まったく、Netflixには驚かされる。
Netflixが本日発表したところによれば、同社は今年度の第4四半期で新規会員を国内市場で200万人、海外市場で500万人獲得したようだ。ウォールストリートの事前予想は実際の数字よりもずっと低く、それぞれ138万と378万人だった。業績数字については後ほどお伝えするが、実際のところ、ウォールストリートが気にしているのは新規会員の獲得数だ。なぜなら、その数字によって将来の成長速度を占うことができるからである。
より詳しく見てみると、Netflixは米国のオリジナルコンテンツに多額の投資をしているにもかかわらず、特に海外市場において急速に成長していることがわかる。Netflixは海外への拡大戦略を急速に推し進めているところではあるが、それぞれの国における国内戦略(強力なオリジナルコンテンツの製作)を調整する必要がある。それぞれの国ではオーディエンスが異なる趣向や視聴パターンを持っている可能性もあるからだ。しかし、Netflixは同社の新作を例に出し、その試みが成功したことを示した。
「嬉しいことに、ブラジルのオリジナルコンテンツである”3%”(SFドラマ)は、ブラジル国内で最も視聴された番組の1つとして数えられ、他のラテンアメリカ諸国のオーディエンスからもよく視聴されています」とNetflixはいう。「それだけではなく、これは下馬評とは異なることですが、何百万人ものアメリカ人が”3%”を英語字幕をつきで視聴しています。そのため、”3%”はポルトガル語の番組としては初めて、ブラジルとポルトガル以外のオーディエンスを獲得することができた番組となりました」。
しかし、オリジナルコンテンツ以外のコンテンツを充実させることも重要だ。これについてNetflixは、日本のアニメやトルコのドラマなど、国境を越えることができるローカル番組に注力していくとしている。オリジナルコンテンツは新規会員を惹きつけるものではあるが、その後も彼らを引き止めておくためにはそれ以外に豊富なコンテンツを用意する必要がある。だが、会員数が伸びれば伸びるほど、Netflixが他社とのパートナーシップを結べる可能性も高まり、彼らは国際市場で無視できない存在となっていくのだ。昨年、Netflixはコンテンツに50億ドルを投資しているが、2017年はそれを越える60億ドルを投資していく予定だ。
第4四半期で大きな成功を収めたNetflixだが、同社は今年の初め、第3四半期における会員数の成長予測を引き下げていた。だがその後、実際にはその予測を上回っていたことが明らかになり、それに伴って同社は第4四半期の予測数字を引き上げる。ウォール・ストリートはNetflixが第3四半期の予測を引き下げたことを少し心配していたが、結局数字が好調だったことを受けて第4四半期の予測は高く設定されていた ― そのような状況で今回の発表だ。
今思えば、その兆候はあったのかもしれない。昨年12月初旬には、Netflixアプリが初めてApp Storeにおけるトップ・グロッシングアプリのランキングで1位になっている。海外への拡大戦略を推し進める一方で、米国国内における成長鈍化はNetflixにとっての課題だった。そこでNetflixは、業界や国内のオーディエンスを惹きつけるようなオリジナルコンテンツの製作に多額の資金を投資してきた。さらに第4四半期にはオフラインでも視聴ができる機能を追加する。それによってアプリの利便性が高まり、App Storeにおける人気も高まったのだろう。
新しい国内コンテンツも次々に追加された。直近、NetflixはLuke Cage、the Crown、The OAなどのドラマシリーズを追加している。今回の発表では、これらの新作はすべて成功だったとされている。新しいコンテンツの追加が今後も続くとすれば、特に国内マーケットにおいて新規会員の獲得が期待できるだろう。
当然ながら、この発表のあとNetflixの株価は急上昇した。前日比9%の上昇だ。この上昇幅はもちろん大きいが、参考のために述べておくと、前回Netflixが会員獲得数の予測を引き上げたときには株価が20%上昇している。
ホリデーシーズンはNetflixにとって重要な時期だ。ギフトとして新しいデバイスを手にする人が増え、そのデバイスには当たり前のようにNetflixのアプリがダウンロードされる。昨年、Netflixは多数の海外マーケットに進出したが、国際マーケットにおけるビジネスも非常に上手くいっている。
それでも、米国のネットワーク中立性が弱まることが2017年のNetflixに悪影響を与えると考える者もいる。しかし、Netflixはそれが同社のビジネスに大きな影響を与えることはないと話す。
「仮に米国においてネットワーク中立性の弱体化が起こるとしても、それが国内ビジネスのマージンやサービスの質に重大な悪影響を与える可能性は低いでしょう。なぜなら、Netflixの人気はすでに高く、それがISP(インターネットサービスプロバイダー)との関係を安定させているからです」と同社はいう。「しかしながら、公共政策の観点からいえば、ネットワーク中立性はイノベーションと小規模企業をサポートする重要な考え方です。IPSがポテンシャルを秘めたサービスの活動を制限する、または彼らの好みによってそれを決めるべきなどと考えている人はいません。ネットワーク中立性を保つことで成長やイノベーションが生まれる。そのことを新しい政権や議会が気づいてくれることを望みます」。
Netflixの業績はウォールストリートの事前予測をわずかに上回っている。事前予測では1株あたりの当期純利益が14セント、売上高が24億7000万ドルだった一方で、実際の数字はそれぞれ15セントと24億8000万ドルだった。2016年はNetflixにとって行ったり来たりの不安定な年であったが、結局は良い1年を過ごせたようだ。
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