Amazon株主が政府への顔認識技術提供の禁止を求める提案を否決

Amazonの株主は、顔認識技術を政府に提供しないよう同社に求める2つの提案を否決した。

株主投票の票内訳は現段階では明らかにされていない。票数を記載した書類は今週後半に公になる見込みだ。

1つ目の提案は、Amazonに同社が開発したRekognition技術の警察、法的機関、連邦機関への提供制限を求めたものだった。2つ目の提案では、技術の使用について独立した人権・公民権の調査を求めていた。

提案は、技術が偏見と不正確さを抱えているという非難をうけた動きで、批判の中で評論家たちは問題を抱えた技術がマイノリティに対する人種差別に使われるかもしれないと指摘している。

投票結果は強制力を持たず、Amazonは結果を拒否することができる。

しかし投票は必然的にほぼ失敗するようになっていた。Amazonの創業者で最高経営責任者のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は離婚後に同社の株式の12%、そして元妻の持分の投票権も保有している。Amazonの法人株主トップ4社(Vanguard Group、Blackrock、FMR、State Street)は合わせるとベゾス氏とほぼ同じ投票権を有する。

ACLU(米国自由人権協会)はAmazonがプライバシーの懸念に対応していないと非難し、対策を具体的に示そうと努力したにもかかわらず提案は否決された。

ACLUワシントン支部のShankar Narayan氏は意見として次のように述べた。「顔認識技術について投票が行われる必要があった事実は、Amazonの指導者たちにとって恥ずべきことだ。これは、Amazonの幹部が政府の監視普及に役割を果たすことによる公民権・人権への影響を正しく理解しているのか、株主たちが確信を持てていないことを示している」。

「まだ投票の正確な票数はわからないが、今回の株主の干渉はAmazonにとって顔認識による監視の本当の害を推測するための注意喚起のように作用するはずだ」とNarayan氏は述べた。

ACLUは水曜日にAmazonが拠点を置くシアトルで開かれた株主総会を前に投資家らに呼びかけた。手紙の中でACLUは、政府機関へのAmazonの顔認識技術の提供は「人々を追跡し、そしてコントロールして害するという空前のパワーを政府に与え、政府と個人の力関係のバランスを根底から変える」と述べている。

また手紙には「他の監視テクノロジーの長い歴史が示すように、顔認識は移民や宗教的マイノリティ、有色人種、活動家、そして攻撃されやすいコミュニティを狙いうちにするものであることは疑う余地がない」とも記されている。

ACLUは、投資家と株主はAmazonが誤った判断をするのを防ぐ力を持っていると語っていた。

Amazonはテクノロジーが不正確だとする主張を退け、株主総会前に米証券取引委員会に対し株主の提案を阻止するよう要求した。政府当局は、Amazonのプロダクトに対する疑念が高まる中、投票を阻止しようとするAmazonの動きを止めた。

Amazonの広報Lauren Lynch氏は5月21日、株主総会に先立ち、Amazonはどのようにビジネスを展開するかやプロダクトの使用について管理している行動綱領に沿って事業運営していると語っていた。

水曜日の株主総会を受けて同社に送った電子メールへの返事は、この記事執筆時点で返ってきていない。

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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