テレビ離れが話題になっているとはいえ、テレビは今も多くの人が視聴しています。総務省の「令和2年版 情報通信白書」によると、2020年の平日1日のテレビの平均視聴時間は約160分で、最も利用時間の長い媒体です。続くインターネットは約126分、新聞・ラジオはそれぞれ10分前後です。そのためテレビCMは、幅広い層の人々に商品やサービスを知ってもらうのに非常に効果のある方法だといえます。
しかし、ただテレビCMを流すだけでは、費用対効果などの効果検証はできません。テレビCMの効果をより大きくするには、テレビCMの効果を測定した上で検証することが不可欠です。
ここでは、テレビCMの効果測定の方法や、テレビCMとウェブのクロスチャネルについて解説します。
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テレビCMの効果検証はなぜ難しいのか?
テレビは、利用時間の長い媒体ということもあり、多くの企業が商品やサービスの認知のためにテレビCMを出稿してきました。現在でも、テレビCMは多くの企業が利用する主要な広告媒体のひとつです。
ただ、テレビCMは昔から効果検証が難しいといわれてきました。インターネット広告であれば、ツールを使って広告のクリック数などを測定することができ、広告経由で商品やサービスを購入した人がどれくらいいるのかも正確に測定できます。そのため、広告の費用対効果の計算も容易です。
一方、テレビCMはインターネット広告のように正確な測定ができません。テレビ番組がどれくらいの割合の人に見られているかを測る視聴率は、テレビを見ている人すべてのデータではないため、その番組で流れるテレビCMの効果も、正確には測定・検証できないのです。
しかし、近年はさまざまなデータが収集できるようになってきたことで、テレビCMに関するデータの測定は、以前に比べて行いやすくなっています。
テレビCMの効果測定方法
テレビCMの効果測定方法として最もオーソドックスなのは、GRPという数値を用いる方法です。ここでは、GRPと新しい指標であるGAPについて解説します。
GRP:世帯視聴率をもとに測定する
テレビCMの効果測定方法であるGRP(Gross Rating Point:延べ視聴率)は、特定の期間に流れたテレビCMの世帯視聴率を合計した数値で表されます。主に、大まかな時間帯や曜日を選んでテレビCMを流すスポットCMの効果を測るために使われる指標です。
例えば、視聴率10%の番組にテレビCMを5本流したら、10×5=50GRPとなり、平日5日間にわたって流したら50GRP×5=250GRPとなります。
GRPが高ければ高いほど、テレビCMが多くの人に見られていると考えられます。そのため、GRPが最大化できる時間帯や曜日を狙ってテレビCMを出稿するのが基本といえるでしょう。しかし、テレビをつけているだけで実際に見ていなくても、視聴しているとカウントされるのが世帯視聴率です。GRPが高ければテレビCMの効果があるというわけではありません。
GAP:視聴者がテレビ画面を注視しているかを測定する
GAP(Gross Attention Point:延べ注視率)は、テレビ画面をどれくらい注視しているかを表す数値です。センサーカメラを使って、実際にテレビ画面を注視しているかを秒単位で測定するため、実際にテレビCMが見られているかどうかがわかります。視聴者が画面を1秒注視したら1GAPです。
しかし、GRPもGAPも、視聴者がテレビCMを見たかどうかが焦点となっている数値です。テレビCMの効果検証のためのデータとして、ある程度の指標にはなりますが、テレビCMによって視聴者がどう行動したのか、どのような印象を抱いたのかについてはわかりません。
重視されるようになってきたGRPとウェブ上での行動データ
近年では、テレビCMの効果検証の指標として、GRPと消費者のウェブ上での行動データの組み合わせが重視されるようになってきました。その背景には、消費者の購買行動の変化があります。
これまでの消費者の購買行動は、テレビCMを見た後に店舗で商品を購入したり、電話で商品を注文したりするのが一般的でした。しかし現在は、テレビCMを見た後にウェブ上で商品の詳細や評判を調べ、ウェブ上で商品を購入する人が多くなっています。
このような消費者の購買行動の変化によって、テレビCMの効果検証の指標として、GRPとウェブ上での行動データの組み合わせが重視されるようになってきたのです。
テレビCMの効果検証に使われるウェブのデータとしては、下記のようなものが挙げられます。
指名検索数
指名検索数は、商品名やサービス名、企業名などで検索された数です。テレビCMが流れた期間とその前後を比較して、どれくらい指名検索数の増減があったかを測定します。テレビCM以外の広告を同時期に出稿していた場合は、正確に指名検索数を計測できないため、出稿時期が重ならないよう、注意が必要です。
ウェブサイトのアクセス数
ウェブサイトのアクセス数も、テレビCMの効果検証の指標になります。指名検索数と同様、テレビCMが流れた期間とその前後を比較し、ウェブサイトへのアクセス数の増減を測定します。さらに、どれくらい商品購入にまで至ったかを分析することも可能です。
ウェブのクロスチャネルでテレビCMの効果を正確に検証する
テレビCMの効果をできるだけ正確に検証するためには、GRPやGAPだけでなく、ウェブのデータも必要です。
テレビCMとウェブサイトは別の施策だと思われるかもしれませんが、消費者は日常的に2つの媒体をまたいだ行動をとっています。
このような状況でテレビCMの広告効果を高めるためにはウェブと連携し、顧客との接点を複数持つクロスチャネルを行うことです。それが、テレビCMの効果を正確に検証することにもつながります。
テレビCMの効果検証はウェブのデータも併せて確認することが大切
テレビCMの効果を検証するための指標としては、GRPが最もオーソドックスです。
しかし、テレビCMを見た人が商品やサービスに対してどう行動したのかは、ウェブ上の行動データも併せて確認することが必要でしょう。テレビCMとウェブのクロスチャネル化は、効果を高めるだけでなく、正確な効果検証にも役立ちます。
テレビCMの出稿を検討するのであれば、ウェブでの施策もぜひ検討してみてください。
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