準備は大丈夫?ペンギンアップデート3.0の順位回復事例から見るペンギン対策

年内最後のテーマは、年明け以降に更新が延期されたペンギンアップデートについてです。
詳細のタイミングについては語られていませんが、年明け最初の大きなSEOの話題はペンギンアップデートの更新になる可能性も高いと思われます。
今年のうちに心の準備ができるように、振り返りとしてこの話題に触れておきます。

次回ペンギンアップデートの更新が年明け以降に延期

2015年内に更新されると言われていた次回のペンギンアップデートが年明け以降に延期になったと話題になりました。

ペンギンアップデートは、スパム行為や、ウェブマスター向けガイドラインに著しく違反しているWebページに対して検索結果の順位を下げるとされています。過去のペンギンアップデートでは、特にSEOだけを目的とした意味のないリンクを多く集めて順位を向上させているサイトの順位が変動するなど大きな影響がありました。

参考:ペンギンアップデートとは

次回からペンギンアップデートはリアルタイム更新

また、次回の更新からはアルゴリズムに大幅に変更があり、これまでのペンギンアップデートは手動による不定期な更新でしたが、今後リアルタイムの更新になるとされています。リアルタイム更新になることで、ペンギンアップデートの影響を受けたとしても、これまでのように長く間隔を待たずに順位が回復できる可能性があります。

そこで今回はペンギンアップデートの更新を目前に、2014年10月に更新された前回のペンギンアップデート3.0で、事前に対策を打っていて大幅に順位が好転したサイトの事例を紹介します。

特定のキーワードでの順位が伸び悩んでいたり、過去に順位が変動してから長い間キーワードの順位が回復してこないなどの課題をお持ちであれば、リアルタイム更新になる前にペンギンアップデートに備えて今のうちに自社のリンクを見なおした方が良いかもしれません。

ご紹介するクライアント様の背景

今回ご紹介するのは、医療従事者向けの求人ポータルサイトです。2000年代の初頭から求人サービスを運営されており、多数の求人情報をサイト内に掲載しており、医療関係の協業会社も多く信頼も厚いサイトです。

このサイトは、2013年にGoogleから部分一致のペナルティをうけていましたが、過去に委託していたSEO会社が設置していた外部リンクを削除・否認して再審査リクエストを送り、無事ペナルティを解除しました。

しかし、ペナルティ解除以降も なかなかキーワードの順位は戻りませんでした。そのため引き続きGoogleSearchConsole(当時はウェブマスターツール)以外にも ahrefs や majesticSEO といったサードパーティ製のツールを利用して外部リンクを調査し、削除や否認などの対策を行いましたが、キーワードの順位は回復しませんでした。

2014年のペンギンアップデート(ペンギン3.0)を待つ際に行なった施策

引き続き外部リンクの削除・否認は行ってましたが、ペナルティは解除されたもののなかなか順位が戻ってこなかったので、ペンギンアップデートやGoolgeから特定のキーワードにフィルタがかかっているなどの影響が推測されました。

そこで、当時もペンギンアップデートの更新が来るとアナウンスがあったので、それに備えることにしました。それまで使用していたドメインについている外部リンクからの影響を受け継がない形で移管を行い、新サイトでは人工リンクに頼らないサイト運営をご提案しました。ペンギンアップデートまでに行なった施策を紹介します。

ドメインの移管

下記の図のように旧ドメインから新ドメインへのリダイレクトはハブページを経由して301リダイレクトおこないました。

ハブページにrobots.txtを用いてクローラーはブロックし、一方でブックマークなどをしてサイトを既に知っているユーザーには旧サイトのURLでもハブページを通して新サイトにリダイレクトされるようにしました。

こうすることで、過去の被リンクの効果を引き継ぐこと無く、ユーザーを新サイトに転送することが可能になります。

 

