企業が運営するオウンドメディアには、質の高いコンテンツを発信し続けることでブランディングに成功しているところもあれば、残念ながら更新が滞ってしまっているところもあります。これらの企業にはどのような違いがあって、どのようなオウンドメディアが成功するのでしょうか。
ここでは、オウンドメディアの成功パターンを踏まえながら、ナイルが担当した実際の成功事例をご紹介します。
オウンドメディアが成功する条件とは?
オウンドメディアとは、企業がユーザーと接点を持ったり、ブランディングしたりすることを目的に、自社で運営するメディアのこと。SNSやほかのメディアなどの外部プラットフォームを利用する場合とは異なり、情報のコントロールが可能で、自社の意図したとおりに情報発信を行い、集客につなげられるのが特徴です。
自社のメディアを持つということは、一見、魅力的なことのように思えますが、質の高い情報を発信し続けることは簡単ではありません。オウンドメディアを立ち上げたのはいいものの、しばらくしたら記事の更新が難しくなり、失敗に終わってしまう…。そんなケースはよく見られます。
オウンドメディアを成功に導くには、下記のようにいくつかの条件がありますので、確認しておきましょう。
目的に合った戦略を立てる
オウンドメディアの運営は、目的に合った質の高い戦略を立てられているかが問われます。これがないと、どのような情報を発信すればいいのかわかりません。売上貢献なのか、ブランディングなのか、採用貢献なのか、目的を明確にしながら、どのようなユーザーにどういった情報発信をしていくのかを決めていきましょう。
運営体制をしっかり構築する
いくら戦略が優れていても、オウンドメディアの運営体制が構築されていなければ、施策を実行することができません。
オウンドメディアを運営するには、サイトを構築する「エンジニア」、コンテンツを作成する「編集者」「ライター」のほか、コンテンツの戦略を練る「ディレクター」「マーケター」が必要です。
社内にチームを組むのか、外部に制作を依頼するのか、企業の状況によって選択しながら、オウンドメディアの運営体制を構築しましょう。
分析した上で適切な対策を行う
オウンドメディアを運営していくなら、分析もセットで行うべきです。セッション数なのか、問い合わせ数なのか、購買数なのか、自社の商品・サービスに合わせて、追っていく数字を決めておきましょう。情報発信するだけではなく、ユーザーの反応をしっかり分析した上で、適切な対策を打つようにしてください。
ナイルが支援したオウンドメディアの事例
続いては、ナイルが行ったオウンドメディアのコンサルティング事例をご紹介いたします。ぜひ、オウンドメディアの立ち上げや改善の参考にしてみてください。
ゼロからはじめるクレジットカード(三井住友カード株式会社)
三井住友カードは、「ゼロからはじめるクレジットカード」など、数々のオウンドメディアを立ち上げ、運用しています。そこで、集客施策や記事制作はナイルが担当し、三井住友カードみずからは積極的に施策立案に携わる「セミインハウスSEO」での体制を構築しました。
自社内でSEOを行う「インハウスSEO」では、いかに人的リソースやツールといった環境を整えられるかが重要です。今回の取り組みでは、セミインハウスの体制を構築するにあたり、インハウスSEOを行えるくらいの社内体制を構築しながら、アウトソースの柔軟性も活かせる体制を作ることに成功しました。
<成功のポイント>
オウンドメディアを成功させるには、専任の担当者が中心となった体制構築が必須といえます。成功のポイントとしては、集客施策、記事制作、施策立案といったポジションごとに、知見のある人材でチームを組んで、体制構築したことが挙げられるでしょう。
ゼロからはじめるクレジットカード~初心者のための使い方・作り方~
VERY(株式会社光文社)
雑誌「VERY」のウェブサイトについて、ナイルがインハウスSEOの支援を行いました。
