サステナブルファッションに関するポッドキャストにゲスト参加した際に偶然出会ったLaura Wittig(ローラ・ウィティグ)氏とLiza Moiseeva(リザ・モイシーヴァ)氏。あまりにも意気投合した2人は、Good Togetherと名づけた自分たちのポッドキャストを始めることにした。無理のない範囲で、環境に配慮した消費者になる方法を学ぶ場所を提供するというのが同番組の目的だ。
一消費者がゼロ・ウェイストを完璧に実行できていないからといって、批判的になることのない姿勢が同番組の差別化要因だとウィティグ氏は考えている。「すると次第に、単なるリスナーとして以外に何ができるのかという質問を人々からeメールで受けるようになりました」と同氏。番組開始から1年以上経った現在、共同ホストの2人はこういったリスナーからの言葉に応えるべく、新たに独立した事業Brightlyを立ち上げた。
Brightlyは厳選されたエコフレンドリーなグッズを販売し、環境意識の高い消費者になるためのアドバイスを提供するプラットフォームだ。同スタートアップはSheets & GigglesやJuice Beautyなど、環境に優しいブランドの製品をすでに200点以上取り扱っているが、長期的なビジョンはBrightlyブランドとして独自の製品シリーズを立ち上げることだという。ホームスペースで2~4製品を目安に展開し始めていく予定だ。
製品をホリデーシーズンに間に合わせるため、同社はTacoma Venture Fund、Keeler Investmentsの他、FAB Venturesの支援者で元L’OréalのCEOのOdile Roujol(オディール・ルジョル)氏、Female Founder’s Allianceなどの投資家から100万ドル(約1億500万円)のベンチャー資金を調達したとTechCrunchに語ってくれた。
Brightlyの目まぐるしい12カ月間を締めくくるものとなった今回の資金調達。同社はソーシャルメディア企業Snapの2018年に始まった社内取り組みであるYellow Acceleratorに参加した。プログラムの一環としてSnapは各Yellowスタートアップに15万ドル(約1600万円)を投資して株式を取得している。また、2020年秋にはFemale Founders Allianceが実施したエクイティフリーのアクセラレーター、Ready Set Raiseにも参加している。
新たな資金提供を受けたBrightlyは、優れた製品をレコメンドすることでコミュニティを作り、戦略を転換して熱心なファンが同じブランドの自社製品を購入するようにするというGlossier的なアプローチで次のビッグブランドになろうとしている。
「私たちはショップで直接購入してくれる女性コミュニティにリーチすることができ、また彼女たちのために向けた製品を用意しています」とウィティグ氏。
ウィティグ氏はBrightlyを、ShopifyやAmazonのように一瞬で買い物が完結する「無味乾燥なショッピングページ」よりも深い体験ができるサイトにしていきたいと語る。
同社の製品はすべて、プラットフォームに掲載される前に広範におよぶ検証プロセスを経ている。すべての製品が持続可能で倫理的なサプライチェーンプロセスと持続可能な素材で作られていることを確認し、またブランド誕生までの背景を知るため、Brightlyのプラットフォームに掲載される各ブランドの創設者にインタビューを行っている。また、共同創設者の2人は製品の耐久性や寿命に関しても重きを置いており、ウィティグ氏のいう「Wirecutter(The New York Timesの製品レビューサイト)的アプローチ」を取り入れているという。
「倫理的な方法で作られたレザーのハンドバッグと、レザーではないものの長く愛用できない耐久性の低いハンドバッグなら、どちらが良いかという話です。エコフレンドリーという言葉はあまりにも曖昧なため、顧客とのコミュニケーションを大切にしています」とウィティグ氏はいう。
同氏によると、Brightlyには毎日25万人以上のユーザーがアプリやウェブサイトを経由して訪れているという。同スタートアップは主にブランドとのパートナーシップと、ユーザーを有料製品に導くことで収益化を図っている。
同社の収益化戦略は、アフィリエイトリンクやエピソードの途中で入る商品の紹介などポッドキャストのそれと似ている。現在はこの方法に頼っているが、共同創設者の2人は今後独自のeコマースの立ち上げることで、より多くな収益につながるとみている。
「大きな利益を出すためのチャンスはアフィリエイトリンクではありません。直接取引を行い、私たちが厳選した倫理的で持続可能な商品を販売することに価値があるのです」とウィティグ氏はいう。
環境に優しい商品についてのポッドキャスティングから自社で商品を作ることへの移行は強力なシフトだ。流通コマースチャネルの創造はポッドキャスティングビジネスよりも大きなチャンスであり、利益を生む可能性も高いと共同創設者の2人は考えている。
Brightlyは自社製品シリーズの製造だけでなく、ホワイトレーベルのサステイナブルな製品との提携方法についても思考を巡らせている。他の選択肢としては、大企業と提携し、Brightlyオリジナルのカラーやカスタマイズされた製品を用意することだとウィティグ氏はいう。理想的なパートナーシップの例として、ReformationとBluelandの最近のパートナーシップが挙げられる。
同氏は今後どのようにして勝利を目指すのかについての詳細を明かさなかったが、コンテンツを武器にしてスタートし、コミュニティをコマースプラットフォームに引き込んだGoopやGlossierの戦略に似ていることは確かである。
「サステナブルな製品が無数に並ぶThrive Marketのようなプラットフォームにするつもりはありません。それよりもはるかに厳選されたものとなります」と同氏。
環境意識の高い消費者コミュニティを結びつけるためのプラットフォームの必要性は、新型コロナウイルス(COVID-19)によってより明確になっている。
「何かを購入するということの意味の大きさにみんな気がついています。消費者として地元のコーヒーショップでコーヒーを買うことにより、小さなビジネスを支援するという人は多いですが、これまでAmazonですべてのものを購入するスタイルに疑問を感じていた人は少なかったのではないでしょうか」と同氏は問いかける。
投資家らとの会話は単純なものではないようだ。投資家はコミュニティベースのプラットフォームに確信が持てないため、そこには「触れない」という状況が続いている。ウィティグ氏によると、弱気な投資家の多くはAwayやBluelandなど単一の消費者向け直接販売に賭けているという。
「投資家たちは顧客獲得にかかるコストの上昇について知っており、私たちの事業を支えているコミュニティがないとどうなるかを知っています」と同氏。
Brightlyは、コマースブランドの未来は、市場へ進出してから製品を導入するかたちにすべきだと信じている。ここでの同社の最終目標はZ世代やミレニアル世代の買い物客を惹きつけることであり、ウィティグ氏によるとそのために同社はショッピング体験に人との交流の側面を導入する方法を実験しているという。
Female Founders Allianceの創設者であるLeslie Feinzaig(レスリー・フェインザグ)氏は「構築する以前にすでに需要を実証している」という点がBrightlyの魅力だと話す。
「人と人を結びつけてモノを売るためのソフトウェアの制作はさほど難しくありませんが、何千人もの熱狂的なフォロワーを集めて実際にお互いに関わり合い、そのソフトウェアを有用なものにできる企業はあまり見かけません。Brightlyはそのコミュニティを見事に作り上げました」とフェインザグ氏は述べている。
カテゴリー:EnviroTech
タグ:Brightly、持続可能性、ポッドキャスト
画像クレジット:Brightly
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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Dragonfly)