ソーシャルメディアはいつからあるのだろうか。2004年2月、すなわちFacebookの誕生を歴史の始まりとするのが妥当だろうか。あるいは2002年のFriendster設立まで遡って考えるべきだろうか。あるいは、デジタル世界では創世記なみの昔になるのかもしれないが、1997年にまで時計の針を戻すのが適切だと考える人もいるかもしれない。すなわちReid HoffmanがSocialNetというサイトを開設した年だ。
しかし、こうした意見と全く異なる見解をもつ人もいる。ソーシャルメディアはFacebookやFriendsterなどよりはるか昔から存在すると主張する。10年や20年前というレベルではなく、実は誕生してから2,000年にもなると主張している人物がいるのだ。その人とはEconomistの編集者であるTom Standageだ。新たにWriting In The Wall: Social Media – The First 2,000 Yearsを出版し、ソーシャルメディアというものは形こそ違えどもローマ時代からあったのだという説を展開している。この150年ほどは、メディアが産業資本によるトップダウン方式のものばかりの時代となってしまい、これこそが異常事態だったのだとStandageは述べる。ソーシャルメディアは「先史時代からずっと、自分にもっとも関係のあるニュース、あるいはオピニオンやゴシップなどを伝え続けてきたのです」とのことだ。そうした観点から、TwitterやFacebookなどが時間の無駄とか、単純な娯楽であるというわけがなく、当然に人類のために必要な存在であるのだと主張している。
Standageは人類の歴史を背景に、ソーシャルメディアは新しい存在ではないと主張している。もちろん、規模が世界全体に広がり、即時性を持ち、そして検索可能になっているという面に新しさがあることは認めている。しかしローマ時代のパピルスで広まった社会知や、あるいは手書きながら広く社会に流布した宗教改革パンフレットなどを考えると、ソーシャルメディアの考え方は1997年などよりも遥かに遡るものだとしている。Standageは皮肉を込めて「ソーシャルメディアを全く新しいものであると考える人がいることこそ驚きだ」と述べている。
Standage流のソーシャルネットワーク論に興味のある人は、ぜひWriting In The Wall: Social Media – The First 2,000 Yearsを手にとって見ると良いだろう。ソーシャルメディアの功罪などを言うには、こうした歴史的な視点も必須だとの論理を展開している。
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(翻訳:Maeda, H)