TechCrunchが「バックアップおよびディザスターリカバリー(災害などによる被害からの回復措置、あるいは被害を最小限に抑えるための予防措置)の会社」と呼ぶDatto(ダット)が株式上場を申請したのはわずか数週間前のことだ。先週同社は、上場時の初期価格範囲(イニシャルレンジ)を設定した。
Vista Equity Partners(ビスタ・エクイティ・パートナーズ)傘下の同社は2017年にこの非上場会社に買収された。Vistaは最近いくつかの理由で再び注目を集めており、経営陣による不正行為、つまり脱税と巨額な罰金もそのひとつだが、 少なくともDatto方面からやってきたのは良い知らせだ。
なぜか? VistaはDattoを約15億ドルで買っており、IPO価格に基づくと、DattoのイグジットによってVistaは数十億ドルを手にすることになるからだ。
Dattoが提出した最新のS-1書類によると、同社はIPO株価の目標範囲を24~27ドルに設定している。計算結果は以下の通り。
- IPO後の発行済株式総数(引受人割り当てを除く):1億5754万8740株
- IPO後の発行済株式総数(引受人割り当てを含む):1億6084万8740株
- 現在価格に基づく最高評価額(引受人割り当てを除く):42億5000万ドル
- 現在価格に基づく最高評価額(引受人割り当てを除く):43億4000万ドル
最後の2つの数値はVistaがDattoのために払ったとされる15億ドルを劇的に上回っている。
Dattoはどうやってこの数年間でそこまで価値を生んだのか? 財務用語で言うと、会社は年間相当売上約5億ドルへと成長した。これは2020年Q1とQ2の売上実績に基づいている。その結果同社の売上マルチプルは現在の最大IPO価格の10倍以下になる。
そしてその価格は理にかなっている。Dattoはさほど速くは成長していない。たとえば2019年前半期から2020年前半期の成長は16%にすぎない。ただし同社は最近黒字になり、それが評価額に好影響を与えている。しかしさらに重要なのは、2017年から2020年にかけてソフトウェア業界では売上マルチプルの増大が見られていることだ。加えてDattoが2017年以来成長したことで、買収価格よりはるかに高い値がついている。
Vistaにとっても良いニュースだ。ただし、このリターンに関して税金問題が起きないとしてではある。Dattoの価格とデビューについては今後も注目だ。
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