【スタートアップバトルへの道】「もう一段レベルアップを図って出場」2018 Finalist / エアロネクスト #1

例年11月に実施される、スタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」。通算9回目となる今年も11月14日(木)、15日(金)に東京・渋谷ヒカリエでの開催が決定している。TC Tokyoで毎年最大の目玉となるのは、設立3年未満のスタートアップ企業が競うピッチイベント「スタートアップバトル」だ。

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連載「スタートアップバトルへの道」では、2016年、2017年のスタートアップバトル最優秀賞受賞者と昨年決勝に勝ち残ったスタートアップ、計8社に取材。バトル出場までの経緯や出場してからの変化について、登壇者に話を聞いている。

今回登場するのは、TC Tokyo 2018 スタートアップバトルファイナリスト、エアロネクスト代表取締役CEOの田路圭輔氏。2回に分けてお送りするインタビューの前半では、出場までの経緯や準備などについて話を聞く。

国内ピッチ4大会で優勝を狙っていた

エアロネクストは、UAV(無人航空機)やマルチコプターの機体フレームのあるべき姿を追求するドローンスタートアップ。TC Tokyo 2018登壇から約8カ月前の2018年3月に新技術「4D GRAVITY®」を発表している。4D Gravity®は、機体の軸がブレることなく飛行する重心制御技術だ。発表には大きな反響があり、エアロネクストでは2018年6月、プレシリーズAラウンドで資金調達も実施している。田路氏がスタートアップバトルへの応募を決めた背景には、こうした流れの中で「もう一段階、レベルアップを図りたい」との意図があったという。

「エアロネクストは、R&Dスタートアップだ。自分たちから売り込みに行くというよりは、ドローンに対する世間の考えや常識、空気を変えたいと思っていた。ドローンへの先入観や期待を壊しに行こうと考えていた折、ちょうど日本でいくつかのスタートアップ向けピッチコンテストがあったので、集中的に出場しようと計画した」(田路氏)。

田路氏は、2018年秋冬に行われたICC Kyoto 2018、B Dash Camp Fall 2018、TC Tokyo 2018、IVS 2018 Winterの4イベントを1つのパッケージと考え、「すべてのピッチコンテストで優勝を目指していた」と話している。実際に、TC Tokyo以外の3イベントでは同率1位も含め、優勝を獲得している。

実はTechCrunch Tokyo 2018の当日、田路氏は中国・深センにいた。この地で行われていた国際ピッチ大会「創業之星2018」に出場するためだ。「本来は9月に開催予定だったのだが、開催時期がずれ込み、TC Tokyoと重なってしまった。そこでTC Tokyoのほうは、大河内(同社空力研究所 上席研究員の大河内雅喜氏)に託して、自分は中国へ向かうことになった」(田路氏)。

創業之星では3位に入賞。知財戦略を評価され、知的財産賞も受賞した田路氏。TC Tokyoについては、リアルタイムで配信される中継を深センに来ていた他のメンバーと見ていたが、惜しくもファイナルラウンド進出で終わってしまい、「とても悔しく、残念だった」と振り返る。

直前で予期せぬプレゼンター交代

TC Tokyoに登壇したのは、エンジニアである大河内氏だったのだが、もともと自身が出場するつもりだった田路氏は、他のピッチコンテスト同様にプレゼンの準備をしていた。

エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔氏

プレゼンでは「みんなが信じていることに対して、最初に疑問を投げかける」ことにこだわっている、という田路氏。いつも「今飛んでいるドローンでは産業にならない」というところから、話をスタートさせるという。

「今あるドローンを、僕は『空飛ぶスマホ』『空飛ぶカメラ』と呼んでいる。みんなドローンに興味があるし、その可能性に盛り上がっているようなところがあるが、このままだと、みんなが期待しているようなドローンの市場は生まれない。それはなぜか……というところを解説していくのが、いつものプレゼンの流れだ」(田路氏)。

「漠然とみんなが感じているけれど、言葉にしていない課題を言葉で提示し、その上で、僕らの技術4D Gravity®がどう有用に働くかということを訴えていく。この流れだけは初めから決めている」と田路氏。自身が登壇する際には、この流れに沿いながら「オーディエンスの反応を見て、プレゼンテーションのトーンやワードは変えている」という。なんとイベントに先立って「練習もしていないし、原稿を書くこともない」そうだ。

「大きな枠組みはあるが、あとは(会場の)雰囲気や感じを見て、ストーリーやトークの強弱を決めている。プレゼン資料づくりも僕自身というより、チームで行っている。役者と脚本家のようなもので、その方が僕はうまくプレゼンができる」(田路氏)。

昨年秋はピッチのパフォーマンスがピークにあった、という田路氏は「TC Tokyoにも、優勝する自信があった」ともらす。プレゼンファイルは田路氏のために用意していたものを、大河内氏が使って登壇したとのこと。「結局、僕のプレゼンストーリーを彼がそのままやる形になり、ちょっとかわいそうだったかなと思う。もう少し時間が取れて、彼が独自のストーリーで、自分のファイルをつくって話せたら、また違った結果になったかもしれない」(田路氏)。

 

インタビュー後半では、スタートアップバトル出場後の社内外の変化や今後の同社の展望について聞く。

 

なお現在、スタートアップバトルの応募だけでなく、TechCrunch Tokyo 2019のチケットも販売中だ。「前売りチケット」(3.2万円)をはじめ、専用の観覧エリアや専用の打ち合わせスペースを利用できる「VIPチケット」(10万円)、設立3年未満のスタートアップ企業の関係者向けの「スタートアップチケット」(1.8万円)、同じく設立3年未満のスタートアップ企業向けのブース出展の権利と入場チケット2枚ぶんがセットになった「スタートアップデモブース券」(3.5万円)など。今年は会場の許容量の関係もあり、いずれも規定数量に達した際は販売終了となる。

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投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。