インサイドセールスは、アメリカが発祥の営業スタイルです。特に2008年のリーマンショック以降、コストをあまりかけずにオンライン形式で営業をする手法として多くの企業に導入された経緯があります。
現代は、コロナ禍の影響でリモートワークという新しい形の働き方が取り入れられ、非対面での商談も必要な時代になりました。在宅でも営業活動ができるインサイドセールスは、リーマンショックとは別の新たな時代背景により、需要が伸びていると考えられます。
今回の記事では、インサイドセールスを導入する前知識として実施する上で欠かせない、KPI(重要業績評価指標)について解説します。インサイドセールスにはどのような事項をKPIに設定し、どう改善していくべきなのでしょうか。
インサイドセールスとは?
インサイドセールスとは、「見込み顧客(以下リードとします)に対して非対面で行う営業活動」のことです。
顧客のもとに直接訪問して商談を行うフィールドセールス(外勤営業)と異なり、インサイドセールスではメールや電話、ZoomをはじめとしたWeb会議ツールを活用して営業活動を行います。
インサイドセールスを効果的に実施するためには、インサイドセールス担当者とフィールドセールス担当者の任務を設定し、それぞれどこにKPIを置くかという設計が重要になります。
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インサイドセールスのKPIに適した項目とは?
インサイドセールス担当者の主な役割は、リードと関係を築き、その関係から生まれた商談の機会をフィールド担当者に引き継ぐことです。
インサイドセールスは、直接的な売り上げを上げるポジションではないので、KPIをどこに置くかは重要でありながらも判断が難しい課題です。ここでは、インサイドセールスのKPIにはどのような項目が適しているのかを紹介します。
商談化数
インサイドセールスの最も一般的なKPIは、商談のアポイントメントを獲得した数です。
ただし、アポイントメントに至ったとしても、その後キャンセルされることはよくあります。顧客との商談が実施された「有効商談数」やフィールドセールス担当者に案件を引き継いだ数をKPIとして設定するようにしましょう。
有効商談数やフィールドセールスへの案件引き継ぎの数といった実数だけでなく、アポイントメント数に対して実際の商談がどのくらい行われているのか、商談化率も併せてKPIとしておくとよいです。
商談化率が高ければ、リードとうまく関係を結んでいて刺さるアプローチを効率的に行えているということになります。一方で商談化率が低ければ、顧客との関係構築やアプローチ方法など、どこかの段階に問題があると判断でき、改善策を考えることができるようになります。
対象数・接触率
商談に至る前段階として、インサイドセールス担当者による架電は重要なプロセスになります。
インサイドセールスには、下記2つのタイプがありますが、いずれにしても電話でのアプローチは欠かせません。
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プル型営業のSDR(Sales Development Representative):問い合わせなどのインバウンド顧客に対してアプローチをする手法
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プッシュ型営業のBDR(Business Development Representative):新規開拓でアウトバウンド型のセールスをする手法
特にBDRの場合、インサイドセールス担当者は新たなリードを求めて、積極的に対象となる企業に架電していきます。活動の指標としてまず対象数、つまり架電数がKPIです。さらに、架電した数のうち、先方の担当者や意思決定者に代わってもらえて話をできたかどうかの接触率も重要なKPIになるでしょう。
SDRでも架電は重要な指標となります。SDRの場合、Webサイト上で資料請求や問い合わせがあった企業にインサイドセールス担当者は架電しますが、このタイミングでの架電がリードとの実質的なファーストコンタクトです。
担当者のヒアリング力やトーク力がアポイントメントにつながるか否かに影響します。そこで、通話時間やアポイントメント獲得に至るまでの行動数もKPIになるでしょう。ただし、KPIをあまり細かく設定しすぎると、管理が煩雑になりやすいので吟味が必要です。
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受注数・受注率
クロージングは主にフィールドセールスが担う領域ですが、インサイドセールスにおいても受注数や受注率をKPIとして設定することは有益です。
インサイドセールス担当者は、顧客とのアポイントメントを取ることが主な任務になるものの、受注数や受注率を共有することで、インサイドセールスの精度を向上できるようになります。
どのようなリードと関係を構築し、アポイントメントを取れば、受注確度の高い商談となるかを考えることができるからです。
営業を担うセクション全体でKPIを共有し、共通の目標の中で、インサイドセールスとフィールドセールスとで分業体制を取りながら、各ポジションの活動を改善していきましょう。
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インサイドセールスのKPIを改善するポイント
KPIを設定したら、ある程度のまとまった期間で区切って、KPIを達成できているか確認しましょう。
特に、インサイドセールスのプロジェクトを始めた当初は、希望的観測も加わって高めにKPIを設定してしまう傾向があります。実際にプロジェクトを走らせてみたら、現実的な数値目標に修正する必要があるかもしれません。週100件程度架電できているチームであれば、毎週KPIを確認するとよいでしょう。
また、現状のリソースに基づいたKPIだとしても、定めた期間で達成できない可能性もあります。KPIが向上していかない場合、まず大前提として、本当に自社商材と選定したターゲットが適合しているのかを再考してみましょう。
ターゲット選定は営業活動の起点なので、ここで誤るとリードの獲得から架電などのアプローチ、商談まですべてのプロセスで伸び悩みが発生することはいうまでもありません。
商材とターゲットのマッチングはクリアしていることを踏まえて、ここからは、インサイドセールスの主なKPIごとの改善ポイントを解説します。
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商談化数を増やすには?
