かつて尊敬されていたLos Angeles Timesが、自社の衰えつつあるプラットフォームを使い、データ透明性の名の下に教師を個人攻撃しようとしている。編集委員会は、大きな論議の的となっている自家製アルゴリズムを使用して、同紙がロサンゼルス統一学区内の最高および最低の教師ランキングを決めることを認める裁判に勝訴した。辱めを受けた教師の自殺も、統計的手法に対して広がる批判も、編集委員会のより良い判断には繋からなかった。
同学区をはじめ多くの学区が、担当する生徒の標準テスト成績に基づいて教員の実績を評価している。「付加価値モデリング」と呼ばれる方式では、教師の相対的能力を、その生徒が過去の成績を踏まえどう振舞うかに基づいて予測する。
同学区は、教員評価データを同紙に提出することれ強制されるようになる。私は政府データの透明性に全面賛成の立場を取っているが、付加価値スコアに関しては、必ずしも知られていない明白な問題がいくつかある。
1. 付加価値の測定基準はLA-東京便に乗ったチェインスモーカー並みに不安定である。教師のレーティングは、年ごとに大きく揺れ、統計方法のわずかな変更にも影響される。コロラド大学ボウルダー校全国教育方針センターの調査によると、ロサンゼルス学区の約半数(46.4%)は、モデルのわずかな変更によって評価が変わった[PDF]。
具体的に、同センターは学校ランキングおよび以前の成績を加味した独自の付加価値モデルを用いて、ランキングがどう崩壊するかを試した(そして崩壊した)。これらの変数が入れられていなかった理由はいくつも考えられる。過去の成績や学校の違いを含めると、生徒の履歴の何が最終的に現在の能力を決めたのかを知ることが難しくなる。
統計マニアたちは最良のモデルについて語ることもできるだろうが、もし一連の非常に合理的な判定によって著しく異なるランキングが生まれるのであれば、全国紙が教師個人を辱めるためには、あまりにも不安定な方法である。、
2. 標準テストで教員の価値を測るのは愚かである。「テスト成績は、教師が誰を教えたかに大きく影響される。いかにうまく教えたかではない」、とスタンフォード大学教育学教授のLinda Darling-Hammondは指摘する。中でも、英語初心者や障害のある生徒を多く抱える教員は、そうでない教員よりスコアが低くなる」。
LA Timesは、この明白な事実を忘れているように見える。代表者からのメールにこう書かれていた。「教師は子供の教育にとって最も重要な学校に関連する要素であることが、再三の研究によってわかっている」。
〈誤っている〉。親の役割、動機付け、IQは、生徒の成功にとって少なくとも同じく、おそらくはるかに教師より重要だ。教師は生徒の最大限を引き出すことはできるが、崩壊した家庭や親の虐待のある家庭の子供たちは、同じようにはいかない。
3. 一般市民を辱めることは好ましくない。たとえLA Timesが、統計の奇蹟を呼び、付加価値方式に対するあらゆる種類の批判を乗り越えられたとしても、人々を辱めることは許されない。
同紙の私への説明はこれだ。
「LA Timesには、南カリフォルニアにとって重要な問題と出来事を報道する使命があり、教育はわれわれのコミュニティーにとって最大の関心事である。われわれが『教師ランク付け』シリーズと付加価値データ分析を掲載したのは、親や世間にはロサンゼルス地区教員の有効性に関する何らかの客観的評価を知る権利があるからだ。LA Times付加価値レーティングは、全面的に公記録に基づいており、教員評価全体の中の一要素にすぎない考えられるべきだ。
実に美しい理論だが、現実には、教師たちをモンスターママやパスコミパパラッチの標的にする結果を招いている。New York Post紙が「最低教師」の名前を公開した時には、レポーターが彼女の家族に群がった。
もしわれわれが、読者は記事を30秒以上かけて読み、微妙なニュアンスも伝わる理想的社会に住んでいたなら、LA Timesにも多少理があるかもしれない。しかし、現実はそうではなく、彼らの不用意な判断が罪のない教師たちを傷つけることになる。
[Image Credit: Flickr User Cali4beach]
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(翻訳:Nob Takahashi)