Sonyは奇妙なAndroidタブレットで市場参入に失敗した後、一から出直して違う何かを作るしかなかった。その違う何か、Xperia Tablet Zは、同社の最も平凡なデザインだと言ってもいい。そしてそれは賢明な選択だった。この間違いなく変ではないXperia Tablet Zは、米国での登場に向けて準備中だが、本誌はモバイル・ワールド・コングレス(MWC)会場で、この欲望をそそるほど薄いSonyのタブレットを捕えた。
まず何よりも、もしあなたがミニマリスト的工業デザインのファンならば、大いにこれを気に入るだろう。Sonyの明るい10.1インチ〈リアリティー・ディスプレー〉(1920 x 1200)は間違いなくこのデバイスの顔であり、そこにはSonyロゴと隅の赤外線窓、および見すごしそうな2メガピクセルカメラ以外何もない。ディスプレイはSonyのモバイルBraviaエンジンが駆動していて、これは画面を暗くしないと色がどぎつくなることを意味している。背面は黒いマットの無地で、小さなXperiaロゴと右上隅の8.1メガピクセルカメラだけが見える。さえないと言う人もいるだろうが、「地味」な感じは感触の良さとよく合っている。
Tablet Zはわずか1.09ポンド(494g)で、そのほっそりとしたウェストラインは厚さわずか6.99mmだ。ちなみにiPad miniは、ほんの髪の毛ほど厚い7.22mmだ。重量を極限まで減らすためにSonyはほぼ全面的にプラスチック筺体の採用に踏み切った。そう聞くとちゃちなタブレットの仕様のように感じるかもしれないが、もちろんこのケースにはあてはまらない。非常に軽量であるにもかかわらず、Tablet Zは驚くほど頑丈で高級な手触りだ。端を持ってひねると多少のねじれを感じるので、長い間のうちに何か問題があるかもしれないが、未だ市場にあふれている安っぽいプラスチック製タブレットとは比べものにならない。
Tab Zの防水筺体の中には、4コアSnapdragon S4 Proチップセットおよび2GBのRAMが収められ、私が触っていや殆どの間Tablet Zは遅れを感じさせなかった。モバイル・ワールド・コングレスで数十台ほどのデバイスを一般公開する際、多くの会社はわれわれナードがいじり回しすぎないよう排除しようとする。ここでは違った。私はGoogle Play StoreからQuadrantをダウンロード、インストールして、Tablet Zの実力の片鱗を感じることができた。3回の試行の結果、Tablet Zは7000台前半を維持し最高は7601だった。Nexus 10やAsusのTransformer Pad Infinity TF700は、4000台半ばをさまよっている。
もちろんこれは人工的ベンチマークであり、性能の全体像を表わすものではないが、Xperia Tablet Zがぐうたらでないことは確かだ。
私はたった一つだけ、Xperia Tablet Zに不満がある。SonyがAndroidに被せたカスタムUIだ。古くからの読者ならご存じだろうが私は無垢Androidの支持者であり、Sonyの実装は私に合わなかった。公平を期して言えば、これは他のごちごちゃしたものより軽くて面倒もないので、違う意見もあるだろうが、メニューをたどる際の時々つっかえる感じや、背景画像を設定すると歪む点は問題がある。それでもSonyはこれらを補う気の利いた機能をいくつか追加している。番組案内機能もある万能リモコンアプリや、位置情報付き写真を地球儀に表示する改訂版のギャラリーなどだ。
昨日朝のプレス会見で、Sony Mobileの鈴木国正CEOは、新たな方策として「最先端技術とリソース」をSony Mobileに注ぎ込むことを宣言し、2013年を「ブレークスルーの年」であると自信を持って語った。もちろん実際どうなるかを予言するには早すぎるが、不可能でもない。このXperia Tablet Zは、Sonyにとって稀な(でないことを祈る)原点回帰であり、2013年が同じように吟味されたSony製品であふれることを期待したい。
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(翻訳:Nob Takahashi)