こんにちは、ナイルの渡邉です。早いものでもう4月ですね。本日からWebマーケやSEOのチームに新入メンバーが入ってきた会社も多いのではないでしょうか。ナイルにも優秀な新卒メンバーが入社してくれました。ところで、未経験のメンバーにSEOをインストールするのって、教えることもたくさんあるし大変ですよね。
個人的に、昨今のコンテンツSEOやオウンドメディアブームもあいまって、「SEO=キーワードニーズのあるコンテンツをひたすら作ること」という‘ある側面だけを切り取った’SEOの考え方が蔓延していることに違和感があって、社内研修やお客様先でSEOについて話すときに「こういう順番で考えるのがいいよ」と話している内容を、新卒が入社したこのタイミングでブログに書こうと思います。
記事作成をメインとしたWebメディアのSEOに取り組まれている方や、HTMLタグや内部リンクなどの技術要件をメインとしたSEOに取り組まれている方も参考になると思うのでぜひ読んで見て下さい。前置きが長くなったので本題に入ります。
こんな方に読んでほしいです
- これから本格的にSEOに関わっていく方
- SEO=記事コンテンツを作ることだと思っている方
- titleや内部リンクなどの技術要件を整備するも成果が出なくて困っている方
よくあるSEOの悩みの課題はパッチワーク的な考えが原因
よくあるSEOの悩み
- 「キーワードの順位変動が激しくて困っている」
- 「クロール数が少ないのでクロール数を増やしたい」
- 「競合サイトよりもインデックスページ数が少ない」
- 「色々施策をやっても順位や流入の成果が出ない」
いずれもSEOに関わっている方だとよく耳にする、もしくは思わず言ってしまっている内容ではありませんか?これらの事象に一喜一憂したり、対策を講じてもキリがないです。
よくあるSEOの悩みの課題はパッチワーク的な考えが原因
- 「キーワードの順位変動が激しくて困っている」⇒キーワードに対応するページはぶれていないか?
- 「クロール数が少ないのでクロール数を増やしたい」⇒そもそもクロールされるページなのか?どのページがクロールされているのか?
- 「競合サイトよりもインデックスページ数が少ない」⇒競合との保有ページ数との違いは?そもそもインデックスされる価値がある情報をもっているのか?
- 「色々施策をやっても順位や流入の成果が出ない」⇒ビッグキーワードの順位やサイト全体のトラフィック変化だけで効果検証してしまっていないか?
上記のように課題に対して適切なポイントをチェックしているのかが課題解決のヒントになります。ただ、一つ一つの事象を解決しようとおもってもなかなか事態は好転しません。なぜならSEOは様々な要素が複合的に関わりあって評価されているからです。一つ一つ課題を潰そうと施策をしていこうとすると、どうしてもパッチワーク的なつぎはぎ施策になってしまい。思うように全体のバランスがとれず成果につながらないのです。
SEOは一連の流れでおさえよう
そこでナイルの考え方としてSEOをやる上で大切にしているのが、「パッチワーク的な個別最適」ではなく「SEOを一連の流れを考える全体最適」感です。
SEOの施策の始まりである「キーワード」から最終的なWeb サイトのゴールである「コンバージョン」までを一連の流れで考え、サイトのどこに課題があるのか、何を見て、どこを改善すれば思うような成果につながるのかを体系的に考えていきます。
前提として検索エンジンの仕組みがよくわからない方はこちらの記事を読んで見てください
1.キーワード
SEOを考える上でもっとも重要になるのが「キーワード」です。検索ユーザーが何を知りたいのか、それが検索クエリに現れます。
キーワードを決める前段階として読んでおいてほしいのが以前書いたこの記事です。
SEO=「ユーザーにとって役に立つコンテンツを作る」に対する違和感
実際にキーワード選定のフェーズで参考にしてほしいのがここらへんの記事です。
検索ボリュームがないキーワードでSEOを行う必要があるのかという話
2.ページ
SEOを考える上で、「キーワードが大切!」「コンテンツが重要だ!」と言ったことはよく聞きますが、意外と抜け落ちているのが「ページ」です。当たり前のことですが、キーワードに対応するページがなければ評価されるわけがありません。
ただ、逆にキーワードに対応するページが複数ある場合、Googleがどっちのページを評価するか迷ってしまう場合があります。基本的には1キーワード1ページが鉄則ですが、実際には下図の右の例のように、どうしても似たようなページが生成されてしまうケースも多いのではないでしょうか。(ページを作ること自体は問題ないです。)
こういったページがサイト内に量産されていくと評価がぶれやすくなります。記事メディアなどはどんどん記事を更新すればするほど似通ったテーマのページが増えていきますよね。
ちょっと内容は異なりますが、下記の記事も重複ページの対応を考える上で参考になります。
重複コンテンツによって生じる問題とその対策
3.コンテンツ
キーワード、ページときて、次に考えるのはコンテンツです。検索ニーズに応える十全なクオリティの高い情報をもっているかどうかはやはり重要です。かといって、SEOには文字ボリュームが大事だ!ということで文字だらけのテキストコンテンツを作っても、そんなコンテンツはユーザーにとって読みづらいですよね。キーワードによって、ユーザーが知りたい内容や、それに応えるのに適切な情報量というもののバランスをとっていく必要があります。
今回は突っ込んだ話はしないので、詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。
コンテンツに関する参考記事)
SEO=「ユーザーにとって役に立つコンテンツを作る」に対する違和感
4.リンク
ページがあって、コンテンツがあってもそれだけでは評価はされません。サイト内の関連内部リンクや、外部サイトからの紹介リンクがあることで、そのページ(コンテンツ)が認識されやすくなります。
リンクに関する参考記事)
