企業がユーザーにとって有益な情報を発信することで、自社のウェブサイトなどへの自発的なアクセスを促す「インバウンドマーケティング」。ユーザーから不快感を抱かれにくい、広告費が安く済むなどのメリットから今注目されているマーケティング手法ですが、実施するにはいくつかの課題もあります。
この記事では、インバウンドマーケティングでよくある課題とその対策方法を紹介します。
導入前に知っておきたい!インバウンドマーケティングの課題とは
まずは導入前に知っておきたい、インバウンドマーケティングにおける主な課題やデメリットを3つ紹介します。
1. 人的コストがかかる
まず考えられる課題が、人的コストです。インバウンドマーケティングの施策としてメディアを運営する場合、企業側はユーザーにとって有益な情報を提供し続ける必要があります。そのため、継続的なコンテンツ制作のための人的コストが発生します。
アウトソーシングなどで社内の負担を軽減することも可能ですが、初期段階での体制整備や外注費がかかることは理解しておきましょう。
2 .費用対効果を予測しづらい
インバウンドマーケティングと対になるものとして、テレビCMや新聞広告など、企業側からマス向けにアプローチする「アウトバウンドマーケティング」があります。従来のマーケティング手法であるアウトバウンドマーケティングは、これまで多数の事例によって商品や企業ごとのデータが蓄積されているため比較的、費用対効果を予測しやすいでしょう。
一方、インバウンドマーケティングには、導入前に確実な費用対効果を予測できるほどのデータがあるとは言い切れません。ターゲットを絞ったアプローチや、ユーザーによるSNSでの拡散により、質の高いユーザーを獲得することは可能ですが、その費用対効果を確実に見積もることはまだ難しいといえます。
3. 成果が出るまで時間がかかる
成果が出るまでに時間がかかるという点も、インバウンドマーケティングの課題として挙げられます。SEOを強化しても、結果がわかるまでに1~3ヵ月、効果が出るまでにはさらに長い時間が必要ですが、その間も継続して情報を発信することが求められます。
インバウンドマーケティングは一朝一夕で効果が得られるわけではありません。中長期的な施策として、長い目で取り組むようにしましょう。
インバウンドマーケティング導入後の課題と解決に導くポイント
では実際に、インバウンドマーケティングを実施中の企業はどのような課題を抱えているのでしょうか。ここからは、ありがちな導入後の課題とその対策方法を3つ紹介します。
1. リード(見込み顧客)の獲得
インバウンドマーケティングのプロセスは大きく分けて、「ATTRACT(興味喚起)」「CONVERT(リード化)」「CLOSE(顧客化)」「DELIGHT(ファン増加)」の4つに分類することができます。
なかでもインバウンドマーケティングはユーザーからの能動的なアクションを引き出すことが重要なため、初期の「ATTRACT」から「CONVERT」までの流れをスムーズに促します。ここで、いかにリード(見込み顧客)の獲得につなげるかが大きなポイントです。
対策としては、ターゲットとなるユーザー層を徹底的に分析し、詳細なペルソナを設定することです。ユーザーが利用しそうなSNSを想定し、SNS経由で自社に認知度を高めたり、サイト訪問につながる施策を検討したりするとよいでしょう。
2. アクセス数の伸び悩み
次に考えられる課題が、アクセス数の伸び悩みです。リード化したユーザーが実際の顧客となるには、商品やサービスを比較・検討する際に、自社が選択肢の1つとして認識してもらえている必要があります。ユーザーからの印象を強めるためにも、自社サイトへ誘導する機会を増やすことが大切です。
効果的な対策としては、SEOを強化して検索エンジンにおける自社サイトの存在感を高めることが挙げられます。Googleのアルゴリズムは定期的に変動しているので、都度見直し、内容を調整しましょう。
また、ユーザーのフェーズに合った情報を提供すると、ユーザーにとって有益であると認識してもらえるようになります。業界別・課題別・活用方法別など、ユーザーの状況にピンポイントに刺さる情報を用意しておくとよいでしょう。
3. 投資対効果(ROI:Return of Investment)の証明
今後、インバウンドマーケティングの施策を展開していくには、事前にどれだけの効果が見込めるかを明確にし、十分な予算を確保する必要があるでしょう。そのためには、ROI(Return on investment:投資利益率)を算出し、実施するメリットを証明できるかが課題になるはずです。
インバウンドマーケティング導入前は、費用対効果を予測しづらいと先に述べました。しかし、導入実施後は解析ツールなどを利用したデータ分析が可能なため、効果測定をしやすいというメリットもあります。
まずは実施前に3ヵ月~半年程度の目標を立て、時間が経ったら計算式「(売上−全てのコスト)÷マーケティングコスト」でROIを算出します。投資した費用がどれだけ結果につながったのかを証明していきましょう。
アウトバウンドマーケティングとの併用がおすすめ
インバウンドマーケティングをより効果的にするには、アウトバウンドマーケティングとの併用がおすすめです。なぜなら、インバウンドマーケティングの効果が現れるまでの間に、リスティング広告などの即効性があるウェブ広告を打つことで、初期の集客・認知が補えるからです。
また、テレビCMや新聞広告は、新商品やサービスの案内など、大勢に対して短期間で積極的に情報発信したいときに適しています。例えば新商品を発売する際、アウトバウンドマーケティングで幅広い層に告知し、インバウンドマーケティングでユーザーを囲い込むといった使い方をすると、高い効果が期待できるでしょう。
インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングには、それぞれメリット・デメリットがあります。双方の特徴と自社の特性を踏まえて、うまく組み合わせながら活用してください。
アウトバウンド マーケティング |
インバウンド マーケティング |
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主体
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企業
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顧客
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方向
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一方向
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双方向
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ターゲット
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不特定多数
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明確
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コスト
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高い
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低い
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効果測定
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困難
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容易
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施策例
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ユーザーの興味を分析しつつ、長い目で取り組むことが大切
インバウンドマーケティングの課題と、実際にインバウンドマーケティングに取り組んだ企業で考えられる課題を紹介しました。インバウンドマーケティングの課題解決には、緻密な施策と長期的な視点が必要です。常に改善を試みて、ひとつずつ解決していきましょう。
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