トヨタ、カーシェアリングサービスGetaroundとパートナーシップを締結

NEW YORK, NY - MAY 24:  (L to R) Tony Conrad, Elliot Kroo, Jessica Scorpio, and Sam Zaid of Getaround attend TechCrunch Disrupt New York May 2011 at Pier 94 on May 24, 2011 in New York City.  (Photo by Joe Corrigan/Getty Images for AOL) *** Local Caption *** Elliot Kroo; Jessica Scorpio; Sam Zaid; Tony Conrad

自動車メーカーは、個人が自動車を所有する以外の未来の交通手段を模索したり、投資先を探したりしている。トヨタは、スタートアップが提供する交通モデルに賭けるようだ。トヨタはサンフランシスコに拠点を置くカーシェアリングサービスGetaroundに戦略的な投資を実施すると発表した。トヨタは投資の他に、Getaroundのプラットフォームのテクノロジーと車を購入する時のファイナンスの部分を連携する。この施策は、トヨタの自動車を持つオーナーがGetaroundに参加するインセンティブになるだろう。

Getaroundは、車を使っていない時に貸し出すことができるサービスだ。ユーザーは車が動いていない時間を減らし、また車を所有することでかかるコストをいくらか賄うことができる。

戦略的なパートナーシップの一環として、トヨタはLexusを始めとする車両を提供する。これらの車をGetaroundで借りる時、スマホがあれば鍵なしで解錠して運転することができる。2017年1月からはトヨタの金融サービス部門と連携し、トヨタの車の支払いをGetaroundで得た収益から引き落とすことができるようになるという。車で得た利益を車のコストに充てるための手順が減る。

トヨタとGetaroundの提携は、他の自動車メーカーとスタートアップのパートナーシップと似ている。例えば、GMはLyftと提携している。また、これはTeslaがTesla Networkで実現しようとしているモデルにも似ている。車の所有者は、車を使用していない時にオンデマンドで貸し出すことができるモデルだ。ただ、Teslaのカーシャエアリングでは自動運転車を想定しているという違いもある。

車メーカーは特に都市部での交通において、個人が車を所有する以外の選択肢を広く検討している。カーシェアリングサービスを直接支援し、今回トヨタが行ったような車の購入資金の工面につなぎこむというのは賢い施策だ。

Getaroundは2011年のDisrupt New Yorkで開催したTechCrunchのStartup Battlefield で優勝している。競合にはTuroや同じビジネスモデルを目指すTeslaのような大手自動車メーカーもある。今後この分野の競争は過熱しそうだ。自動車メーカーが自社の専門性を用いて参入しようとすれば企業の統合も加速することが予想される。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

調査結果:カーシェアリング導入の都市では車の所有数と排気ガスが減少

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世界的に温室効果ガスの排出に最も寄与している物の1つは車だ。特に交通量が多く、人口密度も高い都市の温室効果ガスの排気が大部分を占める。市民全員に自転車や公共交通機関の利用を奨励しても、車を捨てることに納得させることはできないだろう。一方でカーシェアリングサービスは都市に住む人に受け入れられつつある。今回の新しい研究結果は、このようなサービスは環境に良い影響があり、さらに市民にとっても不要な出費を削減することにつながることが示唆された。

この研究(全PDFはこちら)は、カリフォルニア大学バークレー校のTransportation Sustainability Research Center(持続可能な交通機関の研究センター)におけるInnovative Mobility Research (IMR) の調査グループが実施した。特に北アメリカにおける乗り捨て型カーシェアリングに注目し、いくつかの主要都市でサービスを展開していて最大のリーチがあるcar2goを研究対象とした。乗り捨て型カーシェアリングでは、サービスに登録するメンバーは車に乗車したら、別の場所で乗り捨てることができる。トロントの場合、car2goの車は街中の道路、市が提供する「Green P」の駐車場や空港で乗車することができる。

IMRの研究では、カルガリー、サンディエゴ、シアトル、バンクーバー、ワシントンのcar2goのメンバーを対象に調査を行った。自己申告で情報を提示するアンケート調査と、今回の研究のためにcar2goから取得した車のアクティビティに関するデータを組み合わせて研究している。

研究から、車の所有数と運転による排気ガスの両方がカーシェアリングプログラムのある都市で減少していたことがわかった。排気ガスの減少は、運転の全体量が減少したことを反映している。car2goのメンバーは、車を所有している人ほど車を運転していなかった。また、カーシェアリングが提供される前と同じくらいか少ない頻度で公共交通機関を利用していた。回答者の多くは以前より歩くようになったと回答している。

車の所有に関して、乗り捨て型カーシェアリングシステムが導入されてから、少ないけれど無視するには多い数の回答者が、所有していた車を売却したり、そもそも個人で使う車を購入しようと思わなかったということがアンケート結果から分かった。5都市の合計では、都市で走るカーシェアリングの車1台ごとに、4台から9台の車が売却、あるいはそもそも購入されないという形で減少したことが分かった。これが正確なら、都市を走る車の合計数、そして製造、所有や使用、そして廃棄面でかかるコストに大きな変化が起きるだろう。

ここトロントでもcar2goは成果を出している。乗車/降車地点を特定駐車場から、どの住宅街の道でも対応できるように拡張し、さらに4ドアのメルセデスの車を利用対象車に加えた(通常提供している車のほとんどはスマートのフォーツー車だ)。また、TechCrunchの同僚は、シアトルでもcar2goは結構普及していると話していた。

カーシェアリングは、都市に住む人にとって一般的な交通手段になるにはまだ遠いだろう。ただ今回の研究結果は、少人数のメンバーがいるだけでも、都市の健康状態に大きな影響を与えることを示した。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website