アルプスアルパインは1月18日、映像の空中表示と空中入力操作を同時に実現する「ステルス空中インターフェース」を、宇都宮大学と共同で開発したことを発表した。2025年をめどに、エレベーターや券売機など、公共空間での採用を目指す。
アルプスアルパインと宇都宮大学山本研究室が共同開発した「ステルス空中インターフェース」は、再帰性反射技術による映像の空中表示と、高感度静電容量検出技術による空中入力操作とを組み合わせた次世代型のインターフェースだ。エレベーターのボタンやスーパーのセルフレジなどで、ボタンの映像が空中に浮かび上がり、それを非接触で操作できるようになる。これにはまた、加飾印刷技術も取り込まれており、設置場所の素材やデザインに合わせることで筐体を目立たなくしておき、手を近づけたときにだけ操作部の映像が浮かび上がるようにもできる。
コロナ禍により、公共空間でのボタンなどにおいて非接触操作が強く望まれるようになったが、アルプスアルパインでは、2008年からすでに高感度静電容量検出技術による空中入力デバイスの開発を進めていた。昨今の非接触操作ニーズの高まりを受け、その技術に「AirInput」という商標を取得し、製品開発を加速させた。
一方宇都宮大学でも、2014年から再帰性反射技術を応用した映像の空中表示の研究に取り組んできた。その技術と、アルプスアルパインの高感度静電容量検出技術とを融合させることで、「より直感的で快適な非接触操作を実現し、非接触操作デバイスの社会普及を加速できる」と両者は考え、共同研究を決めたということだ。
今後は、2025年をめどに公共空間での表示や操作を行う装置としての採用を目指す。さらに、アミューズメント機器や車載機器などへの応用、ゴーグルなどのウェアラブル機器を必要としないXR視覚情報提示デバイスとしての事業展開も視野に入れるということだ。