ナイルが調査した結果、芸能ニュース・指名検索が多くなっており、VERYのメインターゲットであるママ層が検索しそうなキーワードでの流入が得られていないことが課題だと判明。調査結果から、「1年分のVERYの雑誌と競合誌を研究し、キーワードの洗い出し」と「VERYのメインターゲットである、ママ層のキーワードの洗い出し」を行い、キーワード戦略を立て、実施しました。
その結果、メインターゲットであるママ層に向けた、「卒園式 ママ」「赤ちゃん 日焼け止め」といったキーワードを抽出しました。しかし、それらのキーワード対策のみでは、目標PV数を達成するには検索ボリュームや、ユーザー層が足りません。そこで、ママ層以外を含む20代女性や、独身女性も検索するキーワードを追加し、キーワード調査を行いました。
さらに、コンテンツ制作をする前に、ナイルの担当コンサルタントが、「SEOを踏まえたコンテンツ制作ガイドライン」を作成し、VERY編集部の編集者やライター向けにレクチャー会を実施。
その結果、取り組み開始後、5ヵ月程経過したあたりからPV数が大きく伸びました。また、キーワードを意識して計画的に記事を制作したところ、記事公開から1ヵ月程で、VERYのターゲットが春先にかけて多く検索する「謝恩会 服装」「入学式 ママ」「卒園式 スーツ」などにおいて、Googleの検索結果で上位表示(1位)を達成したのです。
<成功のポイント>
オウンドメディア運営をしている場合、どんなキーワードでの流入が多いのか、そのキーワードから狙っていたターゲットが訪れているのか、現状の分析から始める必要があります。分析を行うことで、ターゲットに合致した戦略が明確になっていくでしょう。そこから適したキーワードを精査し、コンテンツ制作に落とし込めたことが、成功のポイントといえます。
いい葬儀(株式会社鎌倉新書)
株式会社鎌倉新書は、葬儀・お墓・仏壇といった終活(ライフエンディング)関連サービスを展開しています。「いい葬儀」「いいお墓」「いい仏壇」という、3つの情報サイトを運営。3つの情報サイトを横断した「SEO推進チーム」が社内で立ち上げられたため、そのサポートをナイルが行いました。
目標は、「コンバーションにつながる自然検索流入を増やすこと」と「SEOのスキルを底上げすることで、自立自走してSEOを実施できる組織にすること」という2つです。
3サイトのリニューアルを行ったところ、月間の自然検索流入が昨対比で37~267%向上(2018年11月時点)。今回対象となった3サイトのウェブサービス事業の四半期売上は、昨対比71%増となりました。
<成功のポイント>
この事例での成功のポイントは、3つのサイトのSEO担当を統一したこと。これまでは、3つのサイトが別々の事業部で運営されていたため、意思疎通をするのも難しい状態でした。それが、3サイトを横断するSEO推進チームが戦略を決めて、各サイトですべきことを明確化していきました。
その上で、精査して導き出したSEOの施策を実施して、数字を出していくことに注力。足並みをそろえるために、プロジェクト開始時には対面で話す機会を増やしたことも功を奏しました。
STUDY HACKER(株式会社スタディハッカー)
株式会社スタディーハッカー(旧、株式会社恵学社)が運営する勉強法のハッキングをコンセプトにしたオウンドメディア「STUDY HACKER」では、ナイルがSEOの内部設計、分析、コンテンツ企画のサポートを行いました。
「STUDY HACKER」の課題のひとつが、コンテンツ不足でした。ユーザーのニーズに応えられるだけのコンテンツが蓄積されていなかったのです。
加えて、SEOの専門知識を備えた社内メンバーがいなかったために、サイト構造が適正に設計されず、検索エンジンに評価されていないという課題もありました。そもそもの問題として、せっかく検索からユーザーが流入してきたとしても、サービスサイトへの導線が不十分でした。
そこで、ナイルが行ったのは、注力すべきキーワードの選定と優先順位を決めることです。また、キーワードの選定方法やタイトルの設定ルール、コンテンツの書き方、内部構造や導線設計といったノウハウの共有も行いました。さらに、CV貢献の高い記事および経路を分析することで、導線設計を改善しました。
