Tesla(テスラ)は電気自動車メーカーのRivian(リビアン)と4人の元従業員を従業員不正引き抜きと営業秘密窃盗の疑いで提訴した。
サンタクララのカリフォルニア上位裁判所で起こされた訴訟をBloomberg(ブルームバーグ)はいち早く報じている。
Teslaは、RivianがTeslaの従業員に対し退職時に専有情報を持ち出すようそそのかしたと主張している。また、最近Rivianに入社したばかりの従業員に共通する「怪しいパターン」を発見したとも主張している。
訴状にはこうある。「Teslaが現在、理解しているところでは、Rivianは最近退職したTeslaの従業員に、RivianがTeslaのどういった機密情報を必要としているか教えた。Rivianと従業員は、機密情報の取得が従業員のTeslaに対する秘密保持義務違反にあたることを十分に理解していた。にも関わらず、従業員はRivianが正に求めていた情報をRivianに渡した。その情報は、Rivianに競争上の大きな優位性をもたらす機密性が非常に高い企業秘密だ」。
Teslaは訴状で4人の元従業員を名指ししたが、同社による調査は継続していると付け加えた。同社はRivianで働いていた別の元従業員2人を特定し、彼らが「Teslaの企業秘密、機密情報、専有情報を不正に流用した可能性がある」と主張している。
訴状で特定された企業秘密には、採用慣行や給与水準や候補者リストなど人材発掘と採用に関連する文書が含まれている。故意に盗まれたとされる文書には製造プロジェクトの管理情報もある。
TeslaはRivianが178人の元従業員を雇ったと主張している。そのうち約70人はTeslaから直接Rivianに移ったという。
Rivianはそれに応えて、主張には根拠がないとしてTechCrunchに声明を出している。
当社は、Teslaが電気自動車の可能性への期待を再定義するにあたってリーダーシップを発揮したことを称賛します。Rivianは能力が高く使命に燃えるチームで構成されており、当社のビジネスモデルとテクノロジーは長年におよぶエンジニアリング、設計、戦略開発に基づいています。これには、テクノロジーおよび自動車業界全体の何千人もの従業員の貢献とノウハウが必要です。当社はすべての従業員がRivianに入社する際、前職の知的財産をRivianに持ち込んでいないこと、および持ち込まないことについて従業員に確認を求めます。この訴訟の主張には根拠がなく、Rivianの文化、精神、企業方針に反するものです。
Rivianは企業秘密を盗んだとTeslaが提訴した最新の企業になった。自動運転スタートアップのAurora(オーロラ)に対する2017年の訴訟( Fortune記事)など、Teslaによる訴えの中には完全に取り下げられたものや合意に至ったものもある。 Xpeng Motors(シャオペン・モーターズ)に対する訴訟(未訳記事)のように続いているものもある。Zooxに対する訴えは2020年4月に和解した。
Rivianは過去18カ月間で数百人を雇用するなど、事業を拡大している。同社には約10年の歴史があるが、表舞台に出たのは創業者兼CEOのRJ Scaringe(R・J・スカーリンジ)氏がLAオートショーで2台の車を発表した2018年後半だ。
それ以来RivianはEV業界の寵児となった。最近25億ドル(約2600億円)の資金を調達し、業界初のEVピックアップトラックの市場投入を目指している。
RivianにはAmazon(アマゾン)、Ford(フォード)、T. Rowe Price(Tロウプライス)の助言を受けたファンドや企業など、著名な投資家が投資する。アマゾンは顧客でもありRivianに10万台のEVバンを注文した。
同社はイリノイ州ノーマルに建設中の工場でR1T EVピックアップトラックとR1S SUVを組み立てる予定だ。アマゾンへのEVバン納入に向けた準備も始める。3つの製品はすべて2021年に市場投入される予定だ。
画像クレジット:Kirsten Korosec