ポッドキャスト広告のAcastがポッドキャストアプリRadioPublicを買収

ポッドキャスト広告会社Acast(エーキャスト)は公共ラジオマーケットプレイスPRXから2016年にスピンオフしたスタートアップRadioPublic(ラジオパブリック)を買収したと発表した。

まず最初に、RadioPublicのメインプロダクトはポッドキャスト視聴のためのモバイルアプリで、同社はまだアプリを展開している。しかし共同創業者で最高製品責任者のMatt MacDonald(マット・マクドナルド)氏は、チームの注力対象がポッドキャスターのためのプロダクト、特にListener Relationship Management Platform(リスナー関係管理プラットフォーム)に移行したと繰り返し述べていた。同プラットフォームには埋め込み可能なウェブプレイヤーPodsitesと呼ばれるカスタムウェブサイトなどが含まれる。

「我々は構築したかったものすべてのロードマップを持っていましたが、当社の規模ではより大きな組織と提携することでもっと満足してもらえるのではと認識しました」とマクドナルド氏は話した。

最終的に、RadioPublicはAcastがパートナーとしてだけでなくオーナーとしてふさわしいと結論づけた。Acastの事業はまだポッドキャスト広告が中心だが、Acast Openホスティングプラットフォームのような新しいツールで事業を拡大している。そしていま2万のポッドキャストをホストし、月間ユーザー数は3億人に到達した、としている。

「RadioPublicの買収は、基本的に価値観の提携です」とAcastの最高事業戦略責任者Leandro Saucedo(リアンドロ・サウセド)氏は声明で述べた。「両社ともオープンなポッドキャスティングのエコシステムを信じていて、リスナーの発見とクリエイターのサポートというコミットメントを共有しています。RadioPublicがこれまで成し遂げたことに我々は感銘を受け、ポッドキャスティングがこれまでになく勢いを得ている現在こそRadioPublicの才能あるチームと社のミッションをAcastに持ってくる時だと確信しています」。

買収の条件は明らかにされなかったが、買収はRadioPublicの事業に影響しないとAcastは話している。

マクドナルド氏と共同創業者でCTOのChris Quamme Rhoden(クリス・クアメ・ロデン)氏は2人ともAcastに加わり、RadioPublicの機能をAcastのプラットフォームに統合するのに取り組むが、RadioPublicは「予見可能な未来」のために自前のプロダクトとモバイルアプリのサポートを続ける、とマクドナルド氏は述べた。

同氏はまた、RadioPublicがAcastと協業しながら「ポッドキャスターとリスナーの関係や結びつきを強化、深化する」ことに引き続きフォーカスするとつけ加えた。同氏の見方では、Spotifyのような大手がポッドキャスティングに投資しても、そこにRadioPublicのチャンスがある。

「我々はどうやってクリエイターがオーディエンスとの関係をコントロールできるようにするのでしょうか。ポッドキャストのリスナーはあくまでリスナーであり、プラットフォームの顧客ではありません 」とマクドナルド氏は話した。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AcastRadioPublic買収ポッドキャスト

原文へ

(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。