シェアリングサービス利用時、相手に電話番号を知られずに通話できる「トラストーク」がローンチ

最近、電話をする機会がめっきり減ったのだが、時折宅配便や清掃業者に電話をかける時がある。そんなとき、プライベートで使っている電話番号が知られてしまうのに抵抗感を持つ人は私だけではないと思う。

沖縄県に拠点を置くレキサスは、KDDIウェブコミュニケーションズと「Trustalk(トラストーク)」を共同企画し、本日より提供を開始した。トラストークは、クラウド電話APIサービス「Twilio」を活用し、互いの電話番号がしなくても通話できるサービスだ。

トラストークはスポーツインストラクターを派遣する事業や家事代行サービスと行った個人同士をつなぐC2Cプラットフォーム事業者の利用を想定したサービスだ。

事業者が050で始まるトラストークの番号に、サービスを提供するスタッフとエンドユーザーの携帯電話番号を紐付けると、スタッフとエンドユーザーはその番号を介して通話できるようになる。それぞれの携帯端末の通話履歴には050の番号が残るので、個人の番号は分からない仕組みだ。

トラストークでは発信者と受信者を指定して登録するため、スタッフからしか発信できない、あるいはエンドユーザーからしか発信できないという設定ができる。もちろん、双方から発信できるようにも設定可能だ。電話番号の登録と同時に通話可能な期限も設定するため、それを過ぎると電話は繋がらなくなる。事業者は通話回数や通話時間などのログを確認したり、通話内容を録音することが可能だ。

レキサスでは以前より会話を軸としたサービス開発を検討していたが、C2C事業者の悩みを聞いたのがトラストークを開発するきっかけになったとトラストークのプロジェクトマネージャーを務める白鳥健治氏は話す。

例えば、トラストークをクローズドベータ版で利用してきた家事代行サービスのカジーでは、家事を行うスタッフと依頼主の間で、電話で連絡を取りたいというシーンがあるという。ただ、スタッフも依頼主も互いの連絡先が知られてしまうのに抵抗感がある。また、スタッフと依頼主が直接連絡した場合では、事業者は利用者とスタッフとの間でどのようなやりとりがあるか把握することができないという課題があった。

トラストークではスタッフとエンドユーザーのプライバシーを守りながら、事業者にとっては通話ログを確認することができるようにする。C2C事業者にとって、こうした通話サービスの需要があるのではないかと考えたと白鳥氏は話す。

現在、トラストークを利用するのに初期費用や月額費用はなく、費用は番号代 1ヶ月108円と電話代のみだ。携帯電話に発信する場合は1分あたり27円で、固定電話への発信は1分あたり10.8円だ。通話内容の録音機能は1分0.125円となっている。また、SDKも用意していて、事業者は自社サービス内にトラストークを組み込むことができる。

現在ベータ版だが、通話内容のテキスト化とのオプションもある。今後、通話内容を後からでも検索しやすいようにする音声解析機能なども搭載する予定だという。

2017年6月、日本郵政はフリマアプリなどで購入した品物を送るのに、互いに住所や氏名がなくとも配送できる「e発送サービス」を発表したが、トラストークはその電話番号版に近いと言えるだろう。こうしたサービスは個人が互いに安心して取引するための一助となるかもしれない。

トラストークを提供するレキサスは1998年10月に設立し、本社は沖縄県うるま市にある。もともとはシステム開発を行っていたが、近年は自社プロダクトである獣医療者向けのクラウドサービス「Halope H」などの開発提供も行なっている。