さかんに開発が進む四足ロボットは、確かに力強く、機敏に動く。しかしそうした四足ロボットに何ができるのか、実際のところまだよく分からない。それでも、四足ロボットが動く様子は、何度見ても飽きないものだ。その最新版は、HyQRealと呼ばれるイタリア製のロボットが、なんと飛行機と綱引きをして力比べに勝つというシーンだ。
このビデオが、HyQRealにとってのデビューとなる。これは、数年前にイタリア工科大学と、その関係者によって作成されたより小型のモデル、HyQの後継機だ。それ以来、それほど大きく育ったわけではないものの、市場もそれなりに進化してきた。そして目の肥えた観客は、今や頑強なアメフトのラインバッカーのようなロボットまで見たがっている。
HyQRealが狙っているのも、ちょうどそのあたりだろう。このビデオは、ロボットの太いチタン製の脚部と、頑丈そうなカメラケージをクローズアップするところから始まる。重心の低そうな身体つきは、チーターのような俊敏な捕食動物というよりも、ブルドックを思わせる。こいつを蹴飛ばしてみようとは、なかなか思わないだろう。
このロボットは、米国時間の5月23日、International Conference on Robotics and Automation 2019(ロボットとオートメーションに関する国際会議)で発表された。そのワークショップで、チームはHyQRealの特徴を詳しく説明した。内容はIEEE Spectrum誌にも掲載されている。
体長は約4フィート(約1.2m)、全高は3フィート(約90cm)で、体重は130kg(約287ポンド)ある。そのうちバッテリーは15kgで、それで約2時間働き続けることができる。防塵、防水仕様で、倒れたり、ひっくり返ったりしても、自分で起き上がる。このロボットは、特別な高出力の油圧駆動装置を提供するMoogの協力を得て開発された。
こうした仕様を見ると良さそうに思えるが、ビデオを見れば分かる通り、実際このロボットは、小型の旅客機を引っ張るだけのトルクを持っている。とはいえ、飛行機を牽引するために、このタイプのロボットが作られているわけではもちろんない。さまざまな状況の中でも、多用途性と堅牢性を発揮し、人間に都合の良いように作られた世界の中を巧みに移動して、役立つ働きをする、ということが求められる。
現状では、まだHyQRealは基本的に実験機に過ぎない。すでにSpot Miniのようなロボットがもてはやされている状況を考えると、HyQRealがそれなりの地位を築くためには、もっと色々なことができるようになる必要がある。腕を取り付けたり、荷物を運べるような仕掛けを加えることも、真剣に検討すべきだろう。それはともかくとして、ほんの数年前ならかなり珍奇なものに感じられたはずだが、この種のロボットの競争を見るのは、やはりワクワクする。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)