米政府機関の一部閉鎖でIPO予定の企業が混乱するかもーー証取委職員が業務停止中

米政府機関の一部閉鎖が19日目に突入した。これは米国史上2番目に長い閉鎖になる。ドナルド・トランプ大統領は今朝早くにあったナンシー・ペロシ下院議長ならびにチャック・シューマー上院議員との交渉で怒って途中退席したため、早期の事態打開は望めなさそうだ。

米国のリーダーたちが連邦政府予算についての妥協点を探るためにバトルを繰り広げている間、米国証券取引委員会(SEC)の職員を含む何十万もの政府機関の職員が業務を停止している。投資家保護や公正管理、秩序ある効率的運営を業務とするSECは12月27日に閉鎖され、職員4436人のうち285人しか働いていない。

「連邦政府の閉鎖が継続中のため、SECは現在、当局の閉鎖時のための行動計画に基づいて運営されています」「SECは、市場の健全性や投資家保護がかかわる緊急事態には、法の適用も含め、職員が対応できるようにしています」とSECはウェブサイトに掲示している。

IPOのために必要な書類を含む重要な文書を企業がネット上で提出できるEDGAR(Electronic Data Gathering, Analysis=電子情報開示システム)と検索システムは稼働している。そのため、溜まっている書類はかなりの量になり、まだ増えつつある、とCNBCは報道している。こうした事態はいくつかのIPOの遅延を招きかねず、ひいては2019年のIPOマーケットに長らく影響を残すかもしれない。

いくつかの大きなテック企業は2019年早期のIPOに向けて準備を進めているが、そうしたIPOは遅れるリスクにさらされている。多くの人が、注目を集める株式公開を通じて歴史に残る額の流動資産が投資家にもたらされると予想しているが、さえない株式市場は火に油を注いでいる。たとえば、Uber、Lyft、 Slack、そしてPinterestはIPOの準備を始めていて、UberのCEO、Dara Khosrowshahiは最近、動きの激しい相場で社のフロートが遅れることがあってはならない、と主張した。

「いいニュースもある。我々は良い財政状態にあるので今年株式を公開する必要がないということだ」とThe Wall Street Journalに対し述べた。「これは願望だが、[しかし]もし公開できないのであれば、公開しないまでのことだ。私は残念に思うだろうし、我々の株主も失望するだろうが、会社としては大丈夫だ」。

彼は、The WSJに対し政府の閉鎖が及ぼしうる影響についてコメントはしなかった。Uberと、Uberの米国での最大のライバルLyftはともに12月、SECにIPOの書類を提出したが、それは閉鎖が始まるほんの数週間前のことだった。閉鎖の間も、企業は内々に書類を提出することは許されている。この手法では、エグジット前に鍵となるIPOの詳細や財政状況などを一般の目に触れないようにすることができ、多くの企業がこのやり方を好む。

究極的には、最も注目に値するテックユニコーンはトランプ政権の不和の影響をほとんど被らないだろう。Khosrowshahiが指摘したように、よい財政状況で十分に資金を調達した会社は、IPO計画が不首尾に終わってもセーフティーネットを用意している。小規模の企業、特に事業を続けるために資金の注入が必要な会社はIPO遅れの影響に耐えることを余儀無くされる。

イメージクレジット: Jeff Hutchens / Contributor / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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