SEOにおいて品質の高い記事を作ることとコスト


2ヶ月ほど前になるが、海外集客・インバウンドマーケティングのサイトエンジンブログというブログの、「
SEOでいう質の高いコンテンツとは? 1ページあたりのコストを決めるための考え方」という面白い記事があった。

確かに品質の高い記事を作ることはSEOにとって重要であり、この記事に書かれていることはまったくもってその通りではある。
しかしながら、

1.記事の品質とSEOの関係

2.記事の品質 = コスト
と言えるのか?

この2つの点について色々思うところがあったため書いてみたいと思ったのが、本日のテーマである。

まず最初のポイントだ。

1.記事の品質とSEOの関係

についてまず述べてみよう。

ところで、そもそもSEOの目的とは何か?

「検索結果に自サイトのページを露出させることから集客し、知名度のアップやコンバージョンにつなげる」

ことが目的である。
これを分解すると、

  • 検索結果への露出
  • 知名度のアップ・またはコンバージョン

この2つに分けられる。

記事の品質とSEOの目的達成には大きな関連性がある。
まず、記事の品質によって検索結果にどれだけ露出するかが変化する。

Google社はコンテンツの評価基準を下記の6段階に定めている。

rating-scale・Googleのコンテンツ評価ガイドライン(英語)
詳しくは、Search Quality Rating Guidelines(英語)の6ページを参照のこと。

  1. Unratable(評価できない)
    評価ができない(ページを読み込むことができないなどの理由による)。
  2. Off-topic or Useless(無関係または役に立たない)
    このページはほとんど誰の役にも立たない
  3. Slightly Relevant(少し関連性がある)
    このページはほとんどのユーザにとってあまり役に立たないが、検索キーワードに少し関連はしている。一部のあるいは少数のユーザとっては役に立つ。
  4.  Relevant(妥当な)
    このページは多くのユーザーまたは一部のユーザにとって役に立つ。
  5. Useful(役立つ)
    このページは多くのユーザーにとって非常に役に立つ。
  6. Vital(不可欠)
    限られた場合のみにVitalという基準は使われる。
    (人・場所・会社・飲食店・製品・組織などを指し示す検索キーワードについての公式ページ。詳しくは12ページ参照のこと) 

実際にGoogleはこのようなガイドラインに従ってコンテンツを評価しようとしており、その企てはある程度うまくいっている。
同じような文字数でコンテンツを作っても、検索順位が上がるページは品質が高い有用なコンテンツを投入したケースが多いというのが私の実感だ。

アルゴリズムでコンテンツの品質・有用性が評価できるのか?
完全にはわからないだろうが、かなりわかる可能性が高いと私は思う。

数万とか数十万とかといった数多くのコンテンツを人間が分類・採点する。
次に採点とコンテンツをコンピュータに投入し解析することで、人間の採点する傾向となるべく近くなるような計算式を導くことは原理上可能だ。

Googleは小規模であっても、検索上位に表示させるべきではないか?というWebサイトを現在募集している。
Small website survey
これである。私はこの調査は前述の計算式の改善のために使うのではないか?と考えているのだが・・・。

といったわけで、まず検索エンジンに露出するためには記事の品質が重要であるということだ。

次に、知名度のアップやコンバージョンにも記事の品質が重要であるということを書く。

せっかく検索結果に露出したとしても、

  • 記事の内容が的はずれだったり
  • 誤字脱字があったり
  • 中に書かれている記述に誤りがあったり
  • 文章が拙劣であったり
  • 内容がありきたりであったり

したら、知名度のアップにもコンバージョンにもつながりにくくなる。
つまりSEOの目的を達成できないのだ。

つまりSEOの目的を達成するためには、記事の品質が重要な要素であるということなのだ。

次に

2.記事の品質 = コスト
と言えるのか?

