今回は東京都内で美容クリニックを運営されているサイトのSEOとコンテンツマーケティング支援によって、新規セッションおよび来院者の獲得に成功した事例をご紹介します。
※クライアントの都合上、具体的な業態やキーワードをぼかしています。ご了承ください。
サイト概要・クリニック概要
今回ご紹介するのはWebを集客のメインとしている、都内で美容系クリニックを営んでいるクライアントのサイトです。サイト内にはクリニックや施術メニューを紹介するコンテンツや症例集、スタッフ紹介やQ&Aのほか、施術の流れを動画で説明するコンテンツなども持っており、Web集客がメインの集客手段ということもあって、比較的コンテンツが充実しています。
施術内容に関しても、他院とは少し異なるこだわった手法をとっており、クリニックのことを知っているユーザーは勿論のこと、遠方に住んでいる方が来院されることもあると聞いていました。
来院されるお客様の多くは女性で「美しくなりたい」「コンプレックスを解消したい」といった動機でクリニックに訪れます。全国への多院展開はしておらず、都内に1ヶ所拠点を置いて少人数のスタッフと共にクリニック運営をしています。
ベニスアップデートの影響を受けてサイト流入が大幅に減少
2014年末まではメインキーワード+エリア名(例:美容整形 渋谷)といったキーワードのほか、メインキーワード単体(例:美容整形)で検索した際にも1ページ目にWebサイトが上位表示されていました。
そのこともあって、
- エリアを指定して検索してくるユーザー
- メインキーワード単体で検索してくるユーザー
どちらのユーザーからも検索流入を集められており、全国各地に住んでいるお客さまにもWebサイトを見てもらうことが出来ていたため、遠方のお客さまが施術内容に興味を持ち、来院されるといったケースも少なくありませんでした。
しかし、2014年12月にのベニスアップデートが更新されてからというもの、メインキーワード単体での検索結果もローカライズされ、クリニック近郊で検索をかけないと上位表示されなくなってしまい、近郊エリア以外からのセッションや来院者数も次第に減少していきました。
打開策としてコンテンツによる集客を立案
別の手段で今までと同等以上のトラフィック量を生み出すことができて、かつ来院にも繋げることができるものはないかと模索・検討した結果、打開策として行きついたのがコンテンツを通じて集客し、同院の強みを伝えることでした。
この施策のヒントを得たのは遠方から来院されるお客様でした。実際にWebサイトを見て施術の内容やクリニックの考え方に共感してくれたお客さまはわざわざ遠方からでも来院してくれているという事実に着目し、潜在的にでも同じようなニーズやコンプレックスを持っているユーザーと検索結果上で接触できる機会を作ることができれば、それをきっかけにクリニックの事や施術内容のことを理解してもらえるのではないか、サイトに訪問してくれたユーザーが実際にどこかで施術を受けようと検討するフェーズにおいてこのクリニックを選択肢の一つにしてくれるのではないかと仮説を立てました。
そこで以下の2つの方針を立て、コンテンツ施策に取り組んでいくことにしました。
- 将来的に来院してくれる可能性を持っているユーザーと検索結果経由で接点をつくる
- サイト訪問者に価値ある情報を提供することでクリニックへの信頼・認知を獲得していく
上記の方針を決めてから実際に何をしたかについて、次で紹介していきます。
実際に何をしたか?
