食品を航空宇宙グレードのドローンで配達するMannaがシードラウンドで累計約5.7億円調達

先日ラジオを聴いていたら、インタビューを受けていた「未来派」の人が「いつかドローンが食品を配達するようになるが、そんなすぐには実現しない」と予測していた。予測とはそんなものだ。というのも、来年初めにアイルランドの家庭が利用できるようになるのは、まさしく食品配達のドローンだ。

B2Bドローン配達の「アズ・ア・サービス」企業であるMannaは12月18日、300万ドル(約3億3000万円)の追加投資ラウンドを発表した。本ラウンドはロジスティックにフォーカスしているファンドのDynamo VCがリードし、シードラウンドは累計520万ドル(約5億7000万円)となる。同社は自称「航空機グレード」のドローン配達企業で、自律飛行ドローン配達プラットフォームを2020年初めにまずは欧州で、それから米国で展開する計画だ。

Mannaのドローンは変わっている。通常目にするドローンよりもかなりモジュラー化されており、配達のようなロジスティック用途に適している。欧州と米国で製造されており、カスタムデザインで航空宇宙グレードのドローンを使用する。

このドローンは全天候対応のデザインで、高度500フィート(約152m)超は飛行しない。アイルランドでの最初の食品配達はまず地方で実施され、ゆくゆくは都市部の郊外でも展開される。最初のサービスは、食事オンライン注文プラットフォーム、レストランチェーン、3分での配達という信じられない約束をしている「ダークキッチン」(ゴーストレストラン、配達専門の飲食店)向けに提供される。このサービスは明らかに陸上配達よりもずっと安くて早く、田舎ではその強みをより発揮できる。

Mannaはまた、Flipdishとも提携する。Flipdishはアイルランドのレストランや持ち帰り店が使用しているオンライン配達プラットフォームを運営している。同社のドローンは、レストランやダークキッチンの現場から直接操作され、フードテックプロバイダーやオンラインフードプラットフォームはAPIを通じてアクセスできるようになるとのことだ。つまり、1台のドローンが需要に基づいてあらゆるプロバイダーに対応することを意味する。

創業者で起業家のBobby Healy(ボビー・ヒーリー)氏は以前、Eland Technologiesを創業し、2003年に同社をSITA.AEROへ売却した。直近では航空産業向けB2BモビリティマーケットプレイスのCarTrawlerを創業した。同社のプライベートエクイティLBO後もヒーリー氏は役員としてまだ残っている。

ヒーリー氏は「我々は第5次産業革命の先端にいる。この産業革命はドローンによるものであり、我々はMannaでドローン配達を流れる水のように広げたい。この産業革命は文字通り、世界中のマーケットプイスや経済、コミュニティを変える。単に二酸化炭素排出を抑制するだけでなく、命を救い、雇用を創出する」と話す。

Dynamo Venturesで投資を率いたJon Bradford(ジョン・ブラッドフォード)氏は次のように語っている。「難しいが巨大であるこの分野において、Mannaほど野心的で有能なドリームチームはない。ボビーと彼らの素晴らしいチームは全く先例のない振興マーケットで足がかりをとらえようとしている。2020年に米国で彼らのビジョンの推進をサポートすることを楽しみにしている」。

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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