ファミリーマートは6月27日、独自のコード決済サービス「FamiPay」(ファミペイ)を7月1日から開始することを発表した。セブン-イレブンの「7pay」に続く、コンビニエンスストア系のコード決済サービスとなる。
7payとは異なり、既存のファミリマートアプリでは利用できず、6月30日の夕刻に公開予定の「ファミペイ」アプリを使ったコード決済となる。通常のポイント還元率は0.5%(200円につき1円相当)だが、7月31日までの期間限定でチャージ額の最大15%を還元する「総額88億円あげまくっちゃうキャンペーン」も実施する。具体的には、現金チャージで10%、ファミマTカード(クレジットカード)のチャージで15%を還元するというもの。還元額の上限はそれぞれ2000円、3000円。資金の移動に手数料が発生するはずのクレジットカードのほうが還元率や還元上限が高いのは意外だ。
なお、サービス開始時のチャージ方法はファミリーマートのレジでの現金支払い、ファミマTカード(クレジットカード)経由のみ。今後は、フィンテックスタートアップのPring(プリン)のソリューションを活用した銀行口座連携への対応も予定しているが、他社のクレジットカードとの連携は予定していない。
そのほか7月限定で、利用者全員にファミチキをプレゼントする「ウェルカムクーポン」も配布する。ファミマT会員と同様に、ファミペイ限定価格での商品提供も予定しているという。
コード決済だけでなく、LINE Payアプリなどと同様にクーポンやポイント機能を搭載。決済とクーポン利用、ポイント付与が1アクションで完了する点が特徴だ。なお、11月移行はdポイント、Tポイント、楽天スーパーポイントとの連携も予定しているという。スタンプ機能も実装しており、5杯で1杯がタダになるコーヒースタンプが使えるほか、8月からはコーヒー回数券も利用できるとのこと。
ファミリーマートでの電気代やガス代、各種税金といった収納代行の支払いにFamiPayを利用できる点には注目。1件あたり10円相当のFamiPayボーナスも付与される。LINE Payでは公共料金や税金の請求書をその場で読み取ることでコード決済が可能だが、対応する支払い先が限られていた。FamiPayの場合、わざわざファミリーマートに行く必要はあるものの、コンビニで支払える請求書であればすべてコード払いでキャッシュレスにできる点は魅力だ。
FamiPayをLINE PayやPayPayなどの汎用コード決済に比べると、通常還元ポイントが0.5%と低いので還元キャンペーン以外で敢えて使う必要性は感じない。FamiPay利用者に向けた特別価格をどれだけ魅力的に設定できるかには注目だが、ファミチキなど自社で値付け可能な独自製品が中心になると考えられる。今回の発表内容だけで判断すると、メインのコード決済手段として普及させるのは相当難しいだろう。
コード決済の場合、現金やクレジットカード、金融機関の口座からチャージとなるので、運営側は与信照会(オーソリ)する必要がないうえ、即時決済のため代金が回収できないというリスクもない。そのぶん決済手数料をクレジットカードよりも大幅に抑えられるため、今後も独自経済圏の構築を目指して小売業大手を中心に参入してくる確率は高い。コード決済業界の混沌はまだまだ続きそうだ。