お馴染みのフレーズである。「パワーポイントは使えない!」 または、「スライドのおかげでプレゼンが台無しだ!」
週末を迎えるにあたって、考えてもらいたいことが一つある: パワーポイントが使えないのではなく、使えないのは、ユーザー、つまり、あなた自身である。と言っても、「皆さん」(このブログの記事を読んでいる方々…私の知る限り、読者の皆さんは賢い方ばかりだ)ではなく、中身を全く理解していないにも関わらず、このプレゼンソフトウェアを過剰に利用し、講演を行っている/プレゼンを行っている/聴衆の注目を集めようとしている人達を指している。これから実際に起きた出来事の話をする: 数ヵ月前、私は取締役会で話をしていた。この会議は、小さな高級ホテルで行われ、20名の親しい重役のグループのために、最新の50インチの2台のテレビモニターが、オーディオ/ビデオとして用意されていた。 私はMacBook airをスプリッターでつなげられた2台のテレビに直接接続し、準備を完了した。会議室には、会議の設定がぬかりなく行われるように、この会社のコミュニケーション、そして、マーケティング部門の幹部も詰めかけていた。スライドをクリックしていると、そのなかの一人から質問が寄せられた: 「スライドを表示するために、どのソフトウェアを使っているのですか?」 この問いに対して、私は「ええと、パワーポイントです。」と超えた。すると、彼らは、お互いを見て、急に笑い始めた。「我々のパワーポイントの使い方とは随分違いますよ。」と言われてしまった。
パワーポイントが悪いのではない。悪いのはあくまでもユーザーだ。
見出しと箇条書きが過剰に利用される理由を挙げていく:
- 内容をよく理解していない。
- プレゼンをデザインする方法を知らない。
- ストーリーの伝え方を分かっていない。
- 何かを忘れてしまうのではないかと心配している。
問題の根はもっと深い。
魅力的なプレゼンを作る方法、そして、デザインする方法を本気で理解したいなら、ゲール・レイノルズ氏やナンシー・デゥアルテ氏、ニック・モーガン氏、そして、ピーター・カフター氏が、この記事よりも遥かに詳細な情報を提供しているので、是非、参考にしてもらいたい。 ここで分かってもらいたいのは、過去にひどいプレゼンを提供したことがあるとしても、引きずるべきではない、と言う点である。パワーポイント、キーノート等のソフトウェアは、何も書かれていないキャンバスである。好きなことを描いて構わない。ただし、スライドに何を載せるにせよ、それは、コンテンツではない。スライドに載せるのは、あくまでも、自らの発言を補う手段でしかない。プレゼンはスライドではない。プレゼンはテクノロジーでもない。プレゼンは、画面上のワードやイメージでもない。プレゼンは、得た情報を、シンプルで、有益で、尚且つ、興味深いストーリーをオーディエンスに伝えるフォーマットに抽出する能力である。
次に絶対に実施してもらいたい取り組みを挙げていく:
- 内容を隅々まで理解する。スライドが適切に表示されなくても(何かしら必ず予期せぬことが起きるものだ)、プレゼンター、または、伝えるストーリーに影響が出ないほど徹底的に把握してもらいたい。
- ストーリーアーク(一連のストーリーライン)の作り方が分からないなら、戦略および構造を策定することが可能な人物を探す/雇う。
- ストーリーの伝え方を学ぶ。始まり、中間、そして、最後を把握してもらいたい。プレゼンが終わった後に、オーディエンスに覚えておいてもらいたいポイントを1つ、または、2つ挙げよう。
- 何かを忘れてしまうことを心配する必要はない。全体像が分かっていれば、細かいポイントも丸く収めることが出来る。
- 練習し、リハーサルを行い、内容をじっくり理解する(繰り返しが、成果を生む)。
優れたスライドを作ろう。
必ず、プレゼンテーションのコピーが欲しい、もしくは、雛形として残すべきだと言いだす人が現れるだろう。この罠に引っかからないように注意してもらいたい。これは誤った考え方である。何かを残さなけれならないなら、スライドを残すべきではない。スライドの代わりに、台本、もしくは、よりフォーマルな資料を残す必要がある。なぜなら、スライドは、ストーリーの一部でしかないからだ。事実、個人的には、スライドを見せるスピーカーがいないなら話は別だが、スライドが存在する意味を全く持たないプレゼンこそ、世界最高のプレゼンだと思っている。あくまでもストーリーを伝えることに力を入れてもらいたい。スライドは、伝えるメッセージを視覚的に支援するためだけに存在する。スライドが目立つようなら、プレゼンターの存在は必要なくなってしまう。スライドに表示されている言葉を見れば、すべて理解することが出来るためだ。
それでは、あまりにも悲し過ぎる。
筆者について:ミッチ・ジョエルは数々の受賞歴を誇るカナダ発のデジタルマーケティング/コミュニケーションエージェンシー、Twist Imageの代表です。2008年にはカナダで最もソーシャルメディア上で影響力のある人物、そして40歳以下で最も有名な40人の一人、さらに世界で最も影響力のあるオンラインマーケッター100人の一人に選ばれました。著書である「Six Pixels of Separation」(Grand Central Publishing – Hachette Book Group)は、ビジネス/マーケティング書として英語圏で大ベストセラーになっています。ミッチのブログはこちらから。
この記事は、Six Pixels of Separationに掲載された「PowerPoint Doesn’t Suck. You Do.」を翻訳した内容です。