最近、TechCrunch Japanでも「リーガルテック」と呼ばれるサービスを紹介することが多くなった。クラウド契約サービスの「Holmes」や、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルにも登場したGVA Techの「AI-CON」シリーズなどがその例だ。
ただその一方で、特に契約書など法務関連の書類はいまだにWord文化が強いとの考えから、Wordとクラウドのあいだの「橋渡し」を担うリーガルテック系サービスを開発するスタートアップがある。Wordドキュメントの共有サービス「hubble」を手がけるRUCだ。
契約関連書類の共有・管理に適したhubbleの特徴は大きく分けて3つある。ローカルのWordファイルを従来よりも簡単に共有・管理できること、ドキュメントの編集履歴やコメント履歴を自動で記録(バージョン管理)できること、そして複数人で同時に並行編集できることだ。保存ボタンひとつで書類を簡単に共有することができ、編集ログも残るので複数人での契約書作成などにも使いやすい。
また、電子契約サービスのクラウドサイン、DocuSign、AgreeとのAPI連携しているため、hubbleで作成した契約書であれば電子契約までシームレスに行うことができる。
hubbleについては2018年7月の先行リリース時にも紹介しているが、その後2018年10月に正式リリース。導入社数などの数字は公表されていないが、サービスへの問い合わせは約300件。上場企業から弁護士事務所まで幅広い法人から引き合いがあり、上場済みのIT企業を中心に導入が進んでいるという。
そのRUCは本日、新サービスの「押印代行サービス」を発表。従来のhubbleはデータ化された契約書を扱うサービスだったが、それに加えて「紙の契約書」の保管・管理業務にも拡大する。
本サービスでは、ユーザーがhubble上のボタンをクリックすると、RUCがhubbleに保存された契約書を印刷し、押印、契約先への郵送および保管までのすべてを一括して代行する。契約先に郵送された書類が押印されて返ってくると、その書類はhubbleにデータとして保存される。そのため、郵送などのアナログな部分はRUCが行うものの、ユーザーは紙の契約書でもクラウドサービスのような体験を得ることができるというわけだ。
RUCはプレスリリース上で、「昨今、日本において電子契約の普及が著しいものの、その普及率は約2割に過ぎない」とサービス開発の背景を説明。紙の契約書でもクラウドのような体験をユーザーに与えることが目標だという。
価格設定などはまだ検討段階だが、月あたり10通を上限として、月額1万円プラス送料などの実費分を課金することを検討している。サービス開始は2019年2月の予定だ。