり得るのかもしれません。
Engadget 日本版からの転載。