GM Cruiseは今後9カ月で数百人を雇用する計画だ。TechCrunchが把握している範囲では、エンジニアリングのスタッフを現在の倍に増やす。自動運転車両技術を開発する同社にとって規模を倍増させる攻めの動きで、これにより年末までにロボタクシーサービスを展開するという取り組みを推し進める。Dropboxの拡大を支えてきたArden Hoffman氏はファイル共有やストレージのDropboxを去り、今後はCruise(クルーズ)で人事採用を指揮する。
1000人以上の従業員を抱えるこのGM子会社は成長に対応すべくサンフランシスコのオフィスを拡張中だ。GM Cruiseはサンフランシスコのブライアントストリート1201番地に本部をそのまま置く。同社はまたブライアントストリート333番地のDropbox本部を今年引き継ぐことになっていて、これによりCruiseのサンフランシスコオフィスのスペースは3倍になることが見込まれる。
「Ardenは過去4年間、Dropboxに多大な影響を与えた。彼女は、今日あるように2300人の会社に育てるために我々のチームやカルチャーを構築し、また拡大をサポートしてくれた。我々は彼女のリーダーシップや決断力、ユーモアのセンスを失うことを残念に思う。彼女が去るのは悔やまれるが、Cruiseのチームを成長させるという新たな挑戦で彼女が活躍することを心から願っている」とDropboxの広報は電子メールで述べた。
Dropboxに入社する前にHoffman氏はGoogleで3年間、人事ディレクターを務めた。
Cruiseの拡張とHoffman氏の採用は、最近あった役員の異動に続く動きだ。GMの会長Dan Ammann氏は12月にGMを離れてCruiseのCEOに就任した。Ammann氏は2014年からGMの会長を務め、2016年のCruise買収とGMへの統合における中心的な役割を果たした。
CruiseのCEOでテクノロジー責任者の立場にあった共同創業者のKyle Vogtは現在会長職とCTO職にある。
Cruiseは従業員がわずか40人という小さなスタートアップから、今日従業員が1000人になるまでに成長した。本部はサンフランシスコに置きつつも、人材を求めてシアトルにも進出した。Cruiseは昨年11月、シアトルに事務所を開き、そこにエンジニア200人を置くことを発表した。また最近のソフトバンクとホンダからの投資でCruiseの時価総額は146億ドルとなり、これが従業員の倍増につながっている。
ソフトウェアエンジニアリングやロボティックス、AIの経験を持つ資質ある人を探すのは、自動運転車の開発・展開を企業が競う中でヒートアップしている。カリフォルニア州で自動運転車両をテストする許可を同州車両管理局から得ている企業は60社超になる。
人材の獲得を巡る競争は、驚くほどの待遇を伴ったり、特殊な技術を持つ人を秘密裏に引き抜いたりと加熱している。
Cruiseの発表は、これまでになく厳しい状況にある人材マーケットにさらにプレッシャーをかけるものとなる。しかしCruiseは他の自動運転車両テクノロジー会社にはないものを持っている。それはたっぷりの資金だ。5月、Cruiseはソフトバンクのビジョンファンドから22億5000万ドルの出資を受けた。ホンダもまた新しい自動運転車両を開発するというGM・Cruiseとの独占協定の一環として27億5000万ドルを拠出した。
協定では、ホンダは今後12年間開発に20億ドルを投資する。ホンダはまたCruiseに対し7億5000万ドルの直接的エクイティ投資を行う。
Cruiseは従来のリクルート活動と、エンジニア1000人規模の企業の買収という2つの道を模索することが予想される。それはすでにCruiseが追求している戦略だ。昨年Cruiseはグローサリーや荷物のラストマイル配達に使われるロボットの開発を手がけるZippy.aiを買収した(買収額は非公開)。この買収は人材の獲得が目的で、Zippyのプロダクトや知的財産は含まれなかった。代わりにCruiseは共同創業者のGabe Sibley、Alex Flint、そしてChris Broaddusとそのチームに興味を寄せていた。
また2017年には、CruiseはLiDARセンサーメーカーのStrobeを買収している。当時、CruiseはStrobeが車両1台あたりのLiDARのコストを100%近く減らすのに貢献すると話していた。
イメージクレジット: Cruise
(原文へ 翻訳:Mizoguchi)