BtoB向けメールマーケティングの活用と戦略

Web経由のお問い合わせ数が増えてきた企業様や、展示会などで年間1,000件以上のリードを獲得している企業様からメールマーケティングに関するご相談をいただきます。

今回は国内CRM業界No.1のマーケティングシステム「Synergy!360」など、CRMを中心としたマーケティングコミュニケーション支援を提供するシナジーマーケティングの松永さんに、BtoB企業のメールマーケティングに関する記事を寄稿いただき、メールマーケティングを始める際の一連のポイントをご紹介いただきました!

BtoB向けメール配信における課題と特徴

BtoBビジネスにおいては、営業活動の効率化やセミナー告知、ブランド認知など、様々な用途でメールマーケティングが検討されます。

メールマーケティングはCRM活動の一環であり、長期的にお客様との関係を構築していく戦術でもあります。

しかし、そのような関係に至る前の過程で、企業は通常いくつかの課題を抱えています。

  • 新規顧客が増えておらず、契約数が伸び悩んでいる
  • 顧客リストの中でコールドリードの割合が高く、売上に結びついていない
  • 既存顧客の離反が増えている

これらのうち、どの課題が事業活動の阻害要因となっているかを考える上でも、メール配信によって現状をどのように変えていきたいのか、「目的の明確化」が必要です。

例えば、「コールドリードをホットリードへ育成する」という目的が明確になっていれば、その目的達成の阻害要因として、「顧客リストの中でコールドリードの割合が高い」ことが課題であると考えられます。

そこで、コールドリードを継続的にフォローし、ホットリードに引き上げるための施策を検討する、ということになります。

また、BtoBの配信を行なうにあたっては、以下の特徴に留意しなければなりません。

意思決定者が複数存在する

商品やサービスを導入する決定権を持っていると思われる担当者は複数存在することが少なくないため、あらかじめ複数の意思決定者を可能な限り含めた配信対象者のリストを収集しておく必要があります。

意思決定に時間がかかる

商品やサービスを利用する部署と、購入を検討する部署が別であったりなど、社内での関係が複雑なことが少なくありません。そのため、意思決定に時間がかかり、配信されたメールを一度見ただけですぐに購入に至るケースは少ないです。

中長期的にメールマーケティングを通じて商品やサービスをアピールし、あるいはメッセージを伝えていく必要があります。

担当者はリテラシーが高いことが多い

担当者は他社の商品やサービスと比較するため情報収集していることが多く、その過程を通じて商品に対する知識や仕組みなどを熟知しています。

配信を行なうにあたっては、自社のサービスでの強みや魅力、他社より優れているポイントなどを端的にわかりやすく掲載したコンテンツを届けるようにすべきでしょう。

メールマーケティングでは、これらの特徴を踏まえて、戦略の立案が必要になります。

戦略を練り、実行し、効果を検証する

次に、BtoB向けにどのようにメール配信をしていくか、戦略(企画)の概略として、次のような要素を考えていきます。

ターゲット

お客様の業態や過去の購買頻度などを基に、とりわけ大事にすべきお客様(優良顧客)をセグメント化していきます。

具体的には、配信対象となりうる顧客リスト(データベース)を作成した上で、リストと、展示会やセミナー告知などによるクリック率の反応の良さ、過去の購買金額などお客様の実際の行動とを組み合わせ、リストの誰が優良顧客となるのかを明確にしていくことになります。

また、先述のように、商品導入の意思決定者を複数収集しておくことでより効果的な配信が可能になります。

メールの内容(コンテンツ)

ターゲットをもとに、どのような内容を発信していけば、興味を持ちメールを見てもらいやすくなるか、その核となるコンテンツを考えます。

メールの件名のほか、テキストメールのみか、あるいはHTMLメールでも送るのかも考えます。商品・サービスの特徴を紹介し、企業そのものも含めた安心と信頼をもたせるためのコンテンツ制作が必要になります。

また、BtoB向け配信では、営業活動の効率化が目的であることも多いため、営業担当者名を件名や本文に表示し挨拶を加えた私信風メールにしたり、名刺交換者に対してのフォローメールを配信するなどしながら、コンテンツを形作っていくことになります。

メール配信の方法

一斉配信にするのか、またはステップメール(あらかじめ設定されているメール内容を決まったスケジュールごとに自動配信する手法)にするのかを考えます。

一斉配信は定期的なメールマガジンの配信に向いており、一方ステップメールは、個別のお客様への細かなアプローチに向いています。

例えば、コールドリード向けに一斉配信を行ない、自社サイト内の製品情報やセミナー情報に誘導する形にして、サイト訪問者またはクリックされた方をホットリードに育成する対象として絞り込み、さらに配信を継続していく、といった施策が考えられます。

また、消耗品など、それほど決済のハードルが高くない商品の場合は、過去の製品購入者にステップメールを送り、以前に買った製品を思い出してもらうことで、次の購買につなげるといった効果を狙えます。

タイミング

月に何回、あるいは週に何回配信するのか、何時ごろに配信すれば見てもらいやすいのか、といった配信のタイミングを考えます。

BtoB向け配信であれば、昼休みや帰宅後の18時~20時頃に配信するといったように、配信時間帯を工夫することが必要です。

大事なのはPDCAサイクルを回すこと

戦略を練った後は、実際にメール配信を行ない、その結果どのような効果が得られたかを検証します。もし効果があれば継続し、効果がなければ何が問題だったのかを振り返った上で、企画を練り直すことになります。

つまり、メールマーケティングの全体的な流れとしては、以下の1~4のサイクルを繰り返すことになります。

  1. 計画(PLAN):目的や課題を明確にし、企画(戦略)を練る。
  2. 実行(DO):考えた施策を実行する。
  3. 評価(CHECK):実行した結果を分析し、振り返りを行なう。
  4. 改善(ACTION):思ったような効果が出なければ、再度企画を練り直し、再トライする。

このようなPDCAサイクルを回すことこそが、BtoB向けのメールマーケティングでは重要となってきます。