について考察してみたい。
記事の品質とコストには大きな関連があるのだが、イコールではない。

コストをかければいい記事を作れることは間違いない。

しかし、全ての記事をプロのライターに依頼して書いてもらうということは、SEO目的においてはあまり現実的ではない。

記事の調達コストは、得られるリターンから逆算しなければならないからだ。
これは記事を外注する場合だけでなく、内製する場合でも同様だ。

もし、月間検索数500回のキーワードについて、1,000文字書いてもらった場合を想定しよう。
首尾よく上位表示されたり、想定外のキーワードの掛け合わせで月間100人集客できたとする。
そのうち、0.5%がコンバージョンしたら月間大体0.5人の引き合いが取れる。

しかし、これだけコストを掛けても上位表示されない場合もあるし、その他のキーワードでも集客が全くできない可能性もある。
というか集客できるかどうかはやってみないとわからない。

そのリスクを考えた上でどこまでコンテンツに対して投資できるか?

平均すると、1つのコンテンツについて、月に0.1人のコンバージョンだったとし、投資は1年で回収しなければならないものとする。
(計算が面倒なので、コンテンツをWebサイトに投入して順位が上がるまでのタイムラグについては考慮しない)

そうすると、1つのコンテンツにつき、年間1.2コンバージョンが見込めるという計算になろう。

1文字単価40円というプロのライターに執筆させると、4万円をかけて1.2コンバージョンである。

これで採算にのるのか?
なかなか難しいだろう。
リスティングに比べてもおそらくはかなり割高だ。

コンテンツを外注せずに、社内で内製した場合でも状況は変わらない。
給与の総支給額ベースで月給40万円の社員は、40万円分の仕事しかしていないわけではない。
給与の数倍の付加価値を生み出しているから、社員は社員として雇用されているのだ。

少なくとも3倍、つまり40万円の社員の1ヶ月の労働価値は120万円以上になろう。

1日に2記事つづ作成したとして、1ヶ月20稼働日だったら1ヶ月で40記事作成できる。
素人が1日に2000文字書くのはなかなか難しいから現実的にはこんなもんだろう。
1記事に要するコストは3万円にもなる。

外注のプロのライターに書かせるのとあまり変わらない数字だ。
社員を動員して、SEO目的で記事を書かせるということも現実的には得な選択肢とも言いがたいということだ。
(コンテンツを作る目的はSEOだけではなく、ブランディングといった意味合いもあるし、ソーシャル経由といった集客もある。そこまで考慮すると費用対効果は変わってくるが、今回はそこには踏み込まない)

ならばどうするか?

  • 文字単価を下げる
  • 社員のライティングスキルを高める

後者には限界があり、前者の方が改善できる伸びしろがはるかに大きい。

一つの方法としてクラウドソーシングの利用がある。
現在ランサーズといったクラウドソーシングが大流行だ。

クラウドソーシングではSEO目的のライティングの案件が目白押しだ。
1文字単価0.2円とかそんな案件が多い。

これだとさすがに1日に5000文字書いても、わずか1000円にしかならないのでさすがに低品質のコンテンツしか集まらない可能性が高い。

しかし、もうすこしばかり出せばかなり高い品質の記事を集めることは可能だ。
その際に必要なことは、ライターの良し悪しを見ぬく眼だ。

良いライターを選別して依頼することで、低価格でもかなり良質なコンテンツを集めることができる。

内職だと、時給に換算すると100円とかで働く人もいる。
それを思えば、ライティングはこれよりもずっと高価だし、一日中同じ作業を行っているのに比べてある程度楽しい部分もある。
安い金額でも優秀なライターが集められる土壌はあるのだ。

それともう一つ。

金額以外のインセンティブ、ゲーム性などによってコンテンツを集めるという方法もある。

これがむしろ決定版ではないか。
Wikipedia、Cookpad、食べログ、Yahoo!知恵袋、2ちゃんねるといった有名Webサイトは全くコンテンツそのものに費用をかけることなく、有用であったり、独自性のあるコンテンツを集めている。
また、nanapi・allaboutなどは無料ではないがブランディングにつながったり、心理的なインセンティブを与えることで大きな費用をかけずにコンテンツを集めることに成功している。

普通にコンテンツを作ってSEOしようとすると費用がかかるが、工夫次第で費用を低減することは可能だということである。