レガシーソフトウェアを”マイクロアプリ”と接続するSaphoを、Citrixが2億ドルで買収

大きな組織が、これまでのソフトウェア資産の全てを破棄することなく、現代的なやり方に適応していく作業に苦労している中で、そうした組織と協力しているある企業が、そうしたプロセスを助けるための買収を行った。本日(米国時間11月15日)Citrixは、レガシーソフトウェアのための「マイクロアプリ」を開発するスタートアップSaphoを買収したことを発表した。Saphoのソフトウェアは、企業の従業員たちが、従来のソフトウェアを、クラウドやモバイルを通して、あたかも現代的なアプリケーションのように利用することを可能にする。

買収は全額現金で2億ドル前後であったと伝えられている。これは良いリターンだ。Saphoは2014年以来、AME Cloud Ventures、Louie Alsop、そしてFelicis Venturesなどの投資家から、わずか2800万ドル以下の資金調達しか行っていなかった。共同創業者のFouad ElNaggarとPeter Yaredを始めとして、ベイエリアを中心とした90名の従業員チームとプラハの開発オフィスがCitrixに加わる。

Citrixは現在、約140億ドルの時価総額を有しているが、これはエンタープライズITの世界における大きな流れに従い、主に仮想プライベートネットワークサービスから、よりハイブリッドなクラウドモデルへ焦点を切り替えた、新しいCEOのDavid Henshallの下で上昇してきたものだ。

Citrixは、Saphoの既存のビジネスと製品のすべてを提供する。ElNaggarによれば、両社は既に顧客ベースが大きく重なっており、Citrixのサービスへのより高度な統合を望む顧客たちの存在が、CitrixによるSaphoの買収を促したのだという。

「世界最大の企業たちがCitrixを利用していて、その従業員たちにより魅力的な体験を提供する必要がある大規模なハイブリッド環境を構築しているのです」とインタビューに答えたのは、Citrix社の事業戦略EVPかつCMOであるTim Minahanである。「でもそれは、全てを捨て去り新しいソフトウェアを投入することを意味しません。Saphoはそうした既存のインフラストラクチャを活用し、意思決定においてより洞察的なものとするための、素晴らしい手段を提供するのです。私たちはこれを、エンタープライズアプリケーションがその環境の中で果たす役割を再考する手段だと考えています」。

現在Saphoが、レガシーソフトウェアを活用して統合を提供している典型的なタスクには、経費精算、セールスソフトウェア、ITサポートチケット、そして人事管理などがある。こうした既存のシステムから吸い上げたデータを、Microsoft Teams、Microsoft Dynamics、Oracle EBS、Salesforce、SAP ERP、Workday、そしてGoogleドライブなどのサービスへ供給するのだ。

なお今回CitrixがSaphoを買収する前には、IBMとMicrosoftが、Saphoが成し遂げたこと、獲得した取引、そして埋めている市場の空隙に着目して、買収に向けた予備交渉を始めていたことを、私たちは耳にしていた

[原文へ]
(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。