中国人民銀行は、PayPalがGoPay(Guofubao Information Technology Co)の普通株70%を買収することを承認した。これにより、PayPalは中国でオンライン決済サービスを提供する、初の海外プラットフォームとなる。GoPayはオンラインとモバイルの決済を提供していて、主にeコマースやクロスボーダーコマース、航空観光といった業界向けの支払いプロダクトを展開してきた。
Guofubaoの声明文によると、PayPalは上海拠点の子会社Yinbaobao Information Technologyを通じて支配権を収めた。両社ともディールの詳細は非公表としている。
今回のPayPalの中国進出は、米国と中国の間で緊張が高まっている中でのニュースとなる。伝えられているところによると、ホワイトハウスは貿易論争が続いている中で今度は中国企業への投資の制限を検討しているとのことだ。
中国の決済マーケットは現在、モバイルではAliPayやWeChat Payなど電子財布プロバイダーを含む地元企業が主導権を握っているが、まだ成長の余地はある。そこにPayPalは目をつけた。
モバイル決済だけを見ても、マーケットは2023年には2017年から21.8%成長して96兆7300万ドル(約1京374兆円)になると見込まれるとFrost & Sullivanはレポートで述べている。こうした成長を牽引するのが増加しているeコマースの需要だ。またモバイル決済マーケットはクロスボーダー部門でも拡大中だ。特に、eコマース、旅行、海外教育といった分野で利用されていて、2016年の決済額は6兆6600億ドル(約720兆円)だった。
レポートではまた、モバイル決済利用者の総数は2023年までに2017年から5億6200万人増えて9億5600万人に達すると予測している。
昨年、中国中央銀行は海外の決済サービス企業にさらに門戸を開くと述べていた。
金融サービスマーケットの米国企業は長い間、中国参入で苦心してきた。アメリカン・エキスプレスは昨年11月、中国でのクレジットカード精算サービス展開の許可を取得した初の米国カードネットワークとなった。また今年は、マスターカードが中国企業と合弁企業を立ち上げての参入を目論んでいる。
PayPalの買収は、2019年第4四半期にクローズする見込みだが、これはクロージング条件にもよる。
同社の全声明文は以下のとおりだ。
中国人民銀行は、PayPalのGuofubao Information Technology Co普通株70%の買収と、中国における決済事業ライセンスを承認した。中国におけるオンライン決済サービス展開のためのライセンスを取得した、初の海外決済プラットフォームとなったことを光栄に思う。中国の金融機関、そしてテクノロジープラットフォームと提携して、中国とグローバルの両方で消費者や事業者により包括的な決済ソリューションを提供することを楽しみにしている。買収は2019年第4四半期の完了が見込まれているが、クロージング条件にもよる。
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(翻訳:Mizoguchi)