施策を行った結果、1年間でPV数が2倍、自然検索流入数が3.5倍、そしてサービスサイトへの送客数も5倍に増加(2018年3月時点)。集客と事業への貢献を果たすことができたのです。その上、ナイルの提案をもとにSEOを実施したため、社内にSEOやコンテンツ制作のノウハウを蓄積することにもつながっています。
<成功のポイント>
オウンドメディア運営において、流入と売上貢献の両軸を見据えて運用したことが成果につながった事例です。流入施策として、サイト構造の設計やキーワード選定、記事制作を行いました。売上貢献の施策は、サービスサイトへの導線設計となります。
ナイルが運営するオウンドメディアの事例
ナイルでは、自社でもオウンドメディアを運営しています。「カルモマガジン」「ナイルのかだん」の取り組みについてご紹介いたします。
カルモマガジン
ナイルは2018年に、「おトクにマイカー 定額カルモくん」をスタート。併せて、オウンドメディア「カルモマガジン」の運営も行い、2019年の1年間でトラフィック1000%増、アシストCV10倍という急成長を記録しました。
まず意識したのが、記事数を増やしてセッション数を伸ばすこと。その上で、すでに検索流入が多い記事にはテコ入れを行ったり、検索ボリュームの小さい記事も1位を取れるようにしたりするなど、できるうる施策をすべて行いました。
<成功のポイント>
設定したオウンドメディアの目標の達成度を随時確認して、対策を行ったことが成功のポイントです。目標の達成が難しいとなれば、すぐに記事数を増やしたり、アシストCVの改善施策を打ったりすることで、成果につなげました。
ナイルのかだん
「ナイルのかだん」は、2018年にリリースした採用オウンドメディアです。ナイルで働いている人の様子や、会社のカルチャーなどを紹介しています。
「ナイルのかだん」では、オウンドメディアの成果を測る上で、記事読了率を計測して、応募者のウェブ行動を把握するようにしています。例えば、「ナイルのかだん」の記事読了率は、新規ユーザーだと50%にも達しません。しかし、リピートユーザーの記事読了率は、新規ユーザーの2倍近い数値となっています。
このリピートユーザーの多くは、ナイルに応募している人たちです。つまり、面接前に「この記事を読んでください」とこちらから情報を伝えているため、きちんと最後まで読んでくれていることがわかります。
限られた面接の時間の中だけで、お互いの個性を知るのは難しいもの。選考中の応募者ほど読了率が高いのは、オウンドメディアリクルーティングが、ミスマッチを防止する可能性を示唆しているといえます。
<成功のポイント>
採用オウンドメディアだと、採用への貢献度をどの数字で測るのかが大事になってきます。「ナイルのかだん」では、リピートユーザーの記事読了率などの数字を見て、どれくらい採用に貢献しているかを計測しています。採用オウンドメディアの価値を正確に把握できたことが、成功のポイントといえるでしょう。
オウンドメディアの方向性を明確にして、成功に導こう
オウンドメディア運営は、対応領域が多岐にわたりますので、しっかりと体制の構築を行うことが必要です。戦略設計やコンテンツ制作、分析をしっかり行うことで、オウンドメディアの方向性が明確になります。
ユーザーのニーズに寄り添ったオウンドメディアの運営を心掛けていきましょう。
なお、ナイルでは、オウンドメディアの戦略設計からサポートさせていただくことが可能です。また、さまざまなコンテンツを作成して情報発信していきたいけれど、記事を書くリソースがないお客様に、コンテンツ制作代行のプランをご用意しております。まずは、お気軽にご相談ください。
\オウンドメディアやSEOの疑問がある場合は、ぜひご相談ください!/
オウンドメディアの成功事例6選!成功のポイントを解説は【SEO内製化無料相談実施中!】ナイルのSEO相談室で公開された投稿です。