カスタマーデータプラットフォーム(CDP)は、カスタマーエクスペリエンスの武器の集まりともいえる最新のツールだ。大手企業が複数のチャネルから集めた顧客データを扱うためにこれに取り組んでいる。米国時間11月14日、AdobeはCDPを一般に提供すると発表した。
CDPは一人ひとりの顧客に関するあらゆる情報を保管するデータ倉庫のようなものだ。そのチャネルはWeb、メール、テキストメッセージ、チャット、実店舗への来店、そしてCRMやeコマース、POSといったシステムまで多岐にわたる。こうしたデータを1件のレコードにまとめ、企業が顧客を驚くほど詳細なレベルで深く把握しようとする。そして企業はこの情報を活用して、複数のチャネルにわたって高度にカスタマイズされた体験を提供することを目指す。
CDPは情報をすべて集め、マーケティング担当者に必要なツールを提供するものだ。Adobe Audience ManagerプロダクトマーケティングマネージャーのNina Caruso(ニーナ・カルーソ)氏は「マーケティング担当者がAdobe Experienceプラットフォームの利点をすべて活用できるようにしたい」と説明する。
マーケティング担当者が見たいデータを使いやすいようにダッシュボードなどでまとめて提示するが、その裏側ではAIと機械学習によって見やすいダッシュボードが生成されるので面倒な作業は不要と、カルーソ氏は語る。
さらに、Adobe Experienceプラットフォームの中の1カ所でリアルタイムのストリーミングデータにアクセスできるようになり、マーケティング担当者はこれまで以上に精密に市場のセグメントを作成できる。「マーケティング担当者が活用できるように、リアルタイムCDPの一環として統合されたプロモーションを製品化できるようにする。キャンペーンの対象となっているセグメントやオーディエンスを複数のチャネルで利用することで、カスタマージャーニーのライフサイクル全体を通して一貫した体験を提供できる」とカルーソ氏は言う。
危惧する人も多いと思うが、こうした情報をまとめることは、顧客に応じたカスタマイズを可能とするプラットフォームを実現する一方で、さまざまなセキュリティやプライバシーの危険性もはらんでいる。GDPRや今後施行されるカリフォルニア州消費者プライバシー法に関しては、特にそうだ。企業はプラットフォーム全体にわたってデータの使用ルールを遵守しなくてはならない。
そのためAdobeは、企業がデータ使用に関するルールを定めるのに役立つよう、Adobe Experienceプラットフォームのデータガバナンスに関する有効性も発表した。これは「(顧客が)データ使用ポリシーを実行し、データを適切に使用することで、さまざまなデータセットに関連する規則、義務、制限を遵守するためのフレームワーク」だという。
カルーソ氏は「我々のお客様がデータを適切に管理できるように、お客様に制御機能を提供する。プライバシーとさまざまなポリシーが重要になりつつある現状では、特に重要なことだ」と述べている。
CDPのツールはAdobeの利用者向けにすでに公開されている。
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(翻訳:Kaori Koyama)