テレビCMには大きく分けて、「スポットCM」と「タイムCM」という2つのタイプがあります。CMを出稿する際には、この2つの違いを正確に把握する必要があるでしょう。
ここでは、スポットCMとタイムCMの違いやメリット・デメリットのほか、それぞれのCMがどのような目的の場合に適しているのかを解説していきます。さらに、第三のCMとして注目を集める「SAS(スマート アド セールス)」についてもご紹介します。
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スポットCMとは?
スポットCMとは、番組を特定せずに流すCMのことを指します。スポットCMの場合、企業は「この番組の中でCMを流したい」と希望することはできません。あくまでも、テレビ局が定めたCM枠のどこかで流れることになります。
ただし、CMが流れるタイミングを企業側がまったく指定できないわけではなく、スポットCMでは曜日や時間帯などは選択できます。つまり、「◯◯という番組内でCMを流したい」という要望は通りませんが、「日曜日の朝と夕方にCMを流したい」と希望することは可能です。
スポットCMのメリット・デメリット
スポットCMには、活用しやすいといったメリットが一方で、当然のことながらデメリットもあります。スポットCMのメリット・デメリットについて、具体的に確認していきましょう。
メリット1 幅広い層に視聴してもらえる可能性がある
スポットCMは番組を特定しないため、それだけさまざまな番組で自社のCMが流れる可能性があります。
例えば、CMが流れる時間帯について、「午前中」と「夜」を指定したとしましょう。あるときは、朝のニュース番組でCMが流れるかもしれないですし、またあるときはゴールデンタイムのバラエティ番組でCMが流れるかもしれません。
ビジネスパーソンがメイン視聴者層であるニュース番組と、若年層がメイン視聴者層であるバラエティ番組、この両方の番組でCMが流れたとしたら、より幅広い層にリーチできたことになります。このリーチする範囲の広さが、スポットCMの魅力のひとつです。
なお、ビジネスパーソンをターゲットとして絞りたければ、出勤前の朝の時間帯と帰宅後の夜の時間帯を選択するなど、ある程度の狙いをつけることも可能です。
メリット2 低予算でCMを流すことができる
15秒という短い時間からCM枠を購入でき、さらに短期間でも契約できるのは、スポットCMのメリットです。
一般的にテレビCMは、放送される時間や期間が長くなるほど、CMの放映料も高くなります。しかし、スポットCMであれば「15秒のCMを短期間だけ」という購入ができるため、低予算でCMを流すことができるのです。
メリット3 期間限定のキャンペーンに合わせてCMを打てる
期間限定のキャンペーンに合わせて、集中的にCMを打つという施策にスポットCMは最適です。
例えば、ECサイトで期間限定のセールを展開するとき、会社員をターゲットにしているならば、1ヵ月間だけ平日の夜や土日に集中して、CMを打つという戦略が可能になるわけです。
デメリット1 ターゲットとマッチする番組にCMが流れない可能性がある
スポットCMのデメリットは、CMが流れるタイミングを細かくコントロールできないことが挙げられます。曜日や時間帯は指定できても、それ以上のことは企業側で決められません。ターゲットとマッチしていることがわかっている番組があったとしても、スポットCMの場合は、その番組にCMが流れない可能性があります。絶対にCMを流したい番組やタイミングがあるなら、スポットCMはおすすめできません。
デメリット2 スポンサー提供のアナウンスが流れない
スポットCMの場合、よく耳にする「ご覧のスポンサーの提供でお送りしました」というアナウンスが流れません。
スポンサー提供のアナウンスは、視聴者にとって印象に残るものです。スポットCMは、特定の番組で常にCMを目にすることができないため、「同じ層の視聴者に何度も見てもらう」というブランディング戦略はとりにくいといえるでしょう。
スポットCMの料金はどう決まる?
スポットCMの料金は、1本いくらの定額制ではなく、テレビ局、放送時間帯、放送期間などによって変動します。
テレビ局は、地上波の「キー局」「ローカル局(地方局)」「独立U局」、衛生放送の「BS放送」「CS放送」といった選択肢があります。放送時間帯は、ターゲットがどの時間帯の番組を視聴しているかで選んでいきましょう。放送期間は、どのタイミングでCMを流すとより効果的なのかによって、適した時期を判断していきます。
タイムCMとは?
