サイトから集荷日時を選びさえすれば、スタッフが自宅まで売りたいアイテムを取りに来てくれて、さらに販売代行までしてくれる——。約1年前の2018年5月11日にローンチされた「トリクル」は、売りたいモノを渡すだけで一連の出品作業をすべて丸投げできるサービスだ。
自宅に集荷に来るという性質上、これまでは都内8区のみが対象になっていたトリクルだが、今後“既存の枠組みとは少し変わった形で”全国にて使えるようになる。
運営元のSpiceは5月13日より新事業である「トリクルBOX」の事前登録受付をスタートした。このサービスではユーザーが売りたいモノを箱に詰めて送れば、その後は通常のトリクルと同様に出品を代行してもらえる。
面倒な手間なし、モノを渡すだけの出品代行サービス
近年は「メルカリ」や「ラクマ」を始めとするフリマアプリや「ヤフオク!」といったオークションサービスを使って、個人が手軽にモノを売買しやすい環境が整ってきた。
ただ実際にそれらのサービスを使う場合、商品情報の入力を含む出品作業や購入者との取引連絡、その後の梱包や配送手続きなど多少の手間がかかる。トリクルは手数料を支払うことを引き換えに、一連の面倒な作業を代わりに行ってくれるのが特徴だ。
冒頭でも触れた通り、ユーザーはサイト上で集荷日時を指定して当日アイテムを引き渡すだけ。盗品や食料品、テレビのように、法令などの理由で受け取れないものを除きどんなアイテムでも集荷の対象になり、ノウハウのあるスタッフが代わりに販売する。
昨年5月のローンチ後すぐに話題になり、2週間で累計の問い合わせ数は約800件まで急増。一時は集荷依頼の受付をストップする状況にもなった。
現在は需給バランスを調整するために、利用者を審査制/紹介制とする形に変更。都内8区(渋谷区・港区・目黒区・品川区・世田谷区・ 新宿区・中央区・千代田区)でサービスを展開している。
Spice代表取締役の徳泉成夏氏の話では25〜34歳がユーザーのボリュームゾーンなのだそう。ファッション、ホビー、小型家具など集荷アイテムは多岐にわたるが、中でもブランドもののファッション小物や洋服、ゲーム機や生活家電などの依頼が多いという。 時期としては引っ越し前や衣替えのタイミングが中心だ。
「ユーザーはフリマアプリなどを使う際に『出品作業』という時間的コスト、そして『取引連絡』などの心理的コストが発生することに課題を感じているが、トリクルがそこを代わりに一貫して行うことで価値を感じていただくと同時に課題を解消していただけている」(徳泉氏)
1月にはラクマやベアーズと連携し、フリマアプリのユーザーが抱える「出品前の片付け」「商品の出品作業」「商品の取引作業」という手間を解消するための取り組みをスタート。直近では手数料の変更も実施した(「売上×30%+送料」から「売上×15%〜+送料」へと変更)。
「商品を送るだけで出品代行」の新サービス
ラクマやベアーズと連携した「楽ラクお助け隊」は他社サービスとのタッグを通じたユーザーへの新しいオプションの提供と言えるが、今回のトリクルBOXもまた、より多くのユーザーにトリクルの仕組みを活用してもらうための次なる打ち手だ。
徳泉氏によると、以前からサービス提供エリア外のユーザーから「商品を送るので出品を代行してくれませんか?」という要望が多かったそう。トリクルBOXの場合は通常のトリクルに比べて「アイテムを箱に詰め込んでトリクル宛に送る」という一手間が追加されるものの、その反面エリアの縛りはなくなり全国で使えるようになる。
またトリクルの対象エリアのユーザーにとっても、希望の集荷日が予約で埋まっていたり、集荷時間内の対応が難しかったりする場合は新しい選択肢になりうるかもしれない。
具体的なサービス形態や手数料、利用フローについては順次公式サイトで発表する計画。現時点で明確なサービス開始日時については明かされていないが「早期のリリースに向けて準備してまいります」(徳泉氏)とのことだ。