人手不足が続く現代のビジネスシーンで、「リスキリング」という言葉を耳にするようになりました。
リスキリングとは、新しいスキルの学び直しを意味します。しかし、言葉ばかりが先行して正しい意味を把握できていなければ、リスキリングによる事業の成長が見込めない恐れがあります。
本記事では、リスキリングに取り組むメリットや、リスキリングで学ぶべきスキル・資格を紹介します。
リスキリングを導入して事業の成長につなげたい方は、ぜひ最後までお読みください。
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リスキリングとは
リスキリング(Re-skilling)とは、新しく発生する業務に役立つ「新しいスキル」を学ぶことです。
「これまでに取り組んでいた業務とまったく異なる領域のスキルを身につけること」と言い換えてもよいでしょう。
例えば、これまで営業活動をメインでやっていたメンバーが、自社サイトのエンジニアとして働けるようにスキルを身につけたり、倉庫のピッキング担当者が、ロボットの管理者になったりするイメージです。
このようにリスキリングによって業務に活かせる新しいスキルを習得することで、従業員としては活躍の幅が広がるといったメリットがありますし、会社としても人員配置の最適化、採用が難しいポジションの確保などさまざまなメリットがあります。
そんなリスキリングは言うなればドラゴンクエストシリーズの転職のようなものです。魔法使いとしてレベルが30あったとしても、転職して戦士になればまたレベル1からスタートしないといけない一方、上手く成長すれば魔法使いの要素を備えた戦士が誕生するのです。
リスキリングが注目されている理由
最近リスキリングが注目され始めた理由は、下記のとおりです。
【リスキリングが注目されている理由】
- DX(デジタルトランスフォーメーション)※の推進に必要だから
- 働き方が変化しているから
※デジタル技術を用いてビジネスモデルを変革すること
近年は経済産業省が主体となって、DX人材の育成に力を入れています。2020年には、DX認定制度(DX推進の準備ができている事業者を認定する制度)を設立した※1ことで、多くの企業が社内のデジタル化に取り組む現状となりました。
それに伴い、ITシステムの導入や人材の育成が必要になるため、これからの時代に欠かせないスキルを学ぶリスキリングに注目が集まっています。DX化に伴い、作業の効率が進んだこともひとつの要因でしょう。
また、『「現代用語の基礎知識」選 2022ユーキャン新語・流行語大賞』に「リスキリング」がノミネートされた※2こともあり、DXはさらに注目を集めています。
※1参考:DX認定制度概要(経済産業省)
※2 参考:【2022年学びのトレンド調査】何かを学んでいる人ほど人生満足度が4.9ポイント高いという結果に(株式会社ユーキャン/株式会社 PR TIMES)
リスキリングの課題
リスキリングの必要性が認識され始めているものの、下記のような課題も存在します。
【リスキリングの課題】
- 国内でまだまだリスキリングが浸透していない
- リスキリングに対して抵抗感を持つ人もいる
参考:世界で進む「リスキリング」、日本に必要な施策とは?(Human Capital Online/株式会社 日経BP)
エン・ジャパン株式会社が35歳以上のユーザーを対象として行ったリスキリングの課題調査では、「現在、リスキリングに取り組んでいない」と回答した人の理由は下記のとおりでした。
リスキリングに取り組む上での課題を伺うと「学習時間の確保」(71%)が最多でした。「現在、リスキリングに取り組んでいない」と回答した方の取り組んでいない理由として「時間がない・忙しい」(38%)が最も多く、リスキリングへの挑戦・継続は時間の捻出が鍵を握っているようです。
出典・引用:ミドル1700人に聞く「リスキリング」実態調査(エン・ジャパン株式会社)
そもそもリスキリングは、今まで経験したことのない領域のスキルを身につけてもらうため、時間やその学習を支援するために費用がかかってきます。場合によっては従業員にプログラミングや、AI、データサイエンスといった先端技術を学んでもらう必要もあるかもしれません。
これらは一朝一夕で身につくスキルではないため、研修やオンライン講座などで長期的に学習しなければなりません。従業員は通常の業務と並行してリスキリングを行うため、精神的・身体的な負担がかかりやすいです。
したがって、ただ学習を強要するだけでは継続することが難しいので、就業時間内の学習や表彰制度の設立など、社内の体制も変えていかなければなりません。
