IT企業だけでなくさまざまな業種において、ソフトウェアを活用したサービス提供型・価値提供型のビジネスモデルへと舵を切っています。
ナイルではさまざまな業界のWebマーケティング支援を行っています。今回は、会計ソフトや経理ソフトなどを提供するソフトウェア業界において、Webマーケティングで気をつけたい「SEOの考え方」について解説します。
この記事のポイント
- ソフトウェア業界の企業の場合、コスト面と機能面における優位性をわかりやすく示す必要がある
- 指名検索を確実に取り、コンバージョンの起点となるキーワードを取ることが基本
- 自社サービスのメリットを、サービスページで明確に伝える
ソフトウェア業界のSEO施策のポイント
「ソフトウェア」は、パソコンの内部で機能するプログラムや関連するファイルを指す言葉です。
ソフトウェアの機能をクラウド上で提供するSaaSの台頭によって、自社にとって最適なソフトウェアを模索するユーザーの選択肢は一気に増えました。アプローチから契約に至るまでのリード期間が長いという特徴を踏まえて、ソフトウェア業界では次の点に留意してSEO対策を進めることが重要です。
- コスト面と機能面における優位性をわかりやすく示す
- 潜在顧客を広く獲得し、長期的に接点を持って、見込み顧客へと育成する
ソフトウェア業界におけるSEO対策の流れ
ソフトウェア業界におけるSEO対策について、流れを確認しておきましょう。
①指名検索の対応を行う
指名検索は、ほかの検索流入よりコンバージョンにつながりやすいこと、指名検索をするユーザーは興味関心や購買意欲が高い傾向にあることから、取りこぼさないようしっかり対策することが重要です。指名検索に対応するページの多くは、TOPページや製品ページになります。
ビジネス向けソフトウェアでは、顧客管理システム(CRM)や経費精算など、サービスごとの比較サイトが数多く存在しています。加えて、販売をパートナー企業に委託している企業も少なくないため、直接的なサービス名や会社名などを含めた検索キーワード「指名検索」をおろそかにするケースが目立ちます。
②コンバージョンの起点となるキーワードを取る
いわゆる「会計ソフト」といったビッグキーワードは、検索される回数が多い分競合が多いため、対策には時間とお金をかける必要があります。難易度の高さを考えると、コンバージョンの起点となるキーワードをしっかり取りにいくことを優先するといいでしょう。
例えば、「経費精算 効率化」「経費精算 時間がかかる」「帳簿作成 短縮」といったキーワードが、コンバージョンの起点となり得ます。オウンドメディアやサイトで記事を作ることで、ユーザーになり得る人との接点を作っていきましょう。
また、比較サイトの対策も効果的です。ソフトウェアは使った人でないとその価値がわからないため、比較サイトの情報価値が高くなります。ソフトウェア導入の検討段階で、比較サイトに接することが想定されるので、比較サイトの自社サービスの内容を充実させるために、比較サイトの運営にアプローチして情報提供してみてもいいでしょう。
ビッグキーワードを取るために対応すべきこと
キーワード対策として、「指名検索」「コンバージョンの起点となるキーワード」を押さえたのちに、ビッグキーワードの取り組みとなります。ここからは、ビッグキーワードを取るために、記事で対応すべきこと、製品ページで対応すべきことについて、詳しく解説していきます。
記事で対応する
検索からの流入を増やすために、「会計ソフト」「経理ソフト」といったビッグワードを選定し、そのキーワードを折り込みながらオウンドメディアやサイトで記事を制作します。
重要なのは、あくまでもユーザーニーズをベースにした記事コンテンツであること。ユーザーに「知りたい情報だった」と感じてもらい、結果的に商品への訴求が高まるような記事を増やしていきましょう。記事をアップして終わりではなく、検索順位を見ながら記事のチューニングを続けることも大切です。
製品ページで対応する
記事ページでの対応に比べて難易度は高めですが、製品ページでの対応も検討してみましょう。取りたいビッグワードの検索結果を確認して、記事ページではなく、製品ページが出ていれば、製品ページでの検索上位が狙える可能性があります。また、1つの特化した機能に関するビッグワードを取ることを目標にしてもいいでしょう。
