2016年に財政的に苦境にあったTwitterが6秒動画のVineを終了させて以後、ループする短い動画を共有する市場は中国のTikTokにさらわれた感があった。それから1年半経って、Vineの共同ファウンダーであるDom Hoffman(ドム・ホフマン)氏はVineの後継アプリのV2を開発していると発表した。このアプリがByteと改名され、このほど非公開ベータを開始した。
ホフマン氏は友だち100人をアプリに招待したという。ByteはVineによく似ており、縦位置撮影の短いスマートフォン動画を簡単にアップしてループ再生で共有するソーシャルプラットフォームだ。表示の順序はもっとも新しい投稿がトップとなるフィード方式だ。
the byte beta we’ve been running with friends and family *feels* exactly like the vine friends and family beta, down to the weird but appealing randomness of the videos. that’ll change as we expand, but it’s a pretty good sign pic.twitter.com/rBbQrNtTJ7
— dom hofmann (@dhof) April 22, 2019
すでに中国のTikTokが巨大なシェアを獲得しているためByteの前途にはかなり厳しい戦いが待っていそうだ。しかしByteが口パクやカラオケ、その他のティーンエージャーが喜ぶギミックに煩わされず、大人にとって有益な動画メディアとなることを目指すなら勝算はあるかもしれない。
ホフマン氏はTechCrunchに対して、ベータコミュニティーの即興性が高い気風に勇気づけられていると語った。クリエイティブで面白いコンテンツを大量に蓄積できる段階まで来ていないが、十分に説得力あるアプリに仕上がっていると同氏は確信している。第一に優先させるのは、たとえ他のサービスのほうがページビューを稼げるとしてもByteを試してみようとクリエーターが考える空気を、サービスの正式ローンチ前に作り上げることだという。
ホフマン氏は当面、このベータテストを続けながら、機能を追加したり削ったりしていく。こうした試行錯誤でビデオクリエーターは実際にどんな機能を必要としているのかを確かめていくという。現在のアプリは録画だけで別サービスへのアップロードはできない。ビデオクリップはニュースフィード方式で表示され、気に入ったら「いいね!」とコメント付けることができるだけで、まだアカウントのフォロー機能もない。ホフマン氏のもとに集まった7人の開発チームは、次のアップデートでアップロード機能とユーザープロフィールの表示機能を付け加える予定だ。
TikTokの大成功が「ループする短いビデオ」というマーケットを一変させた。まだこの市場が狭いニッチだった頃のVineを復活させるだけではメインストリームメディアの一角に食い込んだTikTokを倒せる見込みはなく、独自な要素が必要だとホフマン氏は気づいている。同氏は私のインタビューに対して「TikTokはVineを自然に発展させた素晴らしいサービスだと思っている」語った。ただしByteの目指すところはVineの発展形ではない。
TikTokがこれほど広く使われている状況で別のVine的なサービスが必要なのかどうかは興味ある問題だ。TikTokにはすでに5億人のユーザーがいるという。ホフマン氏はByteを近くこの市場に参戦させるという。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)