以上のようにリスキリングを社内で進めるには、解決すべき課題があるのです。
リスキリングとほかの学習・教育との違い3つ
リスキリングと似た学習・教育との違いを紹介します。
特に、リカレント教育は新しいスキルを学ぶという点では共通のため、混同しないように注意しましょう。
【違い1】リカレント教育との違い
リスキリングと混同されやすいのが、リカレント教育(社会人が教育機関で学び直すこと)です。
2つの違いを一覧表にまとめました。
リカレント教育も「新しい知識を学ぶ」点は変わりません。しかし、リスキリングが「企業に属しながら、新しいスキルを習得する」ことに対し、リカレント教育は「従業員個人が会社を離れ、必要に応じて学習し、再度会社に戻る」ことを指します。
したがって、リスキリングは企業に就労しながら学習を進めますが、リカレント教育は、一度会社を離れ学習することも想定されています。
【違い2】アンラーニングとの違い
アンラーニングという概念も、新しいスキルを習得する点では同じです。
しかし、リスキリングとアンラーニングでは、身につける対象に違いがあります。
アンラーニングは、労働環境が変化する中で不要となった知識や教訓をいったん捨て、新しいスタイルを取り入れるのが特徴です。
例としては、これまでは「営業活動はとにかく気合いだ」と考えていたところを「営業活動ではデータ分析が重要だ」と取り組み方を変える、そんなイメージです。
このアンラーニングは、リスキリングにおいても重要な考え方になります。いくら営業でトップの成績を残していても、リスキリングでプログラミングを学ぶ際には、これまでの経験や教訓をすべてそのままで取り組むわけにはいかないからです。
よって、アンラーニングした上でリスキリングに臨めると、より効率は上がるといえます。
【違い3】OJT(オンザジョブトレーニング)との違い
企業が積極的に従業員へ教育する点では、OJT(On The Job Training)も同様です。
リスキリングとOJTは、学習するスキルや講師に違いがあります。
OJTは既存の部署で仕事をしてもらいながら、業務の進め方を覚えてもらい、スキルの獲得につなげる制度です。「今の業務」を続ける上で、より高い能力を身につけてもらうために社内の上司や先輩が教育します。
一方、リスキリングは「社内にまだない仕事」や「できる人がいない仕事」をこなすために、新しいスキルを習得します。職場に有識者がいない場合は、外部の講師に依頼することが一般的です。
リスキリングに取り組む4つのメリット
リスキリングに取り組むメリットには、下記の4つが挙げられます。
リスキリングで最先端のスキルを習得することで、採用コストの削減や業務効率化を実現できる可能性が高いです。順番に見ていきましょう。
【メリット1】人材不足に対応でき、採用コストが削減できる
リスキリングによって人材不足に対応できる上、採用コストを削減することが可能です。
新しい事業に挑戦したり新しいシステムを導入したりする場合、相応のスキルを持っている人材が必要になります。しかし、新規採用すると採用コストがかかることに加え、自社の事業や環境に慣れるまでにある程度の時間が必要です。
一方で、リスキリングでは今いる従業員のスキルアップを図るため、採用コストが削減できます。また、既存の業務内容や環境を理解しているので、学んだスキルをスムーズに活かしやすいです。
リスキリングには時間や費用がかかりますが、長期的な視点では自社に大きな効果をもたらすのです。
【メリット2】新しいアイデアが生まれやすく、事業の成長につながる
2つ目のメリットは、リスキリングによって新しいアイデアが生まれやすくなり、事業の成長につながることです。
リスキリングで従業員がスキルや知識をアップデートすると、時代に合った最新のスキル・知識の習得につながります。それにより「新規サービスの開発時に学んだ知見を取り入れる」など、新しいアイデアが生まれやすいでしょう。
例えば「元々営業をしていたメンバーが、リスキリングによりプログラミングを学ぶことで、営業活動の効率化につながるツール開発をできるようになる。」このようなことも考えられるでしょう。
【メリット3】業務効率化により、業績アップが期待できる
リスキリングによって業務効率化が見込めることも、メリットのひとつです。
経済産業省ではリスキリングに取り組みたい企業に向けて、多くのスキル習得講座を用意しています※3。
例えばプログラミング言語を学び、機械学習のプログラムを作成する講座などです。AIを活用したビジネスモデルの企画や検証を行えるスキルが身につくため、「必要なデータを収集・分析して、サービスの需要が高まる時期を予測する」といったことが可能になります。
