ハイテク関連銘柄を中心に構成されるNASDAQ(ナスダック総合指数)は12月16日、史上最高の8,814.23で引け前週末比で0.91%上昇した。NASDAQの年初からの上昇率は32%を超えた。さかのぼって2016年末からでは約60%の上昇となる。2008年の危機後、2009年の最低記録からの上昇率はと594%という驚異的な数字となる。
前回の不況以降、テクノロジー株の価値の上昇は記録的だ。長期間にわたる世界的な景気拡大もあって、庶民には理解しがたい状況だろう。とはいえ、いい時代だ。そこで、どれほどいいのかを考えてみる価値はある。結局のところ、スタートアップ、ベンチャーキャピタル、大企業予備軍で構成される未公開市場は公開市場の動きに連動する。上場ハイテク株に何が起こっているかを理解すれば、身近なスタートアップに何が起こっているのかを深く理解できるはずだ。もっとはっきり言えば、どのスタートアップもなぜこれほど巨額の価値で評価されるのか。その理由は以下のとおりになる。
記録的な株高
最近のNASDAQの株価を歴史的な文脈の中で理解するのは少々難しい。テクノロジー企業の価値はかつて大幅に下方修正され、長く低迷が続いた。以来かなり長い間、株価チャートは単純な右上がりだった。最後にハイテク株が真の価値が下落し、そのまま低迷したのがいつだったか思い出せるだろうか。
おそらく思い出せないと思う。なぜなら、2008年以降の株価上昇と比べると、2000年時代のテックバブルは小さく、哀れなほど短命に思えるためだ。YChartsでは、80年代以降のNASDAQ総合指数は次のようになる。
ひと言で言えば、これが市場にユニコーンがあふれている理由だ。チャートを見れば、SaaS企業のマルチプル(倍数)がいまだにARR(毎年経常的に生じる売上高)の10〜11倍である理由がわかる(出典はBessemerで、現在クラウド企業指数のウェブページを再構築している)。Uberの評価が真の価値を上回る理由の一部もこのチャートにある。ベンチャーキャピタルファンドが膨張し、未公開株の価格が上昇し、輝いているように見えた投資先の価値が危う状況にあるも関わらずソフトバンクが2つ目のビジョンファンド立ち上げに動く理由もチャートが示している。マイクロソフトの今年の時価総額が50%以上増えた理由も同じだ。
つまりこういうことだ。現在、株式市場が非常に強いため、多くの投資家が売上高マルチプル(株価と1株あたり売上高の比率)が高いまま推移すると予想し、企業の成長に支払う対価が上昇している(公開市場データに基づく類似企業比較による価値評価や、大企業がスタートアップへの投資に支払ってもよいと考える金額がマルチプルを支える)。NASDAQが上昇し続ける限り、その賭けに参加するギャンブラーを賢いように見える。
何が言いたいのか
この記事は、今年はもちろんのこと、この1週間でも数回、書こうと思えば書けた。ただ、テクノロジーに関する株価指数が最高記録を更新するたびに同様のエントリーを投稿することはできない。読者にまたかと思われる。かといって、最高記録が更新されているのに、いつまでもこの話題に触れずにいるということもできない。覚えておかねばならないのは、スタートアップへの追い風はいつまでも続くものではないということだ。
いつ風向きが変わるのか。それは誰にもわからない。12月の時点では、懸念すべきミニクラッシュは見受けられない。すべてが順調で健全で、新記録に終わりはないように見える。
画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch
[原文へ]
(翻訳:Mizoguchi)