ビジネス書の要約サービス「flier」(フライヤー)を手がけるフライヤーは1月18日、第三者割当増資による総額2億円の資金調達を発表した。引受先は、マイナビ、VOYAGE VENTURES(ボヤージュベンチャーズ)、社会人向け研修サービス大手のインソース(東京・千代田)の3社。累積資金調達額は約4億7000万円となった。
調達した資金は、法人向けSaaSビジネスを強化するため人材確保やサービス開発、広告宣伝にあてる。また、目標に掲げる2022年内の会員数120万人達成に向けてアクセルを踏むとともに、事業提携を進める。累計契約社数は200社超まで伸びており、今後は法人営業部隊を増員しながら、2022年に同契約社数を500社まで引き上げるという目標も掲げている。
また今後、引受先との間で人材育成領域やデジタルマーケティング領域などにおける事業提携を進め、事業基盤をより強固かつ柔軟なものに進化させる。今回の資金調達ラウンドで事業拡大に弾みをつけたい考えで、以降もさらなる資金調達を検討しているとした。
2300冊(2020年12月時点)のビジネス書の要約が読めるflierは、これまでの一般利用に加えて、企業の人事部や教育研修部から「人材育成に役立つ」との評価を得ており、需要が拡大しているという。個人と法人を含む累計会員数は75万人(2020年12月時点)を突破、法人プランの契約社数は2年前の3倍強の増加率となっており、急成長しているそうだ。
「flier法人版」は、SaaSの事業モデルを採用した月額の継続課金サービス。調達した資金は主に、flier法人版の新サービス開発と、それに伴うエンジニアの確保、CMなど広告宣伝にあてるという。またサービスでは、各企業や個人に最適な学習を提供するための、書籍のレコメンド機能を開発し、学びを効率化する。
人事とテクノロジーを掛け合わせたHRテック領域において今後、一層高まるであろうオンラインかつ個人に最適化した学習・研修ニーズに応えられるようサービス強化を図るとしている。
同社は、好調の背景に、人材育成の「非対面化」があると指摘。テレワークが浸透する中、対面での職場内訓練(OJT)が難しくなり、各社の人事部や教育研修部は対応を迫られているという。本質的な人材育成につながる読書をネット上で提供できる手段として、企業からの関心が高まっているとした。また導入企業の傾向として、メガバンクを含む金融系や生命保険大手からの引き合いが特に強く、大口契約が増えているという。
2013年6月設立のフライヤーは、flierを運営するITベンチャー。2016年11月に電子書籍取次大手メディアドゥの子会社になり、経営基盤を固めて事業を拡大してきた。
flierには、新刊(掲載書籍の9割)を中心に、毎日1冊の要約文をアップ。要約記事は自社の編集者に加えて、経験豊富な外部ライター約50人が作成している。要約の文字量は4000字ほどで、10分程度で読めるよう工夫しているという。
flierの特徴は「書評」(レビュー)ではなく「要約」である点という。書き手の主観が入る書評とは異なり、著者の主張や論理(重要ポイントや全体像)を忠実にまとめ、読者に伝えるとしている。また書評でないため、出版社と著者から要約の許可を得る必要があり、要約した原稿にも目を通してもらうことで、高品質なサービスを提供しているとした。
AIの音声読み上げ機能や、ユーザー同士で要約から得た学びを情報交換(シェア)するSNSサービスなども実施しているという。
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