まあ、こんな話は滅多に聞くことはないだろう。
ドイツのソフトウェア大手であるSAPは、エクスペリエンス管理プラットフォームのQualtrics(クアルトリックス)をIPO直前に80億ドル(約8430億円)で買収したが、買収後2年も経たないうちに、同社を新規IPOとしてスピンアウトすることを決定した。
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米国時間7月26日に発表されたプレスリリースの中で、SAPはCEOのChristian Klein(クリスチャン・クライン)氏の言葉を引用しつつ、Qualtricsのクラウド上での成長が「40%を超えた」と記している。新しいスピンアウト会社はQualtricsの買収とともにSAPに合流し、事業をSAPの中で率いてきた、創業者で元CEOのRyan Smith(ライアン・スミス)氏によって引き続き経営が行われる予定だ。
SAPは新しいスピンアウト会社の過半数の所有権を保持する。興味深いことに、プレスリリースは「ライアン・スミス氏はQualtricsの最大個人株主になる予定だ」と指摘している。
SAPのプレスリリースは曖昧だが、その意図はこの分離によってQualtricsが親会社SAPの影響の強い顧客やパートナー以外ともより自由に連携できるようにするというものだ。
私のEquityの同僚であるAlex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)が彼のExchangeコラムでより詳細に分析する予定だが、買収に対するSAPの急速な方向転換は大きな驚きだ。未公開株投資会社が、買収した企業を非公開にした上で再びIPOを行わせるということはときどき見られるが、SAPのような大企業が買収の判断を短期間に反転させることは滅多に見られることではない。
しかし、最近の熱気に満ちたSaaSを考えると、特に私たちが最後に見た財務状況が保持されているならば、Qualtricsが公開市場に戻る動機は明らかだ。Wilhelmと彼のCrunchbaseニュースチームが、S-1(企業がIPOに向けて初期にSECに提出する書類)提出時に書いた記事では以下のような書かれている。
Qualtricsは、2020年に株式を公開するほとんどの企業とは異なり、成長という名の下に損失を抱えた企業ではない。それが示しているのは、成長が可能だということ、そして持っている資金のすべてを同時に失うことはないということだ。
「損失を抱えた企業ではない」という表現は、当時としては褒め言葉だったが、Qualtricsは確かに同業他社よりも優れていた。こうしたファンダメンタルズが変化していないとするならば、SAPの戦略的計画の途中変更からもたらされた今回のIPOは、Qualtricsとスミス氏にとって真の勝利であるように思える。
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(翻訳:sako)