例えば「会計ソフト」で検索した人に対して、その意図に即している製品ページに速やかに誘導できれば、コンバージョンにつながるだけではなく、自社のブランディングにもなります。
ここで注意したいのは、SEOとグロースハック、両方の観点を導入していると、理想とするゴールにズレが生じる可能性があること。グロースハックは、ユーザーの動向を見て、自社サービスの機能や設計を変更し、自動的かつ永続的に拡散・成長する仕組みを組み込むもの。SEOとは目的が異なるため、SEOの観点から作成したテキストによって、グロースハックの観点から最適な場所に設定したボタンの位置が下がってしまうといった事態が起こり得ます。どちらを優先すべきか検討し、整合性を取る必要があるでしょう。
優先して対応しておきたいWebマーケティング施策
Webマーケティングのうち、SEO対策で重視したい施策をご紹介しましたが、ほかにも優先的に対応しておきたいWebマーケティング施策について解説していきます。
オウンドメディアで製品やサービスの情報をプッシュする
オウンドメディアをボランティア的な情報発信ツールに留めてはいけません。訪れた人に製品やサービスの情報を積極的に紹介します。オウンドメディアの記事内に、バナーを置くのも効果的です。ナイルがコンサルティングに入った企業では、バナーの設置・最適化により1年でコンバージョン率が3.4倍伸びた例もあります。
ソフトウェア業界の例ではありませんが、弊社でも「ナイルのSEO相談室」では、記事内に以下のような資料ダウンロードのバナーを設置しています。
リード期間を見越して顧客をナーチャリングする
ソフトウェアは、顧客と接点を持ってから実際に契約に至るまでのリード期間が長いという特徴があります。そこで、SEOで集客を強めることと並行して、見込み顧客を増やし、増やした見込み顧客を直近顧客へとナーチャリングする仕組みを作る必要があります。
集客したユーザーの興味を引くホワイトペーパーを用意し、ダウンロードしたユーザーとメルマガを通じて継続的に接触して、ニーズの変化を見極めて商談につなげていくのがスタンダードな手法です。
あらゆるレベルのユーザーをフォローする導線を設計する
サービスページに来るユーザーを目的別に分類して、あらゆるレベルのユーザーをフォローできる導線を用意しておくことをおすすめします。
形のないソフトウェアは、サービスページでの訴求が難しく、どうしても説明が煩雑になりがちです。ある程度、知識があるユーザーならすぐに理解できても、そこまで詳しくないユーザーは離れてしまうかもしれません。また、SEOで流入してきたユーザーの中には、すでにサービスを利用しているユーザーも含まれている可能性があります。
- 製品やサービスの存在自体は知っていて、「具体的に何ができるのか知りたい」「どういうものが自社に合っているか調べている」人
- 最初から「興味があるので資料をダウンロードしたい」人
- サービスのユーザー
サービスのユーザーが多い場合、セッション数は増えても求めるコンバージョンには結びつかない可能性があるので、別の導線を用意して、専用ページに誘導するといいでしょう。サービスの性質上、操作画面が出しにくいなどの制限がある中で、初心者にわかりやすくメリットを伝えるには、最初に見るべきインデックスを提示したり、視覚的に短時間で理解を促す動画コンテンツを置いたりすると効果的です。
コンバージョンに近い施策にフォーカスしよう
マーケティング担当者のリソースがどうしても足りないときは、コンバージョンに近い施策だけにフォーカスして、確実に実行していきましょう。それすらも手が回らない、という場合は、必要に応じてリソースを増やすことも考えなくてはなりません。
ナイルでは、誰が見ても実装につながるようなわかりやすい資料提供でリソース不足をフォローしたり、企業の担当者が目標として持っている数字を共有して認識を合わせたりするほか、SEOだけでなく分析をセットにすることでより効果を高める提案を行っています。
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