その結果、「既存のデータの中から必要なものを取捨選択する」など人の手による作業を削減でき、業務効率化が実現できます。また、空いた時間やリソースをより生産性の高い業務にあてられるため、業績アップにつながりやすいです。
※3 参考:第四次産業革命スキル習得講座 一覧(経済産業省)
【メリット4】企業の文化が継承でき、新しいスキルをスムーズに融合できる
4つ目のメリットは、企業の文化を失わず既存のスキルと融合できる点です。
リスキリングで新しいスキルを習得した従業員は、以前から在籍しているため、企業の文化や慣習を熟知しています。一方で人材を新規採用した場合、企業の文化を教育しなければなりません。
既存の知識や企業の文化を新しいスキルとうまく融合することで、事業の成長につながります。そのためには、新規採用よりも従業員のリスキリングが効果的です。
なお、リスキリングで身につけたいスキルのひとつに、「Webマーケティング」があります。例えば、検索エンジンで自社サイトを上位表示させる施策を打って見込み顧客の獲得をするためのノウハウです。
ナイルではWebマーケティングのノウハウが豊富にあるため、リスキリングに取り組みたい企業へのコンサルも可能です。「まずは何から取り組めばいいのか」といった悩みにも丁寧に回答しますので、下記からお気軽にご相談ください。
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リスキリングに取り組む上でのデメリット2つ
リスキリングに取り組む上でのデメリットは、下記のとおりです。
リスキリングによって従業員が新しいスキルを得た場合、より好条件の職場に転職する恐れがあります。ひとつずつ見ていきましょう。
【デメリット1】従業員がスキルアップすることで、転職のリスクがある
リスキリングによって従業員がスキルアップした場合、転職のリスクがあります。
新しいアイデアを創出したり生産性の高い業務に取り組めるようになったりすることで、ほかのキャリアを考える可能性が高いからです。
再び、エン・ジャパン株式会社の調査結果を見ると、リスキリングに取り組む理由として「将来の起業・副業・転職等のため」と回答した人は4割以上でした。
「現在、リスキリングに取り組んでいる」と回答した方に、始めたきっかけを伺うと「仕事上必要だと感じ、自発的に始めた」(82%)が圧倒的でした。取り組む具体的な理由は「新しい仕事に挑戦するため」(56%)、「キャリアの市場価値を高めるため」(47%)、「将来の起業・副業・転職等のため」(42%)が上位でした。自身のキャリアのため、自主的に新たな仕事スキルを学ぶ方が多いようです。
出典・引用:ミドル1700人に聞く「リスキリング」実態調査(エン・ジャパン株式会社)
優秀な人材を手放さないためにも、待遇の見直しやDX人材認定制度の設立など、従業員が働きやすい職場を作ることが重要です。
【デメリット2】継続的に取り組む必要があるため、時間と手間がかかる
リスキリングは継続的に取り組まなくてはならないので、時間や手間、コストがかかります。
リスキリングで得られるスキルは難易度が高いものも多く、一朝一夕で身につくわけではありません。
そのほかにも、下記の手間やコストがかかります。
【リスキリングにかかる手間やコストの例】
- 習得するべきスキルや従業員の選定
- 研修、資格取得、書籍購入などの補助
- 従業員のモチベーションを維持する体制づくり
とはいえ、リスキリングで得た新しいスキルは、企業の成長を後押ししてくれる重要な要素です。ある程度の消費は先行投資と考えて、前向きにリスキリングを実施していくことをおすすめします。
リスキリングで学ぶべきスキルや資格7選
リスキリングで学ぶべきスキルや資格を、7つピックアップしました。
スキルの内容や具体的な資格を、ひとつずつ紹介していきます。
【スキル1】マーケティング
リスキリングで学ぶべきスキルのひとつは、マーケティングです。
営業担当やエンジニアなど、あらゆる職種でマーケティングの知識を活用できるため、効果の高いスキルといえます。
従来のマーケティングはもちろん、特にデジタルマーケティングの習得がおすすめです。デジタルマーケティングはインターネットを活用して、ユーザーの購買意欲を高められます。
資格を取得する際は、下記が有名です。
【マーケティングの資格の例】
- マーケティング検定
- 中小企業診断士
- MBA
なお、「リスキリングでどうやってデジタルマーケティングを学んでいけばいいのか」と気になる方は、下記の記事をご一読ください。リスキリングでデジタルマーケティングを習得する進め方などを解説しています。
