2014年のヨーロッパのスタートアップ業界を大予測

世界で盛り上がるスタートアップシーン、日本に情報が届きにくいヨーロッパ方面でも(一部のゲームメーカー除く)盛り上がりを見せているようです。今回は、2014年のヨーロッパのスタートアップシーンを予測する記事をThe Next Webから。 — SEO Japan

2014

ポール・ジョゼファクは、イノベーションラボ、Liquid Labsの共同設立者であり、業務執行取締役を務める。また、元ベンチャー投資家でもある。


過去12ヶ月間、ヨーロッパのテクノロジー業界は、とても有意義な時間を過ごした。

ベルリンは、ヨーロッパ大陸にテクノロジーの波を送り込む中心地となり、投資家、起業家、そして、テクノロジーの専門家を「シリコンアレー」へと導く役割を果たしてきた。ロンドンは、ベルリンの成功を凌駕し、シリコンラウンドアバウトには、スタートアップ、インキュベーター、そして、アクセラレータが、爆発的に増加した。Tech City UKによると、今年のロンドンのテクノロジー業界は、雇用が27%増加し、テクノロジースタートアップの数は76%増加していたようだ。

投資家は、安定したスタートアップ、そして、多くの新たに立ち上げられたビジネスに対して、シードの段階で多額の投資を行い、熱狂的な雰囲気を後押ししていた。FinTechでは、11月だけで、74件の大きな取引があった。昨年は、M&Aの取引も盛り上がり、米国の投資家がヨーロッパの市場に戻って来た。

テクノロジー、メディア、そして、電気通信の領域の取引は、過去6年間で最も多く、トップ 10の取引のうち7点がこの領域に集中していた。米国では、フェイスブックとツイッターを筆頭に、テクノロジー企業に対してIPOの門戸は開かれており、やがて、ヨーロッパでも安定した、ベンチャーベースの会社にIPOのチャンスが巡ってくることを期待している。

2014年は諸刃の剣

2013年は、ヨーロッパの大半のテクノロジー企業にとって、飛躍の1年であったと言えるものの、この成功が、2014年には、新たな起業家に対して、諸刃の剣のような影響を与える可能性がある。とりわけ、初めて起業する際、投資家から注目を集める難しさは、大きな脅威になるはずだ。この現象の原因を幾つか挙げていく:

  • まず、マーケットに参入する新たなテクノロジースタートアップの数が大幅に増え、新たな投資の供給のペースを上回る。
  • 次に、ヨーロッパのテクノロジー業界は、今まで以上に成熟した結果、ハードルが上がり、ベンチャーキャピタルを獲得するために、より堅実で、念入りなコンセプトを提供しなければならない、と言うプレッシャーが新人の起業家に襲い掛かる。
  • また、2014年は、東ヨーロッパからの競争が強まると予想される。ポーランドやハンガリー等の東欧諸国は、ベンチャーキャピタルの領域で頭角を現し、並外れた才能を持つエンジニア達が控えている。また、ルーマニアやブルガリアの現在の規制が緩和されれば、さらに競争は激化する。

ベンチャー投資家にとっては、選択肢が非常に多いことになる。つまり、新人の起業家は、目立つために、ずば抜けて革新的なコンセプトを提示しなければならない。現実として、ヨーロッパでサービスを模倣して、米国のインキュベータに売ることは遥かに難しくなるため、「模倣時代」は幕を閉じることになる。この最短ルートは閉ざされるため、クローンを作る魅力は大幅に減る。

新人の起業家には、3D印刷、そして、セマンティックウェブ等の一部の領域は、大半の投資家にとっては、今でも「趣味レベル」と見なされており、その結果、ベンチャーキャピタルを説得して、資金を引き出すことは非常に難しい点を理解しておいてもらいたい。

2014年の全体像を考慮すると、スタートアップを構築するコストが、さらに低下する可能性が高い点は、テクノロジー業界にとって朗報と言える。しかし、一般のM&Aの評価額もまた低下する。なぜなら、早い段階で退くスタートアップが増えるためだ。起業家にとっては、今でも十分に魅了的だが、ベンチャーキャピタルの感情にマイナスの影響を与えてしまう可能性がある。

革新的な企業

企業によるイノベーション、– 社内のイノベーションラボ、内部のチーム、または、インキュベータを介して — も2014年の展開に影響を与えると見られる。革新的な製品やサービスを開発する企業が増えるにつれ、スタートアップがローンチ直後に買収される件数は、少しずつ減っていくだろう。

投資家、そして、起業家にとっては、機会、難問、そして、健全な競争に満ち溢れた1年になる。その一方で、マーケットは成熟し、さらに、新たなスタートアップが続出する。その結果、投資家の注目を集めることが難しくなるため、大きなプレッシャーが、新人の起業家に押し寄せる可能性が高い。

成功を収めるためには、今までなかったものを提示する必要がある。しかし、投資家は、無線操縦の飛行機等の実証されていない分野への投資には、大方、慎重な姿勢を維持している。他方、積極的なベンチャーキャピタルが増え続け、最高の取引を巡る争いは激化し、強力なスタートアップのファウンダーには交渉を有利に進められる力が与えられる。

イメージ: Shutterstock


この記事は、The Next Webに掲載された「Why 2014 will be a tough year for first-time tech entrepreneurs in Europe」を翻訳した内容です。

「今までなかったものを提示する必要がある」とはいえ、「無線操縦の飛行機」や「3D印刷」、「セマンティックウェブ」等の早すぎる?分野への出資は難しい、と。ま、どこでもそんなものではありますが。。。、新人起業家にはハードルが高くなる、という趣旨の記事でしたが、それだけスタートアップ業界が盛り上がっているということで、今年も何かヨーロッパ初の熱いスタートアップが飛び出してくるのでしょうか。 — SEO Japan [G+]

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SEO Japan

002年開設、アイオイクスによる日本初のSEOポータル。SEOに関する最新情報記事を多数配信。SEOサービスはもちろん、高機能LPOツール&コンサルティング、次世代SEOに欠かせないインフォグラフィックを活用したコンテンツマーケティング等も提供。 SEOブログながら、ウェブマーケ全般。アドテク、ソーシャル、スタートアップ、インフォグラフィック等。