クラウド養豚システムを開発・販売しているEco-Porkは8月8日、約5000万円の資金調達を発表した。7月11日付けで、リアルテックファンド、リバネス、田中衡機工業所を引受先とする第三者割当増資を実施。同社は今回の資金調達により、既存サービスの事業基盤ならびに研究開発の強化を進める。億単位の資金調達ニュースが飛び交う現在、今回Eco-Porkが調達した資金は少額だが、シナジー効果のある事業会社と提携した点で注目だ。
Eco-Porkは、2018年9月に第1弾のサービスとしてモバイル養豚経営支援システム「Porker」をリリース。これは、養豚場で発生するさまざまなデータをスマートフォンなどのモバイル端末を使って現場で入力することで、繁殖や肥育の状況把握から経営分析までを可能にするシステムだ。2019年3月現在で全国20農家、母豚規模では3万5000頭ぶんの農場で稼働している。
世界人口の増加と新興国の経済成長により、2025年~2030年に訪れるいわれているタンパク質危機。飼料の高騰によって年を追うごとに養豚事業のコストは上昇しており、その上昇ぶんは段階的に価格にも転嫁されていく。Eco-Porkは、養豚農家の経営・生産効率化によって、このタンパク質危機に立ち向かう2017年11月29日(いい肉の日)に設立されたスタートアップ。
今回出資を受けた3社は、戦略的パートナーとして同社の事業を支援する。リアルテックファンドは、ユーグレナとリバネス、SMBC日興証券が運営するファンドで、Eco-Porkの販売・マーケティング活動などの経営を全面的に支援するとのこと。ちなみにユーグレナは、ミドリムシを利用した比内地鶏の飼料開発、などを手がけている。詳細は明らかではないが、Eco-Porkとの協業で豚用の飼料についても研究を進めると考えられる。
リバネスは、2010年より沖縄県で地域の未利用資源を活用した飼料開発と、それを給餌した養豚事業を展開。養豚技術に関しての知見を有していることから、今回の出資と提携に至ったようだ、ちなみに過去には、同社のブランド豚「福幸豚」(ふくゆきぶた)とユーグレナのバジルペーストが、小田急のお中元ギフトとして採用されたこともある。リバネスの養豚事業とEco-Porkのシステムが融合することで、より効率的な豚肉の生産が実現するだろう。
田中衡機工業所は、産業・工業用のハカリを開発・販売している会社。養豚では群管理が基本で、同じ群(グループ)の豚は決められた期間飼育されたあと一斉出荷される。しかし、飼育期間中に体調不良などでエサを十分に食べられず、基準となる体重を満たしていない豚は出荷できないこともあり、そのぶん手間がかかる。Eco-PorkのPorkerは、まさにこういった群管理の豚を個体ごとに効率的に管理するシステムだが、畜産向けの体重計でトップシェアを誇る田中衡機工業所と組むことで、今後はさらにきめ細かい体重管理や生産計画も可能になるはずだ。