【家具ECサイトのSEO事例】内部リンク設計でカテゴリページへの検索流入が1,157%改善
被リンクはどう増やす?SEO HACKS事例からみるリンク獲得方法
5.クロール
「ページが全然クロールされない!」といった課題は公開したばかりの新規サイトや、膨大の情報を保有しているデータベース型のサイトだとよくある話ではないでしょうか。その時考えるべきは、「そもそもクロールされる価値があるページなのか」「サイトの他のページばかりクロールされていないか」「クロールさせたいページへのリンク導線があるか」といったことです。他サイトからとってきた二次情報や、他社でも扱ってます的な一般情報をもっているページだと、そもそもGoogleがクロールする価値があると判断しづらいですよね。
クロールに関する参考記事)
【初心者向け】クローラビリティを改善し、サイトのコンテンツを検索エンジンに正しく発見・認識させる
6.インデックス
「競合サイトと比較してインデックス数が少ないのでどうにかしてほしい!」「インデックス数が増えないのはペナルティを受けてるからですか?」といったご相談を頂くことがありますが、大事なのはインデックス数や競合との差分ではありません。(もちろん参考として見るのはいいと思います)
そもそもGoogleから見たときにインデックスさせる価値がある情報(コンテンツ)をもっているページなのか、インデックスさせたいページがクロールされているのか、といったことを前提として考えておく必要があります。
- インデックスさせたいページなのにインデックスされない⇒インデックスされる価値がある情報をもっているのか、そのページがクロールされているのか
- インデックスさせたくないページがインデックスされてしまっている⇒robots.txtやnoindexなどによる技術的な制御をおこなう必要があるのか
インデックスに関する参考記事)
サイト(ページ)を公開してからインデックスされるまでのスピードを上げるためには?
7.ランク
「キーワードの順位変動が激しくて困っている」という悩みをもっている方は多いと思いますが、たいていの場合だと下記のいずれかによるものが多いように感じます。
・データベース型のサイト:キーワードに対応する似たようなカテゴリや一覧ページが多数存在する、またはトップ、カテゴリ、特集ページでキーワードを取り合っている
・記事メディア型のサイト:似たようなテーマの記事が日々更新されるなかで、Googleがどの記事を評価するのか時期によって変わる
大事なことは「キーワードの順位だけではなく、どのページがランクインしているのか、時期によってページの入れ替わりが起きていないか」という視点です。
8.トラフィックとコンバージョン
「SEO=検索エンジン最適化」と捉えたときに追えるのは、キーワード順位とそこからのセッションで終わりですが、「検索体験最適化」と捉えた場合には流入後のユーザーがどうなったのかというところまで追っていくことができます。
SEOに取り組んでいる企業の方も、施策の成果として「オーガニック経由のトラフィック数」や「オーガニック経由のCV数」をKPIとして追っている方も多いかとは思いますが、目標設定や効果検証の仕方はしっかり考えておく必要があります。
トラフィックを見ていく場合、計測しているキーワードで上位表示されているページへの流入が多いのか、それとも違うのか(そうでない場合、そもそも計測していないキーワードがアクセスを稼いでいるのか、ロングテールで細かく積み上げている可能があります)というのをちゃんと見ていかないと、「◯万円もかけて◯記事も作ったのに、思ったようにトラフィック伸びない」といった悩みを抱え続けることになります。
トラフィック数全体だけをみるのではなく、どういったキーワードが、どういったページが、どういったコンテンツがトラフィックにつながるのかをしっかり考えたうえで、目標設定や効果検証の仕方を改善していくのが大事です。
「コンテンツSEO頑張っているのにトラフィックは増えたけど、コンバージョンに繋がらない」というボヤきをしてしまっている方は以下が原因かもしれません。
つまりは、「これくらい予算かけて◯PV集めたら◯%くらいCVするよね」とファネル的な考えで歩留まりを想定して、コンテンツを作っているという状況です。予算承認を得るときに事業計画を引く上ではこうした目標数値は重要ですが、実際にSEOに取り組んでみるとこんなに思ったようにはいきません。
なぜなら、キーワードの検索ボリュームや作成記事本数から想定目標を作っているので、そのキーワードの性質(情報収集なのか、悩みを解決したいのか)の背景にあるユーザーの検索意図や、そのキーワードに対応したコンテンツの性質(集客コンテンツか接客コンテンツか)といった話が置き去りになってしまっているからです。
そのコンテンツの性質によって目標設定や、その後の施策を調整していく必要があります。
- 集客はできるが接客できないコンテンツ⇒接客できるページに誘導させる
- 接客はできるが集客には繋がらないコンテンツ⇒集客できるページから遷移させる
トラフィックやコンバージョンに関する参考記事)
SEO=「ユーザーにとって役に立つコンテンツを作る」に対する違和感
「コンテンツSEO 効果なし」その判断早いかも?注意点と”効果測定”の捉え方
検索ボリュームがないキーワードでSEOを行う必要があるのかという話
おわりに
以上、部分最適によるパッチワーク的なSEO施策へのアンチテーゼとして、全体感から捉える「SEOの一連の流れ」について説明しました。誤解を恐れずにいうならば、SEOは、キーワード選んで、コンテンツ作って、リンク集めて、技術要件を整備するとやることはどこも一緒です。だからこそ、考え方や取り組み方のところでオリジナリティを出せるところが最後には勝つのではないでしょうか。(新卒メンバーの皆さんも上記の考えにもとづいて施策に取り組んでみてください。)
2018年4月2日13:43:記事タイトル変更しました。ご案内
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