20151225_画像1ドメイン移管

関連サイト(協業サイト)からのリンク取得

同じ会社が運営している関連サイトや求人を出している医療機関・協業先などから積極的にリンクをもらえるように働きかけ、関連リンクを集めました。

下記はahrefsを用いた当時のドメイン移管後の外部リンク数の数値です。

20151225_画像2

?”自然リンク” の獲得のための特集コンテンツ作成

ナチュラルリンクを獲得出来るように求人情報だけではなく、定期的に特集コラムなどリンクを集められるような記事コンテンツを増やしました。

上記の施策を行い、ペンギンアップデートに備えていたところ、実際に2014年10月17~18日にペンギンアップデート(3.0)が更新されました。

ペンギンアップデート3.0 (2014年10月17~18日)の影響

ペンギンアップデート3.0が更新されから計測していたキーワードでゆっくりと順位が変化してきました。実際にどのように順位が変化をしたかをご紹介します。

都道府県を掛け合わせたキーワードの順位推移

まず「◯◯求人 × 都道府県名」のような都道府県名をかけわせたキーワードの順位が上昇しました。下の図は2014年の10月から2015年4月までの都道府県掛け合わせのキーワードの順位分布の推移です。

20151225_画像4

それまでグレーで示されている100位圏外であったキーワードが青色の50位以内や緑色の20位以内にランクインしてきたことがわかります。

具体的には、下記のような都道府県の掛け合わせキーワードの順位がじっくりと回復していきました。

20151225_画像4都道府県KW推移

※2014年10月~2015年8月の都道府県掛け合わせキーワードの検索順位

対策キーワードのランキング分布

その他にも”雇用形態”や”求人条件”などを掛け合わせたロングテールでのキーワード群でも徐々に順位が好転し、計測していた約1500のキーワードでの順位全体的に上昇してきました。

下の図は、計測していたキーワードの順位の分布の比較です。

20151225_画像3

※2014年10月時点と2014年7月時点の計測キーワードのランキング分布比較

20151225_画像5

※2014年9月から2015年3月までの計測キーワードのランキング分布

図からもわかるようにペンギンアップデート以後、10位以内のキーワードの割合が増えています。

メインキーワードの順位

ロングテールのキーワード群が除々に回復してくるのに伴い、最終的には「〇〇 求人」のようなメインキーワードでも順位が回復してきました。

20151225_画像7メインキーワード推移

※2014年10月から2015年7月までのメインキーワードのランキング分布

オーガニックの流入

オーガニックの流入も順位の上昇によって旧ドメインとも比較して増加しました。
具体的には、2014年11月から2015年6月までの半年間のセッション数が、前年比で46,470 から 62,680 と約1.2倍増加し、ペンギンアップデート3.0が更新した2014年10月から半年経過した2015年6月のオーガニックからのセション数は昨年比で1.5倍まで増加しました。

20151225_画像8 検索流入推移

※ペンギンアップデート後の自然検索トラフィックのセッション数の推移

人工被リンクの削除とナチュラルリンク獲得によって、ペンギンアップデート更新以降で評価が改善

このような結果から判断できるのは、このクライアント様では、

  • 過去に設置したスパム判定される危険のある外部リンクからの影響を極力排除したこと
  • 関連する企業からのリンクや、特集コンテンツなどを通して”ナチュラル”リンクを集めたこと

が、ペンギンアップデートが更新された際にGoogleからの評価向上につながったのではないかと考えられます。

まとめ

今回は2014年10月のペンギンアップデート3.0の更新の前後で順位が回復した事例を紹介しました。
今回紹介したクライアント様のように特定のキーワードでの順位が伸び悩んでいたり、過去に順位が変動してから長い間回復してこない方などは、もしかしたらサイトに現在ついている外部リンクが影響している可能性も考えられます。

もちろん、ペンギンアップデート以外にもGoogleのアルゴリズムは数多く存在するため、順位が好転しない理由はペンギンアップデートによるものではないかもしれません。

しかし、多くの場合、人工リンクによる施策は功を奏さなくなってきています。順位が低く、人工リンク対策を行っているという方は、このタイミングを期に対策方針を変更するということも検討すべきでしょう。

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