タイムCMとは、「特定の番組を指定して、その番組内で流すCM」のことです。つまり、「自社のCMを特定の人気番組の途中に毎週確実に流したい」のであれば、タイムCMを選択することになります。タイムCMは、最短30秒からCM枠を購入できます。一方のスポットCMは15秒から購入できるので、テレビを視聴していてCMの時間が15秒であれば、それはスポットCMということになります。
また、タイムCMの基本的な契約期間は、2クール(6ヵ月間)からです。テレビ番組は、主に4月と10月に改編期があり、1つの番組を改編期までスポンサー契約することになります。
タイムCMのメリット・デメリット
タイムCMには、番組を特定して流すことができるからこそのメリット・デメリットがありますので、それぞれ確認していきましょう。
メリット1 ブランディングしやすい
タイムCMの大きなメリットは、ブランディングに有利になることです。どの番組で流れるか指定できないスポットCMと違って、タイムCMは特定の番組を指定して、長期間露出し続けることができます。そのため、同じ番組を見ている視聴者層に、長期間にわたってリーチできるといえるでしょう。
メリット2 スポンサー提供のアナウンスが流れる
番組内にロゴや社名を出したり、スポンサー提供のアナウンスが流れたりするのは、タイムCMの大きなメリットです。視聴者に「この番組を提供しているのは、この企業なんだな」と強烈にアピールできます。場合によっては、自社のみで番組を一社提供することが可能です。好感度のある人気番組は、CM効果が期待できますので、スポンサー提供の価値も高いといえるでしょう。
デメリット1 リーチできる層が限られる
タイムCMによって同じ番組にCMが流れ続けるということは、どうしてもリーチできる層が限られることになります。幅広い層にCMを視聴してもらうことができないのは、タイムCMのデメリットといえるでしょう。
デメリット2 費用がかかりがち
タイムCMを出稿するときは、少なくとも6ヵ月間の契約が必要です。そのため、短期間の出稿が可能なスポットCMと比べると、どうしても費用が高くなる傾向があります。
もちろん、長期的にCMを流すことができるので印象に残りやすいといえますが、その分、費用がかさむ点はデメリットといえるでしょう。
デメリット3 売り違いによって時期がずれることがある
タイムCMは、契約のタイミングによって他社が先に契約をしてしまう、「売り違い」が発生することがあります。売り違いになると、CMを流したい番組にCMを流すことができません。事前に売り違いになる可能性がないか、テレビ局側に確認しておくといいでしょう。
タイムCMの料金はどう決まる?
タイムCMの料金は、主に番組の視聴率や放送エリア(全国区かローカルか)、提供表示を出すかどうかなどの要素で決まります。視聴率が高い番組は当然、タイムCMの料金も高く設定されています。また、ローカルよりも全国区のほうが料金は高くなり、提供表示を出さないよりも出すほうが料金は高くなるのです。あとは、放送する時期によっても料金が変動しますので、把握しておきましょう。
実際には、企業側のCM予算は決まっていることが多いでしょうから、総予算とターゲット層、どれくらいの期間CMを打ちたいかという条件面から、タイムCMの内容を絞り込んでいくことになります。
タイムCMとスポットCM、どう選べばいい?
タイムCMにするかスポットCMにするかは、予算や目的に応じて選ぶといいでしょう。
長期にわたって露出を増やし、企業の認知度を向上させたり商品のブランディングを行ったりしたいのであれば、タイムCMが効果的です。
例えば、旅行代理店が企業ブランディングを目的としてCMを打つのであれば、人気の旅番組を選ぶのがいいでしょう。旅番組の視聴者層は、旅行代理店の顧客と一致している可能性が高いからです。
一方、スポットCMは、予算があまりかけられないときや、キャンペーンなどで短期間に集中して、ターゲットを絞ってCMを投下したいときに有効です。
例えば、旅行代理店が年末年始にキャンペーンを行うのであれば、多くの人が年末年始の予定を考え始めるであろう秋頃に、集中してキャンペーンの告知CMを打つといった具合です。
第三のテレビCM「SAS(スマート アド セールス)」とは?
タイムCMとスポットCMをご紹介してきましたが、第三のテレビCMとして注目を集めているのが、SAS(スマート アド セールス)です。
SASは、15秒1本単位から、CM枠を購入することが可能です。最大の特徴は、放映日時、番組、本数、金額を、出稿する企業側で選択できること。そして、さまざまな視聴データを参照しながら、年齢層や年収別といったターゲットに合わせて、CM枠を購入することができます。
SASは、以前は「ASS(アドバンス スポット セールス)」と呼ばれていて、日本テレビが販売していました。2020年2月からは、TBS、テレビ東京、フジテレビの3局も参加しています。
テレビCMをうまく使い分けよう
企業が初めてテレビCMを打つ場合は、まずスポットCMで試してみてから、タイムCMに挑戦するのがおすすめです。タイムCMとスポットCMの特徴を把握して、目的に応じて使い分けるようにしましょう。 さらに、対応しているテレビ局は限られていますが、SAS(スマート アド セールス)という手法もありますので、ぜひ活用してください。
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