製造工程をSpaceX流に改善するワークフローツール開発のFirst Resonance、創業者は元SpaceXのエンジニア

元SpaceXのエンジニアによって創設されたFirst Resonance(ファースト・レゾナンス)は、およそ2年間のステルスモードからついに姿を現し、世界に向けてソフトウェアツールキットを発表した。彼らの以前のボスの物作りのやり方を導入できるようデザインされた製造業者向けのソフトだ。

一連のソフトウェア製品からなるこのツールキットは、より柔軟な製造工程を可能にし、この新型コロナウイルス感染拡大によるソーシャルディスタンスの時代に、ハードウェア製造業者を遠隔管理の重圧から解放する機能もある。

「最初の数社の顧客は、これを使うことで実際に成長し、在宅での工場のワークフロー管理を容易にしています」とFirst Resonanceの共同創設者Karan Talati(カラン・タラティ)氏は言う。

First Resonanceが開発したこのソフトウェアを使うことで、製造業者はワークフローの組み立てを調整できるようになる。「まさにこれのために、我々はSpaceXの運転席から降りて、製造業や改修業で我々と同じような立場にいる人たちに協力しようと決めたのです」とタラティ氏。「その根底を支えるるのは、デザインや製造工程の改善に関する見識を企業が利用できるようにするデータプラットフォームです」と続けた。

「作業工程の面で言えば、無駄を削減し、より効率的に製品を作るというです。しかしこのソフトウェアは、製造業から収集した情報も含めてデザイン判断や上流の製品開発工程の改善ための情報提供もしてくれます」とタラティ氏は説明する。

同社の技術は、すでにPhase Four(フェーズ・フォー)、Joby Aviation(ジョビー・エイビエーション)、Iron Ox(アイアン・オックス)といった最先端の製造業者に採用されている。

このソフトウェアが十分に力を発揮できるのは、新しい製造工程や製造能力を構築しようとしている企業であり、レガシーなインフラに埋もれているところではそもそも難しい。「Tesla(テスラ)やSpaceXがコスト削減を実現できた理由として、より柔軟に運用できるシステムに作り変え、生産ラインから上がってくる情報に適応してきたことが挙げられます」とタラティ氏。「そのようにして私たちはFalcon 9での巨額のコスト削減の要求に応えることができたのです。データを上流で生かし、そのデータをフィードバックして混乱を受け入れました」とのこと。

タラティ氏によれば、製造業の多くは、あまりにも膠着した工程に依存しているため、解きほぐす必要があるという。すでに、航空宇宙、防衛、自動車といった製造業者は、若い製造スタートアップを買収したり、または提携したりして、その専門性と柔軟性の利点を生かしている。同氏が例に挙げたのは、Boeing(ボーイング)に買収されたMillennium Space System(ミレニアム・スペース・システム)と、超音速Air Force 1ジェット機のデザインを請け負ったHermeus(ハーミュース)だ。「私たちは、敏捷な製造業という新しい行動様式を可能にすることで、本当に進化できるのです」とタラティ氏は語る。

顧客は現在6社で、そのほとんどは6月から7月に契約している。ソフトウェアを昔ながらのサービスモデルでユーザー数での課金する。

First Resonanceは本日までに、200万ドル(約2億1000万円)弱を、Fika Ventures、Wavemaker、Stage Venture Partners、Village Globalといった地元ロサンゼルスの投資会社から調達している。

First Resonanceが提示した調査会社Makets and Markets(マーケッツ・アンド・マーケッツ)によると、工業用ソフトウェアの市場は149億ドル(約1兆5700億円)規模に達しようとする急成長市場(Makets and Marketsレポート)とのことだ。First Resonanceは、SpaceX、NASA、Lexus(レクサス)その他の航空宇宙および自動車製造業から人材を集め、そこに挑んでいる。

「その需要の大部分は、SpaceXから、航空宇宙、防衛、製造という幅広いエコシステムに移籍してきた人材によって生み出されている」とタリティ氏は言う。それは、売り込みを行う際の大きなセールスポイントにもなっていると話していた。

「移籍してきた人材によって私たちは大いに助けられています。私たちはこう簡単に訴えることができます。『それを私たちはともにやってきたのです。つまり、私たちはユニットエコノミクスの形をとっているので、億万長者のCEOがいなくても資金調達ができます』と」と語った。

個人の能力を引き出し、システムとのつながりを持たせるというSpaceXでの教訓が、製品の改善を重ねる企業のイノベーションを可能にすると同氏。そしてFirst Resonanceは、他の企業にツールキットを提供し、そうした考え方を各社の製造工程に導入できるようにした。

「私たちがFirst Resonanceに投資したのは、創設者のカランとNeal(ニール)が、この企業の創業者として、SpaceXとUptake Technologiesで培った経験に基づく他に類を見ない資質を備えているからです」と、Wavemaker Partnersの共同経営者Mikal Khoso(ミカル・コーソ)氏は声明の中で述べている。「時代遅れの技術や手法に溢れる製造業界では、デジタル化による革命はなかなか起きません。First Resonanceは、現代の製造業のための工場用オペレーティングシステムを構築し、ハードウェア製造企業が21世紀の製品を21世紀のやり方で作れるようにします」と締めくくった。

画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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