・内部リンク:リスキリング マーケティング(リスキリング デジタルマーケティング)(11月記事)
【スキル2】IT(情報技術)
ITスキルも、リスキリングで学ぶべきスキルのひとつです。
Officeソフトやプログラミングなどさまざまな現場で必要とされるスキルが多く、人材不足に陥っている分野でもあります。
取得できる資格の例は、下記のとおりです。
【ITの資格の例】
- MOS
- VBAエキスパート
- AWS(Amazonが提供するクラウドサービス)
特に近年は、AIや機械学習といったスキルの需要が高まっています。実際に新しいビジネスの担い手として、経済産業省が「AI等を使いこなせる人材の育成」を進めているのです※4。
今のうちにスキルを習得しておくことで、長期にわたって活躍できる可能性が高いでしょう。
※4参考:AI人材育成の取組(経済産業省)
【スキル3】データ分析
リスキリングで学ぶべきスキルの3つ目は、データ分析です。
客観的なデータをもとに意思決定をすることで、スピーディに事業を推進できる可能性が高まります。
具体的なデータ分析の資格は、下記のとおりです。
【データ分析の資格の例】
- ビジネス統計スペシャリスト
- 統計検定
例えば、小売業なら「商品が売れやすい時間帯」や「店内での顧客の動き」を分析することで、在庫数の調整や棚の配置などに活かせます。
さまざまなデータを分析して施策に活用し、企業の成長を促していきましょう。
【スキル4】情報セキュリティ
インターネットを活用してさまざまな業務を遂行する現代ビジネスにおいて、情報セキュリティのスキルは必要不可欠です。
企業で取り扱う情報は機密性の高いものが多く、流出してしまえば社会的な信用を損なう恐れがあります。情報セキュリティの資格には、下記が挙げられます。
【情報セキュリティの資格の例】
- 情報セキュリティマネジメント
- 個人情報保護士認定試験
特に不正アクセスやなりすましは有名な手口なので、あらかじめ対策を講じなければなりません。積極的に情報セキュリティの知識を身につけることをおすすめします。
【スキル5】語学
人気の高いスキルのひとつに、語学が挙げられます。
グローバルなサプライチェーンが多くなった現代では、特に英語のスキルが求められるようになりました。英語の習得が、管理職の必須スキルとなっている企業も多いです。
有名な語学資格の一例は、TOEICやTOEFLなどです。また、第二外国語としてフランス語やドイツ語、中国語を習得しておくと重宝されやすい人材になります。
【スキル6】マネジメント
マネジメントスキルを習得すると、チームのコミュニケーションを円滑に進められるようになります。
特にリーダーや管理職など、人をまとめる役職に必要です。近年はテレワークの機会が増えたため、オンラインでのコミュニケーションスキルも求められています。
メンバー一人ひとりの個性や強み・弱みを把握し、適切なマネジメントを行えば、チームのパフォーマンスを最大限に発揮することが可能です。
【スキル7】ライブコマース
BtoC向けの新しいスキルとして、ライブコマースが挙げられます。
ライブコマースとは、InstagramなどのSNSや専用のプラットフォームを使い、リアルタイムに商品を紹介する販売手法です。
視聴者とコミュニケーションをとりながら商品の素材や使い方を説明できるため、アパレルブランドを中心に急速な普及を見せています。
商品を紹介するコマーサー(演者)には、商品の魅力やコメント対応など高いコミュニケーションスキルが求められるのが特徴です。ライブコマースは、今後人気の出るスキルといえます。
リスキリングを導入する5つのステップ
リスキリングを導入する際は、下記のステップで進めていきましょう。
リスキリングを社内に定着させるためには、従業員の意思の確認や環境の整備が欠かせません。順番に見ていきましょう。
【ステップ1】習得スキルと対象の従業員を決定する
まずは、「習得するスキル」と「対象の従業員」を決めます。
「新しく取り組みたい業務」を遂行するために必要なスキルを選ばなければ、せっかく習得しても現場で活かせません。
また従業員を選定するときは、本人の希望を確認することも大切です。「上司に言われたから実施する」という姿勢では、長期的に学習を続けるのは難しくなります。
そのため、下記の順番でスキルや従業員を決定することがおすすめです。
【スキルや従業員を決定するときのステップ】
- 新しく取り組みたい業務の洗い出しをする
- 1を行うために必要なスキルの洗い出しをする
- 従業員と面談し、2のスキルを学ぶ意欲があるかどうか確認する