リードと接触はできているものの、その先の商談につながらない場合は、リードが自社商材に対してどのようなフェーズにあるのかをうまく推し量れていないのかもしれません。
まだ情報を収集している段階にあって十分な購買意欲を醸成できていないのなら、自社からメルマガやホワイトペーパーを送るなどして有益な情報提供を通じて、リードとの関係構築を図りましょう。
リードとの関係がある程度構築され、自社商材が既に比較・検討の候補に挙がっているのに商談に結びついていない場合は、インサイドセールス担当者のセールストークやヒアリングに問題があることが考えられます。既に実績を上げている担当者の事例を基にトークスクリプトを見直すことが大事です。
インサイドセールス担当者がリードとのコミュニケーションを通じて、ニーズを傾聴し文書化します。まとめた資料は、部署で共有することで確実性を高めることに役立つでしょう。リードと一緒に課題を見つけ、解決したいという姿勢が信頼感を高め、商談・受注へのステップとなることが期待できます。
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接触率・対象数を増やすには?
架電数は、むやみに増やせばいいというわけではありません。
架電などのアプローチを行っている対象数は、十分でしょうか。または、対象数ばかりが多くて、リードの担当者や意思決定者と話ができていないということはないでしょうか。
リードの情報を事前に収集してから架電に移るべきですが、情報収集に時間がかかって架電数が伸びていないかもしれません。事前の情報収集から通話時の記録作成など、架電1件当たりの所要時間を調べて時間を短縮できる部分があれば改善しましょう。
また、対象数自体を確保できていない場合は、リードのリスト入手方法やリード獲得の方法から見直す必要があります。
対象数・架電数は十分であるにもかかわらず接触率が低い場合、架電のタイミングに問題があるかもしれません。接触率の高かった時間や曜日などの傾向を分析し、一定の期間を設けて仮説を検証してみましょう。
可能であれば、ターゲットとなる企業・業界がどのようなタイムテーブルで、1日、1週間、1ヵ月を動いているのかを研究しておくのも有効です。
受注数・受注率を増やすには?
インサイドセールス担当者が商談のアポイントメントを獲得し、フィールドセールス担当者に引き継ぐことまではできているのにうまくクロージングしない場合があります。
こうした問題の原因は、アポイントメントの質が一定ではない、つまり、商談化数を稼ぐことに集中してしまい、受注につながらないリードにまでアプローチしてしまっていることが考えられます。
確度の高い商談を実現するためには、受注につながる有効な条件を把握して、条件に合うリードをリスト化してアプローチしていく必要があります。
有効な商談につながるリードの条件とは、自社商材を購入する予算があり、自社が商材を通じて価値を提供できることです。
ただし、先方の予算を正確に把握することは難しい場合もあるので、資本金や資金調達の動向をチェックしたり、過去の取引状況があれば確認したりして、より有効なリードリストを作るようにしましょう。
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インサイドセールスの任務を明らかにし、活動を適切に評価できるKPIを選ぼう
インサイドセールスのメリットは、フィールドセールス担当者に橋渡しするという分業体制を取ることで効率良く営業活動を展開できる点にあります。
リードの獲得から架電などのアプローチ、商談のアポイントメント獲得までをインサイドセールス担当者が行います。
インサイドセールスとフィールドセールスの分業体制をうまく機能させるには、インサイドセールス担当者がリードと丁寧なコミュニケーションを取ることです。リードが、自社に対して信頼感と購買意欲が十分高まるように導くのが使命になります。
自社のインサイドセールス部門の任務を適切に観測できる項目をKPIに選び、検証・改善を図っていきましょう。
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