Ford(フォード)は、人気の高いFord Transit(フォード・トランジット)貨物バンの全電動バージョンを開発し、2022年度から北米市場向けに販売すると発表した。同社の電動化に対する決意を示す動きの1つと考えられる。
この全電動トランジットは米国内で製造される。フォードは、2022年までに電動化に対して115億ドル(約1兆1800億円)以上を投資することにしている。同社のEV計画には、他にも2019年4月に発表した欧州市場向けの全電動トランジットであるMustang Mach-E SUV(マスタング・マッハ-E SUV)、さらには電動のF-150トラックが含まれる。
商用バンをEV戦略の中に含めるというフォードの決定は、米国内での販売状況と将来の成長に関する見通しとリンクしたもの。2015年以降、同社の米国内のトラックおよびバンのフリート販売は、33%増加している。フォードは、eコマースと「最後の1マイル」の配送の増加によって、米国でのバン販売は継続的に成長するものと予想している。
またフォードは、電気自動車は、2025年の米市場で、この分野の8%を占めるまでに成長すると予測している。「商用車は、私たちの電動化に対する大きな賭けの、重要な要素です」とフォードの最高執行責任者であるJim Farley(ジム・ファーリー)氏は声明で述べている。「この分野のリーダーとして、私たちは企業の業績向上につながるソリューションを構築する計画を加速しています。まずは全電動のトランジットとF-150から始めます。このフォード・トランジットについては、単に電動の駆動系を製作するだけでなく、フリート全体を推進するデジタル製品の設計、開発することも目的としています」と続ける。
フォードは、車内インターネット接続やドライバーアシスタンスなど、IT機能にも焦点を当てるつもりだ。「世界は電動化された製品に向かっており、フリートの顧客も、まさにそれを求めています」と、ファーリー氏は言う。「フリートの車両は、コネクテッドモバイルビジネスとして運営されています。したがって、テクノロジーに対するニーズも、一般の顧客向けのものとは異なることを、私たちも理解しています。そこでフォードは、コネクティビティの関連性について深く考慮しています。私たちの車内高速電子アーキテクチャをクラウドベースのデータサービスと結び付けることで、単に電動の駆動系を備えた車ではなく、スマートビークルと呼べるものを、そうしたビジネスに供給するのです」と語る。
フォードによると、そうした「スマート」機能を組み込むことで、顧客はフリートの効率を最適化し、無駄を削減し、ドライバーの行動を改善することができるという。フリートは、内蔵のFordPass Connectモデムを利用して、4G、LTE、Wi-Fiに対応したホットスポットに接続し、フォードのテレマティクスシステムによって収集されたデータにアクセスできるようになる。このホットスポットは、最大10台のデバイスに接続できるという。フリートのマネージャーは、フォードのデータツールによって、ライブマップ上でのGPSによる追跡、ジオフェンシング、車両診断など、車両とドライバーの状態をひと目で確認可能なパフォーマンスインジケーターを利用できるようになると、フォードは説明している。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)