世帯視聴率とは、どれくらいの世帯がその番組を視聴したかを示す数値です。ネットニュースや新聞記事などで「視聴率〇%台で好スタート」というような見出しを見かけますが、この視聴率は世帯視聴率のことを指しています。
ここでは、世帯視聴率の算出方法や個人視聴率との違いを説明するほか、CM出稿における世帯視聴率の問題点と活用法を解説します。
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世帯視聴率とはどのくらいの世帯が視聴しているかを示す推定値
世帯視聴率とは、調査対象の世帯のうち、どれくらいの世帯がその番組を視聴していたかを示す推定値です。番組視聴率や時間帯視聴率は、1分単位で計測された世帯視聴率をもとに集計されています。
世帯視聴率は、世帯の中でも個人それぞれが視聴するようになっている現状だと、視聴実態を把握することが難しい指標といえます。しかし、世帯視聴率が不要になったわけではありません。
CM出稿においては、例えば同じ番組を時系列で比較するときには、世帯視聴率を活用することができます。例えば、2021年の東京五輪の視聴率と、1964年の東京五輪の視聴率を比較する場合、当時の指標に合わせた世帯視聴率を用いれば、時間の経過順にデータを並べ、視聴動向を把握することができます。そのため、長寿番組といわれるような20年、30年と続く番組の視聴率を時系列で比較したいときは、世帯視聴率が活用しやすいのです。
世帯視聴率の調査方法
世帯視聴率は、ピープルメータという測定器をテレビに取り付けて測定します。調査する内容は、リアルタイムで視聴された世帯視聴率、タイムシフトで視聴された世帯視聴率です。タイムシフトとは、録画番組の7日以内の再生率を指します。
ピープルメータは1台で家庭内にある8台までのテレビの視聴状況を測定できます。しかし、世帯視聴率の計測は、あくまでも世帯単位のため、テレビの台数は世帯視聴率に影響しません。
例えば、家庭内のテレビ2台で同じ番組をつけていても、家を基準にしているので、1カウントとなります。また、家族全員で同じ番組を視聴していたとしても、1としてカウントされます。
世帯視聴率の算出方法
世帯視聴率は、どのように算出されるのでしょうか。個人の視聴状況を示す「個人視聴率」の算出方法と比べながら、世帯視聴率の算出方法を確認していきましょう。
世帯視聴率の算出方法
世帯視聴率は、家単位で測定するため、調査対象の世帯数が母数となります。以下の図のような視聴状況だとします。
■番組Aの世帯視聴率
調査対象の6世帯のうち、4世帯が番組Aを視聴している場合、世帯視聴率は66.66%となります。
4世帯÷6世帯=66.66%
■番組Bの世帯視聴率
6世帯のうち、2世帯が番組Bを視聴している場合、世帯視聴率は33.33%となります。
2世帯÷6世帯=33.33%
■番組Cの世帯視聴率
6世帯のうち、2世帯が番組Cを視聴している場合、世帯視聴率は33.33%となります。
2世帯÷6世帯=33.33%
個人視聴率の算出方法
個人視聴率は人単位で測定するため、調査世帯の合計人数が母数となります。以下の図のような視聴状況の場合、母数は16人です。
■番組Aの個人視聴率
16人中6 人が番組を視聴しているので、個人視聴率は37.5%となります。
6人÷16人=37.5%
■番組Bの個人視聴率
16人中3人が番組を視聴しているので、個人視聴率は18.75%となります。
3 人÷16人=18.75%
■番組Cの個人視聴率
16人中4人が番組を視聴しているので、個人視聴率は25%となります。
4人÷16人=25%
なお、個人視聴率は、全体人数をかけることで視聴人数を求めることもできます。番組Cの個人視聴率は25%、視聴人数は4人となります。
25%×16人=4人
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世帯視聴率の問題点とは?
世帯視聴率のはじまりは1960年代です。当時、テレビは一家に一台で、録画機もない時代でした。 しかし現在は、テレビを複数台持つ家も珍しくなく、録画機や録画機能つきテレビはもちろんのこと、見逃し配信なども登場し、さまざまな視聴スタイルが生まれています。世帯視聴率では実態に即した視聴データを把握できない、との声がテレビ局やCM広告主から多くあがっていました。
視聴率をビジネスに利用する番組側やCM広告主からすれば、どのような年齢層の人が何人視聴しているのかはマーケティングにおいて把握しておきたいところです。しかし、世帯視聴率では誰が視聴しているのか、何人視聴しているのかを知ることができません。
そのため、個人の視聴を性別や年代ごとに把握できる「個人視聴率」を新たな視聴率の指標とするテレビ局が増えているのです。
視聴率は世帯と個人、両方の活用を
視聴実態の把握には、世帯視聴率より個人視聴率のほうが時代に合っているといえます。しかし、CM出稿においては世帯視聴率と個人視聴率、両方を把握しておくといいでしょう。
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