Ken Babcock(ケン・バブコック)氏と共同創業者のDan Giovacchini(ダン・ジオヴァッキニ)氏、Brian Shultz(ブライアン・シュルツ)氏が、ワークフローの理想的な進め方を自動で取得し、チームがトップパフォーマーから学べるようにするChromeの拡張機能Tangoを立ち上げようと思い立ったのは、2020年3月に彼らがハーバード・ビジネス・スクールに通っている頃だった。
「この機会は、多くの企業が分散してリモート化するようになった、パンデミックによってもたらされた。多くのチームリーダーが、おそらく初めてリモートで社員を入れるようになり、採用後の時間を短縮していた。もはやオフィスで直接人にお願いする機会はなくなり、新入社員トレーニングの多くは社員自身のデバイスまかせとなっていた」と、CEOのバブコック氏はTechCrunchに語っている。
彼らは、ロサンゼルスを拠点とするTangoを設立するためにビジネススクールを退学し、米国時間8月24日、同社のワークフロー・インテリジェンス・プラットフォームのために、570万ドル(約6億2600万円)のシードラウンド獲得を発表した。このラウンドには、Wing Venture Capitalがリードし、General Catalyst、Global Silicon Valley、Outsiders Fund、Red Sea Venturesが参加した。また、Yelpの元役員であるMichael Stoppelman(マイケル・ストップペルマン)氏、Uberの元データ部門責任者であるJai Ranganathan(ジャイ・ランガナサン)氏、KeepTruckinのCEOであるShoaib Makani(ショアイブ・マカニ)氏、Awesome People VenturesのJulia Lipton(ジュリア・リプトン)氏などのエンジェル投資家も参加した。
Tangoは、特にカスタマーサクセスやセールスイネーブルメントに携わる従業員が、1つの情報を探したり、タスクを手伝ってくれるのに適切な同僚を探したりするのに費やす時間を、1週間のうち20%程度削減することができるように設計されている。この技術は、ユーザーのワークフロー(アクション、ページへのリンク、URL、スクリーンショットなど)を記録し、それをビデオで順を追ってドキュメントに変換することで、チュートリアルを作成する。
以前、共同設立者たちはブートストラップで会社を運営していたが、Tangoがプロダクト主導の成長戦略をとることができるよう、プロダクトチームとグロースチームを拡大し、プロダクト開発に注力するためにシード資金を調達することを決めた、とバブコック氏は語っている。現在、チームには13名の社員がいる。
2020年の開始以来、Tangoは9月の公開に向けて、データや機能を把握するための10のパイロットを準備した。バブコック氏によると、Tangoには無料版だけでなく、追加機能を提供するプレミアム版や法人向けも用意されている。
「大きな問題は、統合と、コンシューマーのコンテンツがある場所で人々と繋がることだ」とバブコック氏は述べている。「私たちは、ドキュメント作成の負担を軽減しており、すでにWikisやその他の資料を備えている企業に対しては、それらのシステムにいかに自分たちのプロダクトを組み込めるかを学んでいる」。
Wing Venture CapitalのパートナーであるZach DeWitt(ザック・デウィット)氏は、3年前に共通の友人を通じて同社と出会ったという。
彼の会社は、斬新なデータセットをアクセス可能にするアーリーステージのBtoBのスタートアップ企業に投資している。Tangoの場合は、企業やビジネスのために、ユーザーがワークフローを分析できる新しいデータセットを作成していた。
10年前の20個から150個のSaaSアプリを使用している平均的なテック企業では、どのアプリを使用すべきか、それらをどのように使用すべきか、ユーザーが行き詰った場合はどうするか、何もデータを取得していない場合はどうするかなどいくつものパターンが考えられる、とDewitt氏は述べている。Tangoはバックグラウンドで動作し、ビジネスを成功させるための基盤となるユーザーのワークフローをキャプチャしてくれる。
「私はそのアプローチに圧倒された」と彼は付け加えた。「Tangoのチュートリアルを提供できるよう、多くの人が行き詰まるカ所を理解し、むしろ予測しなくてはいけない。また、知識を共有する人たちを社内で称えることで、会社の文化を変えることもできる。このアイデアは、行き詰まっている人、新入社員など複数の人たちにメリットがある。これは強力だ」。
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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)