従業員と面談する際は「スキルの習得によってどのようなキャリアを築けるか」など、将来的に活躍できる場があることをしっかり説明しましょう。
【ステップ2】教育プログラムを決定する
リスキリングを進める際は、企業に合った教育プログラムを決めなければなりません。
残業や休日出勤を避け、効率よくスキルを習得できそうなプログラムを選びましょう。
例えば、下記の教育プログラムがあります。
【教育プログラムの例】
- 研修
- ウェビナー
- eラーニング
なお、教育プログラムは自社で作成するより、専門家が作成・監修したものを利用することがおすすめです。教材や研修の質が低い場合、リスキリングの効果も下がってしまいます。
前述したように、経済産業省が公開しているリスキリングに役立つ「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」を、活用するのもいいでしょう。
【ステップ3】社内の学習環境を整える
次に、通常の業務と並行しながら学習が進められるよう、環境を整備します。
従業員は普段の仕事に加えてリスキリングに取り組むので、精神的・身体的に負担がかかりやすい状態です。
学習のモチベーションを維持し続けるためにも、下記のことを実施しましょう。
【学習環境を整えるときの例】
- 就業時間内に学習の時間を組み込む(残業・休日出勤を避ける)
- 学習管理システムを導入し、進捗状況や理解度がわかるようにする
従業員が学習を進めやすいように、経営陣が率先してサポートをしていく必要があります。
【ステップ4】従業員の意見を取り入れつつ継続して実施する
リスキリングを始めた後は、従業員の意見を取り入れながら継続していきましょう。
リスキリングを成功させるためには、1回限りの実施ではなく継続的に行うことが重要です。そもそも1回限りで習得できるようなスキルはあまりなく、複数回の実施が必要になります。
例えば、できる限り毎回プログラムへの意見を出してもらい、講座選びや学習環境に活かしていくのもいいでしょう。
従業員の意見が反映されれば、本人のモチベーションアップにもつながります。また、社内にリスキリングが定着しやすくなるので、積極的に新しいスキルを身につけようとする文化が生まれる可能性もあるでしょう。
【ステップ5】リスキリングで得たスキルを活用する
リスキリングで得たスキルは、実践することで初めて意味があります。
せっかく習得したスキルを活かせる場がなければ、従業員のモチベーションダウンにつながりかねません。実際の業務で活用できるように、実践の場を提供しましょう。
例えば、下記が挙げられます。
【スキルを活用する場の例】
- 今後取り組みたい事業をトライアルとして始める
- 社内インターンシップなど、スキルを実践できる他部署の仕事に就かせる
習得したスキルは、時代の変化や企業の状況に応じて最適化されるものです。スキルや知識のアップデートを怠らず、常に最大限のパフォーマンスを発揮できるように企業と従業員が一丸となってリスキリングを進めましょう。
なお、新しいスキルを習得した際は、どのように活用すればいいかわからないケースが多いです。その際はコンサルを依頼することで、目的の達成まで丁寧に導いてくれます。デジタルマーケティングのコンサルはナイルの得意分野なので、お困りの際はお気軽にご相談ください。
\疑問や不明点はお気軽にご質問ください!/
リスキリングを導入する上でのポイント3つ
リスキリングを導入する上でのポイントは、下記のとおりです。
従業員のモチベーションが低下しない仕組みがあれば、継続して学習を進められます。ひとつずつ見ていきましょう。
【ポイント1】従業員が取り組みやすい環境を構築する
リスキリングを導入する際は、従業員が取り組みやすい環境を構築しなければなりません。
いくら有益な講座を提供しても、従業員の学習意欲が低下してしまうと思うような成果は得られないからです。
例えば、下記のことに取り組んでみましょう。
【リスキリングに取り組みやすい環境づくりの例】
- 就業後に学習する場合は残業扱いにする
- 社内広報で対象の従業員を紹介し、表彰する
経営陣だけがリスキリングの重要性を把握していても、周囲の理解が足りず、非協力的であれば学習は効率的に進みません。そのため、社内のサポート体制を整え、全社で取り組みを支援することが重要です。
【ポイント2】従業員のモチベーションが低下しない仕組みを作る
リスキリングは継続的に実施する必要があるため、従業員のモチベーション維持が欠かせません。
モチベーションが低下すると学習意欲がなくなり、教育プログラムも本来の効果を発揮できないからです。
