指値注文と本物鑑定でスニーカー売買に変革を、「モノカブ」が2.2億円を調達

CtoCのスニーカー売買プラットフォーム「モノカブ」を展開するブライノは11月11日、XTech Ventures、W Ventures、アドウェイズなどより総額で2.2億円を調達したことを明らかにした。

モノカブは個人間で新品の商品を売買できるプラットフォームで、現在は新品のスニーカーに特化する形で運営。取引時に全ての商品をモノカブが鑑定することで偽物を排除する体制を構築していることと、購入者・販売者双方が「指値」で取引できる板寄せ方式のシステムを採用していることが特徴だ。

もしモノカブ上で自分が欲しいスニーカーを見つけた場合、ユーザーは「購入」か「入札」のどちらかを選ぶ。他のユーザーがすでに該当の商品を出品していて、かつ出品価格に納得できる場合にはそのまま購入することが可能。この場合はすぐに売買が成立する。

一方で現在出品されている価格が高いと感じた際には「自分の購入希望価格」で入札することもできる。これがフリマサービスなどとモノカブが大きく異なる点で、入札を選んだ場合には「入札価格で売買してもいい」という出品者が現れた際に初めて取引が成立する仕組みだ。

販売者側のユーザーに関しても同様に「販売」と「出品」の2つの選択肢がある。自分が保有しているスニーカーについて他ユーザーの入札価格に納得できれば、その価格でスピーディーに販売することが可能。もっと高額で売りたいと思えば、希望価格で出品して新たな購入者が現れるのを待ってもいい。

スニーカーはその特性上、時期によって相場価格が変動したり、同じ商品でもサイズごとに価格が変わったりするためなかなか妥当な価格を掴むのが難しい商材でもある。モノカブでは過去の売買履歴をサイト上で誰でも閲覧できるため、従来は見えにくかった価格が透明化されている点もポイントだ。

取引成立後はモノカブが全てのスニーカーを鑑定。偽物ではないことが確認されれば、購入者の元に商品を送付する。

フリマサイトやオークションなどのCtoCプラットフォームにおいて1つのネックになるのが、特に高額商材などの「偽物」問題。ブライノ代表取締役の濱田航平氏によると実際にモノカブでも毎日数件の商品が鑑定で引っかかるそうで(偽物だけでなく中古品も含む)、偽物を排除する仕組みを設けることで安心して売買できる場所を作ってきた。

2018年11月の正式リリースから約1年が経つが、売買流通金額は毎月約50%成長のペースで拡大しているという。

「モノの株式化」テーマにサービス拡大へ

モノカブという名の通り、このプロダクトの背景には「モノの株式化」というテーマがある。

濱田氏は前職の証券会社時代に「株式における『指値での取引』を、他のモノの売買にも転用することでフェアな仕組みを作れないか」を考えていたそう。当初は商材として家電なども検討していたそうだが、「個人間で活発に売買されていて、なおかつ値段の動きが激しいモノ」の方が相性が良いと考え、まずはスニーカーから始めることに決めたという。

この領域ではモノカブと同じく株取引のアイデアを取り入れたCtoCマーケットプレイス「StockX」がユニコーンへと成長(スニーカーからスタートし、現在はブランドバッグや時計、アパレル用品などにも拡大)。またスニーカーの売買が活発な中国でも「」や「nice」など大型の調達を実施するプレイヤーが生まれている。

ブライノでは今回調達した資金を活用して組織体制を強化し、プロダクトのアップデートを進めていく計画。ゆくゆくはアパレルや家電など、スニーカー以外のジャンルにも対象を広げていきたいという。

投稿者:

TechCrunch Japan

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