1.実際に来院されているユーザーが克服したいコンプレックスの洗い出し
まず始めにクリニックに実際に来院されているユーザーがどんなコンプレックスを抱えているのか、どんな動機で来院するのかをクライアントから洗いざらいヒアリングし、把握していきました。
2.キーワード調査
次に同じようなコンプレックスを抱えているユーザーが検索をかけるキーワードはどんなものがあるのかを頭やキーワードツールを使うだけでなく、Yahoo!知恵袋内の質問投稿なども軒並みチェックし、キーワードの調査を進めました。
3.キーワードのグルーピング
キーワード調査で出てきたキーワードがなにを目的として検索されたキーワードなのか、「治療目的なのか」「心配事に関する情報収集なのか」「治療の費用を知りたいのか」「言葉の意味を知りたいのか」といったユーザーニーズ毎にグルーピングしていきました。
4.キーワード単位でのニーズ調査
上記のキーワードグルーピングでも、ある程度ユーザーニーズを把握することが出来ましたが、一つ一つのキーワードに込められたユーザーの検索意図をより正確に把握するため、キーワード単位でユーザーがどのような情報を知りたいのかを一つ一つ出していきました。
5.ニーズのグルーピング
ニーズ調査で出てきたそれぞれのユーザーニーズを「大枠としてどのコンプレックスに該当するのか」「具体的にどのようなニーズに該当するのか」というように再グルーピングしていき、検索ユーザーのニーズを整理するとともに把握していきました。
6.キーワード戦略の策定
キーワード調査結果、ニーズ調査結果、クライアントのビジネスモデルや施術内容、当時のランキング状況などを勘案して、どういったニーズを持つユーザーと接点を持っていくべきかの取捨選択や、優先度を付けていきSEOにおけるキーワード戦略を策定していきました。
7.その他要件の策定
キーワード戦略の決定後、サイトマップを作成してサイト内にどのようにコンテンツを持たせるかといった要件定義や、ワードプレス導入の提案、記事更新頻度など目標面に関する設計やSNSを用いた情報拡散方法についてのアドバイザリーなど、コンテンツ施策を実行するにあたって必要となる各項目に全面的に協力しました。
コンテンツ施策の成果紹介
2014年12月にベニスアップデートが実施されてから、各種調査や要件策定を経て、2015年10月からようやく月5本のペースで記事を公開していくことができました。施策を進めてきた成果を紹介していきます。
まずはオーガニック検索トラフィックの推移です。
アップデートの影響を受ける前の2014年11月と比較して1397%改善しました。
次に施策前と施策後でのランキング分布の変化です。
以下は悩み系キーワードに対応する1記事のトラフィック推移です。
現在、検索Volの大きいキーワードで検索結果の1位に表示されており、1日に約600~700回のセッション、月に22000回程のセッションを獲得しています。
サイト全体での検索流入キーワード数も以下のように変化しました。
検索結果がローカライズされても、価値あるサービスなら全国から求められる
ベニスアップデートの影響で流入と来院者数の減少が起こっていた某美容クリニックが、コンテンツマーケティングの実施により全盛期以上の成果をだすことに成功した事例を紹介しました。
ビッグワードの検索結果はローカライズされてしまいましたが、オンリーワンの技術を持つサービスは地域限定ではなく全国どこからでも求められます。検索結果がローカライズされてもそれは変わりません。であれば、どのようにして必要とするユーザーに必要な情報を届けるか、ということを考えるが本当のSEOです。今回はそれを、一般的な悩みのキーワードを取るという形で解決しました。
サービスそのものの強みをSEOと結びつけ、必要とする人に情報を届ける
- 遠方のお客様も来院するというクリニックの魅力や施術内容の強みがあった
- 全国に来院してくれる可能性を持っているユーザーがいるという事を発見した
上記2点をクライアントと一緒に理解したことで、今回の施策を展開することができました。結果的に多くの新規ユーザーとの接点を新たに生み出すことに成功し、セッション数の増加だけでなく来院者数の増加にも結びつける事が出来ました。
SEOで本当に成果を出すには、単純にトラフィックを増やすことだけでなく、だれがどこでそのサービスを必要としているか、その人に情報をとどけるにはどうすればいいか、ということを考え抜く必要があります。本当に優れたサービスであればそれを求めているユーザーは必ずいます。今回のベニスアップデートのように、不本意な形に検索結果が変化することもありますが、それに対応し、集客・売上向上につなげることは必ずできます。ぜひ、どうすれば自社の強みを活かすことができるかを考え、SEOにも反映させてみてください。
ベニスアップデートで流入低下→コンテンツSEOで全国からの集客に成功した美容クリニックの事例はナイル株式会社 - SEO HACKSで公開された投稿です。