そのため、従業員の声を取り入れたり仕組みを作ったりして、モチベーション維持につなげましょう。
例えば、下記の施策が有効です。
【従業員のモチベーションを維持する仕組みの例】
- 有料の講座が受けやすくなる教育研修費用を増やす
- 資格取得時に奨励金がもらえる制度を作る
- 既存業務とは別に、新スキル習得を目的としたプロジェクトを発足できるようにする
リスキリングに取り組みたくなる仕組みがあることで、従業員もモチベーションを下げることなく継続できます。
【ポイント3】外部のコンテンツや有識者を活用する
リスキリングにおいて教育プログラムを選ぶ際は、外部のコンテンツや有識者の活用もひとつの方法です。
自社でコンテンツを作成しても専門家の監修がなければ、実践的な内容にならない場合があります。
そのため、専門家が作成した外部コンテンツを利用したり、有識者の意見を参考にしたりしましょう。また、コンテンツの作成をアウトソーシングできる場合もあるため、状況に応じて依頼するのがおすすめです。
リスキリングを導入する3社の事例
他社の事例を参考にすることで、リスキリングをスムーズに始めやすくなります。
今回は、3社の導入事例を紹介します。順番に見ていきましょう。
【事例1】株式会社日立製作所
株式会社日立製作所は、AIを駆使したリスキリング管理システムを導入しています。
もともと部下を指導する管理職にリスキリングの概念がなかったため、「管理職をどのように再教育するか」が課題でした。
リスキリング管理システムでは、AIが社員一人ひとりのスキルを把握した上で、デジタル知識や語学の習得を促すようになっています。1万6,000件の講座や10言語の学習プログラムを学べるため、社員に幅広いキャリアの選択肢があることが特徴です。
参考:日立、リスキリング管理システムを全社員に導入(日経転職版/株式会社 日経HR)
【事例2】大阪ガス株式会社
大阪ガス株式会社は、DXを推進する際にデータが重要な資産になると考え、誰もが正しくデータ分析できる能力開発に取り組んでいます。
初級・中級・上級にレベル分けされたデータ分析講習を開発し、従業員に受講の機会を設けました。
現在、上級コースを受講した従業員の数は約1,900人です。さらに、新しいスキルを習得した従業員に、できる限り実務で実践できるような機会を与えるようにしています。
参考:Case_2 大阪ガス 誰もがデータを正しく活用できるようになるための実践的スキル開発(リスキリングする組織/Works Report 2021/リクルートワークス研究所)
【事例3】ウェブスタッフ株式会社
ウェブスタッフ株式会社は、エンジニアのための学習コミュニティ「ENJIN」を運営しています。
「モダンフロントエンド技術を活用してオリジナルのアプリケーションを開発する」というゴールに対して、ユーザーの理解度に大きな差がありました。
そこで、リスキリングサポートツール「Techpit」を導入することで、メンター不在でもプログラムの運営を可能にしたのです。結果として初心者でも環境構築に挫折せず、アプリケーションの開発に成功しています。
参考:リソースがなくてもエンジニアは育成できる。フロントエンド学習コミュニティでのTechpit活用事例(株式会社テックピット)
リスキリングに取り組んで企業の成長につなげる
リスキリングは、新しく発生する業務に役立つ「新しいスキル」を学ぶことです。
人材不足の問題を解決しつつ、業務効率化や事業の成長につなげられます。リスキリングを導入する際は、必要なスキルや対象の従業員を選ぶところから始めましょう。また、従業員が取り組みやすい環境の構築や、モチベーションの低下を防ぐ仕組みも重要です。
リスキリングには時間や費用がかかりますが、継続して行ってこそ成果につながります。経営陣と従業員が一丸となって取り組み、企業の成長に役立てましょう。
なお、リスキリングでおすすめのスキルのひとつに「Webマーケティング」があります。SNSの運用や有益なコンテンツの掲載によって集客を増やすことで、コンバージョンにつなげていく手法です。
ナイルではユーザーの理解や解析を得意とするプロのアナリストが在籍しているため、豊富な知見をもとにコンサルティングを行います。専門家の支援を受けながらリスキリングを進めていきたい方は、ぜひ以下からお気軽にご相談ください。
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リスキリングとは?学ぶべきスキル7選や導入のポイント3つを紹介は【お気軽にご相談下さい】ナイルのSEO相談室で公開された投稿です。