TransferWiseのデビットカードがオーストラリアとニュージーランドでスタート

国際送金のスタートアップTransferWiseのデビットカードが、オーストラリアとニュージーランドで利用可能になった。同社のアジア太平洋地域での拡大に伴い、今年末までにはシンガポールも利用可能になることが計画されている。安くて透明性の高い手数料と為替レートを特徴とするTransferWiseデビットカードは、まず昨年英国と欧州で開始されたあと、今年6月には米国でも開始された。同社は、そのデビットカードが導入以来1500万回の取引に利用されてきたと主張している。

オーストラリアおよびニュージーランドの顧客は、TransferWise PlatinumデビットMastercardが利用できるようになる(ビジネスデビットカードも利用可能)。カードは複数の国の銀行口座に対応するTransferWiseのアカウントにリンクされるため、所有者は複数の通貨を簡単に安くやり取りすることができる。同社によれば、過去1年間で、顧客は100億ドル以上を口座に預けているということだ。

TransferWiseのデビットカードを使用することで、利用者は40以上の通貨を実際の為替レートで利用できる。共同創業者でCEOのKristo Käärmann(クリスト・ケルマン)氏は、TechCrunchに送ってきた電子メールの中で、TransferWiseがオーストラリアとニュージーランドでデビットカードを開始することにしたのは同地でもビジネスが既に急速に拡大していたからだと語った。「顧客の皆さまからのご要望にお応えすることに加えて、オーストラリアとニュージーランドでのカードの開始は、両国の方々が海外でご自身のお金を使おうとする際に、過剰に高い手数料を請求されているという事実に後押しされました。デビットカード、旅行カード、クレジットカードを、支払いや引き出しに使用するのには高い費用がかかっているからです」と語る。

ケルマン氏はさらに次のように付け加えた。「Capital Economicsによって行われた独自の調査によれば、オーストラリアの方々はただ銀行カードを海外で使うためだけに昨年1年に21億4000万ドル(約2267億円)を失っているのです。これは、銀行やその他のプロバイダーが、誰かが海外でカードを使用するたびに取引手数料を請求し、さらに為替レートが過大になっているからです。同様にニュージーランドの方々は、カードを海外で使用しただけで10億ドル(約106億円)を失っています」。

TransferWiseの競争上の利点の1つは、ほとんどのレガシーバンキングおよび送金サービスとは異なり、そのアカウントとカードが最初から国際的に利用されるようにデザインされていることだ。「オーストラリアとニュージーランドには既存のマルチ通貨カードがありますが、それらの利用は法外に高額です。例えばオーストラリアでは、TransferWise PlatinumデビットMastercardは、ほとんどの旅行、デビット、プリペイド、そしてクレジットカードより平均で11分の1の手数料なのです」ケルマン氏は言う。

TransferWiseカードには取引手数料や為替レートへの上乗せはなく、カード所有者は世界中のATMで、30日ごとに無料で最大350オーストラリアドルを引き出すことができる。

同社は現在、アジアの数カ国の規制当局と話し合っている最中だが、1件のプロセスには最大2年ほどの期間が必要だとケルマン氏は語っている。最近では、マレーシアで送金ライセンスが付与されたため、今年末までに送金サービスをマレーシアで利用できるようにする予定だ。

画像クレジット: TransferWise

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(翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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