日本国内では2015年に一般発売が始まったスマートロック。自宅の玄関扉やオフィスのエントランスの扉に取り付けることで、スマホでの鍵の開閉を可能にするIoT製品だ。ハブとなる機器を室内に別途設置しておけば、遠隔での解錠/施錠ができる製品もある。
国内では、フォトシンスの「Akerun」、ライナフの「Ninja Lock」、ソニー子会社が手がける「Qrio」などが有名だ。発売当初はアーリーアダプターの個人利用も多かったが、現在ではそのブームも落ち着いた感がある。というのも、いずれの製品も1万円以上の価格設定となっており、個人が気軽に手を出せる製品ではなかったからだ。
その後、Akerunの開発元であるフォトシンスは、入退室システムの提供やFeliCa対応、レンタル利用など法人重視の戦略を採ることで事業を拡大し、今年5月には総額10億円、累計15億円の資金調達に成功している。現在Akerunは、2500社超の法人で導入されているそうだ。
このように法人需要が高まる中、CANDY HOUSE JAPANは8月28日、米国発のスマートロックである「SESAME」(セサミ)を日本の住宅事情に最適化させ、「SESAME mini」としてMakuakeにて、Makuake限定価格の9800円で10月30日まで販売することを発表した。なお、先着50名はさらに1000円割引の8800円となる。SESAMEは、2015年にクラウドファンディングサイト「Kickstarter」で1.4億円の資金調達に成功。北米や欧州、アジアで販売され、2017年秋には日本にも上陸し、世界合計で5万台超が使われているという。
SESAME miniは、このSESAMEをベースに小型化と日本の鍵の形状に合わせた改良が施された製品だ。ウェブブラウザー経由での入退室管理、IFTTT経由でのGoogleアシスタント、Amazon Alexa対応、専用ハブによる遠隔操作など、スマートロックのトレンドも押さえている。カラバリは、ホワイト、マットブラック、シャンパンシルバー、シャンパンゴールドの4色となる。
SESAME miniについてCANDY HOUSE JAPANのJerming Gu CEOに話を聞いたところ、他製品に比べて安すぎる本体価格については「SESAME miniで使っているチップ、クラッチ、モーターなどはSESAMEとほぼ同じで、大量生産によるスケールメリットによってコストダウンが図れた」とのこと。加えて、「ギアとアンテナ、センサーについてはSESAMEよりも性能の高いものを使用しており、ギアの耐久性は3倍、Bluetooth通信距離が110%延長、電池の持ちも110%増加した」という。
同じ部品を使いながらも小型化できたのは、「SESAMEでは日本よりもサイズの大きい米国の鍵に対応できるように、鍵のグリップ部分など空間のスペースを大きく取っていたが、SESAME miniにはその空間部分を日本の鍵に合わせて小型化した」とのこと。
なお、IFTTT経由によるGoogleアシスタント、Amazon Alexa対応については、「鍵閉めて」「玄関をロックして」「ドアはロックされてる?」などのフレーズが使える。
外出先から遠隔操作でドアを解錠施錠する際に必要な専用ハブ(WiFiアクセスポイント)も6000円で同時販売される。SESAME miniとセットで購入した場合は1000円引きとなる。
Gu氏によると、今回のSESAME miniの日本市場へのリリースを足がかりにして、年内にはB to B向けサービスの発表も予定しているそうだ。低価格スマートロックの登場でコンシューマー市場でのスマートロック人気が再燃するのか、法人向け市場での台風の目になるのか、今後に注目していきたい。